22 / 34
リンツ公爵家
しおりを挟む
「そちらの家に居候していいですか?」と小娘に言われた公爵は口ごもった。
「いぃそぅ・・」そこでわたしは親切にもう一度言った。
「お宅に居候をしても良いですか?」
「居候だと!」
「はい、住むところがないのでここに居候してますが、おじさんはそれは良くないと今、教えて下さいました。とてもご親切です。だからこんどはおじさんが住むところを提供して欲しいです。お金がないので家賃を払えません。だから居候です。無理ならいいです」と言うと後ろのテレジアが、笑って
「良いのではありませんか?部屋は余ってますし」と言った。
「ありがとうございます。親しいお友達の家に引っ越すと言えば、送り出してくれます。皆さん心配性ですので、お友達の家に行くって言うのは、最大の安心材料です」
「お友達?」とテレジアは不愉快そうな顔をして呟いた。
「なるほど」とリンツ公爵は、わたくしを見ながら、言うとテレジアを振り返り
「すぐに準備をするように」と言いつけた。
「お父様」とテレジアの抗議の声に
「友人を暖かく迎える準備だ。急げ」と言っただけだった。
それからわたくしのほうを見て、
「えーーと」「アリスです」「そうだアリスだったな」
「アリス、部屋の片付けをして待っていてくれ、手続きをさせる」と笑って言った。
わたくしも負けずに笑って
「よろしく、おじさん」と答えた。
部屋に戻って荷物をまとめたが、下着と寝巻きくらいだ。
侍女二人にお礼として、花瓶の薔薇を目の色に加工したものを残した。
思ったより早く迎えが来てわたくしは、すんなりと王宮を出た。
わたくしひとりを乗せた馬車は、公爵家の表門から入った。出迎えは執事とメイドが一人だった。
案内された部屋は上等の客用寝室ではなく、予備室と言った感じだった。あまった部屋ですね。
テレジアは顔を出さなかった。お友達なのにひどいわね。
出迎えたメイドがわたくしに付くみたいだが、見張りもかねているのはよく、わかる。
わたくしとしても・・・・・あたしとしても・・・わたしとしても、ここで様子をみて隣国へ向かいたいから、これくらいがちょうどいいような気がする。
えーーと明日は学院に行ってしばらく休むと伝えて、魔石屋に行って、孤児院に行って、いや、孤児院は行かない。
平民は関わらない。とかいろいろ考えているとメイドが、お茶とバタートーストを持って来た。
「ありがとう。あなたの名前は」
「スージーです」
「スージーね。よろしく。食事は食堂に行くの」
「持って来ます」
「はい、お願いね。庭を散歩したいけど」
「聞いておきます」と言うとスージーは出て行った。
お友達にしては扱いは悪いけど、使用人ではないようね。ちょうどいいかなとトーストを齧った。
もう少しバターを塗って欲しいが、居候だ。贅沢は言えない。
「いぃそぅ・・」そこでわたしは親切にもう一度言った。
「お宅に居候をしても良いですか?」
「居候だと!」
「はい、住むところがないのでここに居候してますが、おじさんはそれは良くないと今、教えて下さいました。とてもご親切です。だからこんどはおじさんが住むところを提供して欲しいです。お金がないので家賃を払えません。だから居候です。無理ならいいです」と言うと後ろのテレジアが、笑って
「良いのではありませんか?部屋は余ってますし」と言った。
「ありがとうございます。親しいお友達の家に引っ越すと言えば、送り出してくれます。皆さん心配性ですので、お友達の家に行くって言うのは、最大の安心材料です」
「お友達?」とテレジアは不愉快そうな顔をして呟いた。
「なるほど」とリンツ公爵は、わたくしを見ながら、言うとテレジアを振り返り
「すぐに準備をするように」と言いつけた。
「お父様」とテレジアの抗議の声に
「友人を暖かく迎える準備だ。急げ」と言っただけだった。
それからわたくしのほうを見て、
「えーーと」「アリスです」「そうだアリスだったな」
「アリス、部屋の片付けをして待っていてくれ、手続きをさせる」と笑って言った。
わたくしも負けずに笑って
「よろしく、おじさん」と答えた。
部屋に戻って荷物をまとめたが、下着と寝巻きくらいだ。
侍女二人にお礼として、花瓶の薔薇を目の色に加工したものを残した。
思ったより早く迎えが来てわたくしは、すんなりと王宮を出た。
わたくしひとりを乗せた馬車は、公爵家の表門から入った。出迎えは執事とメイドが一人だった。
案内された部屋は上等の客用寝室ではなく、予備室と言った感じだった。あまった部屋ですね。
テレジアは顔を出さなかった。お友達なのにひどいわね。
出迎えたメイドがわたくしに付くみたいだが、見張りもかねているのはよく、わかる。
わたくしとしても・・・・・あたしとしても・・・わたしとしても、ここで様子をみて隣国へ向かいたいから、これくらいがちょうどいいような気がする。
えーーと明日は学院に行ってしばらく休むと伝えて、魔石屋に行って、孤児院に行って、いや、孤児院は行かない。
平民は関わらない。とかいろいろ考えているとメイドが、お茶とバタートーストを持って来た。
「ありがとう。あなたの名前は」
「スージーです」
「スージーね。よろしく。食事は食堂に行くの」
「持って来ます」
「はい、お願いね。庭を散歩したいけど」
「聞いておきます」と言うとスージーは出て行った。
お友達にしては扱いは悪いけど、使用人ではないようね。ちょうどいいかなとトーストを齧った。
もう少しバターを塗って欲しいが、居候だ。贅沢は言えない。
100
お気に入りに追加
1,681
あなたにおすすめの小説
黙ってすっこんどいたら良かったのに
朝山みどり
恋愛
予定より早く出張から戻ったら、無人のはずの家に恋人ともう一人?!・・・・だから、玄関にサンダルが・・・・
ふらふらとマンションをでたら、そこに昔の男が現れた。おもわず差し出された彼の手をとったわたしだが、
彼と寝盗り女がまわりを巻き込んで仕掛けて来た。
彼の助けを少しだけ借りて、やり返していると・・・・・騒動が大きくなって手に負えなくなって・・・・
現代日本風の世界のお話です。
今更何の御用でしょう? ウザいので止めて下さいませんか?
