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学院では、魔法だけを特別に教えて貰えるようになっていた。

これは本当に感謝だ。競技会でいろいろやったが、命を奪うぞと強く思って攻撃をしたのではない。

いたぶってやりたかっただけだ。本当に強い者相手にあんな事をやったら、こちらが殺されてしまう。


だから、教えて貰えたのはありがたい。それに学院の教師ではなく、軍の関係者が教えてくれているようだ。

それはそれで危ないなって事で、教えて貰った事が出来る所は見せていない。ちょっと出来る程度の平民でよい。


そんなある日、お茶の誘いがあって、久しぶりに王子たちに会った。

「久しぶり、学院では会えないのでこちらへ招待した」

「噂は耳に入ってます。ローレンス様たちも王子殿下たちも、すごくもてているようで・・・・・」

「どこから、噂が?」

「夜会で皆様と一緒にいた所を見られています。それなりに近づいて来る人はいます」

本当は小鳥に聞いた事だけどね。

「そうだろうね。こっちの噂は聞いているかい?君の元の家・・・・伯爵家」

「いえ、教えて下さい」

「平民にするのは、あんまりと言う事で男爵になる。屋敷はあのままでいい。引っ越すのも大変だしね」

「使用人はどうなりますか?」

「どうなるんだろうね」


嫌がらせの様子を見に行きたいが、あれは時間が経てば解ける類のものだ。気にするのはやめよう。


「では、ご馳走になりました。あまり皆さんと一緒にいるとうるさいのがでますので、これで失礼します」

とテーブルの焼き菓子を一つ手に取ると席を立った。



「「またね」」と軽い言い方とわざとらしい笑いに送られてわたくしは場を後にした。



「おい」と声をかけられた。

当然振り向かない。わたしは『おい』ではないと言う理屈だ。

「おい」と重なったが知らんぷりする。

「おい、そこのおまえだ」と言われて立ち止まる。

一人の令嬢と一緒におじさんが立っている。リンツ公爵とお嬢さんのテレジアだ。

「はい」と軽く頭を下げた。

「おまえだな、図々しくも王城に住み着いているやからは」

「はい、居候してます。家がないので」

「だから、おまえたち、卑しいやつらは」と言うので、首を傾げた。

「いいか、この王城に住めるのはな、王族なんだ」

「そうなんですか?」

「そうだ。それを図々しく・・・・だから卑しいやつらは」

「家がないから、仕方ないかと」

「仕方ないだと・・・・図々しい」とおじさんが同じセリフを繰り返すので、助け船を出した。

「そちらの家に居候していいですか?」

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