今世は好きにできるんだ

朝山みどり

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夜会 2

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「あら、パール。相変わらず歩き方がへたね。無理ないわね。あの母親ですもの。きちんとした貴族令嬢がどんな者か知らないものね」と先に攻撃した。


「やっぱり、アリスね。わたしたちを陥れて・・・・・」

「陥れる?なに寝ぼけているの?」とわたくしは久しぶりに小道具の扇を開いた。前世で一番披露した、そして好きだったポーズだ。

「陥れたじゃない」

「そんな解釈できる行動はどれ?」

「全部よ」

「全部。お腹がすいたこと?服が寝巻きと制服しかなかった事?靴がぱっくり割れていた事?とかかしら?でも・・・お腹がいつもすいていたのは、わたくしに食事をさせないようにした人のせい?どっちかな?伯爵?夫人?
一緒に来てるなら連れて来てよ。確認したい・・・・」

「魔力がないとか言って・・・・」をパールが言うのを聞いたわたくしは扇を閉じるとそれで勢いよくパールを差して、

「言ったのは伯爵と夫人。わたくしはそう言われた方」それから扇を開くと、口元を隠して

「わたくしはバード伯爵とその夫人、召使、それからあなたから魔力がないと意地悪をされていました。わたくしはひとりで着替えができます。髪をまとめることも出来ます。学院にも歩いて通えますよ」

「・・・・・・」

扇で口元を隠しながら、

「どの部分で貶めたのですか?」と聞くと

「大嫌いよ」

「本当に貴族としてなってないですね。見本を示すわよ。令嬢ぶってもお里は、名ばかりのしがない伯爵のくせに。これくらい言って下さいな」

扇を外してせせら笑いながら言ってやると、

「うわーーーー」とこちらに向かって来たので、パールの前に防壁を出現させた。

そこにパールが突っ込むとそれはぐにゃんと曲がり、パールを足止めした。そこに待機していた侍従が二人やって来ると、パールを連れて出て行った。


さて、喉も乾いたから飲み物を手にとり、一杯目を飲み干し、二杯目を手に取った。

そこにジェフが目配せをして来た。うなづくと二杯目をゆっくり飲んだ。それからまわりの男性に微笑みかけながら、会場の中央を通って御一行のそばへ戻った。

「アリス、踊って貰えるかい」とオリバーに言われて、フロアに出た。

「君はどういう人?所作は高位貴族・・・・態度は王族以上・・・」とオリバーが言うので

「隠す事じゃないので言いますが、平民です。家ありません・・・・今は王宮に居候です。帰る所がないんです。だ・か・ら・どこでも好きな所に行けます」

「羨ましいな」

「でしょう」

「うちの国に遊びに来ればいいよ」とオリバーが笑いかけて来るので、わたくしも笑った。


ダンスが終わってオリバーと二人で話しながら会場をみると、アレクとローレンスは相変わらず取り囲まれていた。

ただ、まわりの顔ぶれは令嬢を連れたおじさんたちに変わっていた。

少しはにかんで、可愛く見上げる令嬢たち・・・・・婚約者が決まっていないっていうのは面倒ね・・・・

どういった情勢が国の内外にあるかの情報は持っていないし、今のわたくしに必要ない。

ただ、この国にしろ隣国にしろ王子たちって正式にお披露目されてないのかしら・・・・・


オリバーと連れ立って御一行の所に戻ったが、そばにいる給仕たちの目線が気になった。

そう、前世の、あの侍女があんなだった・・・・・・




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