ノアにゃん
恋愛
私は3年前に幼馴染の王子に告白して「馬鹿じゃないの?」と最低な一瞬で振られた侯爵令嬢
その3年前に私を振った王子がいきなりベタベタし始めた
はっきり言ってウザい、しつこい、キモい、、、
王子には言いませんよ?不敬罪になりますもの。
そして私は知りませんでした。これが1,000年前の再来だという事を…………。
※ 8/ 9 HOTランキング 2位 ありがとう御座います‼
※ 8/ 9 HOTランキング 1位 ありがとう御座います‼
※過去最高 154,000ポイント ありがとう御座います‼
公爵令嬢ですが冤罪をかけられ虐げられてしまいました。お覚悟よろしいですね?
八代奏多
恋愛
公爵令嬢のシルフィーナ・アストライアは公爵令息のエドガー・サウディス達によって冤罪をかけられてしまった。
『男爵令嬢のリリア・アルビュッセを虐め倒し、心にまで傷を負わせた』として。
存在しない事実だったが、シルフィーナは酷い虐めや糾弾を受けることになってしまう。
持ち物を燃やされ、氷水をかけられ、しまいには数々の暴力まで。
そんな仕打ちにシルフィーナが耐えられるはずがなく……。
虐めて申し訳ない?
数々の仕打ちの報いは、しっかり受けていただきます
※設定はゆるめです。
※暴力描写があります。
※感想欄でネタバレ含むのチェックを忘れたりする残念な作者ですのでご了承ください。
貴方の事を愛していました
ハルン
恋愛
幼い頃から側に居る少し年上の彼が大好きだった。
家の繋がりの為だとしても、婚約した時は部屋に戻ってから一人で泣いてしまう程に嬉しかった。
彼は、婚約者として私を大切にしてくれた。
毎週のお茶会も
誕生日以外のプレゼントも
成人してからのパーティーのエスコートも
私をとても大切にしてくれている。
ーーけれど。
大切だからといって、愛しているとは限らない。
いつからだろう。
彼の視線の先に、一人の綺麗な女性の姿がある事に気が付いたのは。
誠実な彼は、この家同士の婚約の意味をきちんと理解している。だから、その女性と二人きりになる事も噂になる様な事は絶対にしなかった。
このままいけば、数ヶ月後には私達は結婚する。
ーーけれど、本当にそれでいいの?
だから私は決めたのだ。
「貴方の事を愛してました」
貴方を忘れる事を。
【完結】彼と私と幼なじみ
Ringo
恋愛
私には婚約者がいて、十八歳を迎えたら結婚する。
ある意味で政略ともとれる婚約者とはうまくやっているし、夫婦として始まる生活も楽しみ…なのだが、周囲はそう思っていない。
私を憐れむか馬鹿にする。
愛されていないお飾りなのだと言って。
その理由は私にも分かっていた。
だって彼には大切な幼なじみがいて、その子を屋敷に住まわせているんだもの。
そんなの、誰が見たってそう思うわよね。
※本編三話+番外編四話
(執筆&公開予約設定済みです)
※シリアスも好物ですが、たまには頭を空っぽにしたくなる。
※タグで大筋のネタバレ三昧。
※R18命の作者にしては珍しく抑え気味♡
※念のためにR15はしておきます。
魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。
iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。
完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど――
気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。
――魅了魔法ですか…。
国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね?
第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか?
サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。
✂----------------------------
カクヨム、なろうにも投稿しています。
勝手にしなさいよ
棗
恋愛
どうせ将来、婚約破棄されると分かりきってる相手と婚約するなんて真っ平ごめんです!でも、相手は王族なので公爵家から破棄は出来ないのです。なら、徹底的に避けるのみ。と思っていた悪役令嬢予定のヴァイオレットだが……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる