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競技会の終わり 御一行のひとり目線

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「選手の名前ひとつ覚えなくても審判って出来るんですね。無能でも出来るなんて励まされます」

軽く変装、髪の色を変えただけだが・・・・そうやって会場に入り席に座る頃、あの令嬢がこう言っていた。

あの令嬢はあの時に、うっかり見せた雰囲気をまとい、楽しそうに笑っていた。

「念の為に名前を言います。アリス・バードです。無能で魔力なしと言われております。魔力がないので、魔法の授業を受けることを禁止されて庭で草むしりをさせられております」

「・・・・勝ちはアリス・バードです」と審判が言うと、あの令嬢はにこりと笑うと宙に浮いたまま競技場から外に出て行った。

その後、しばらくすると審判が、会場に出て来て

「選手が体調不良となりましたので、優勝はアリス・バードです。表彰式は中止です。これにて解散」

そう行って退場して行った。

わたしたちは、あの令嬢のことを知りたくて選手全員を学院長の元へ集めるよう指示を出した。



選手が十名と教師と学院長が、やって来た。

「アリスさん、やりすぎです。杖で叩くなんて」と選手の一人が言っている。

「そうですわね。叩くのではなく火で燃やせば良かったですね」とアリスが答えている。

叩くと聞いてわたしたちは顔を見合わせた。

「でも皆さん体調不良ってどうしたんですか?それこそ燃やしたかったのに。わたしは無能ですからなにをやってもいいんですよね。なんせ、草むしりしてました。あなたは学ぶ必要がないと太鼓判を押されてましたからね」

「そのことですが・・・アリスさん・・・申し訳なく思っています・・・・」と学院長が言っている。

「いえ、学院では、家からの報告を鵜呑みにしたんですよね。まさかね。だって親が無能、魔力なしと言えばそうですよね」とアリスが笑って言っている。

「でもどうやってわたしが魔力なしだとわかったのでしょう」

教師と学院長が固まった。

「最初、魔力なしの意味がわからなくて・・・・・いらない先妻の娘を傷つけたくて言っている言葉だと思っていました。意味がわかってから魔力とか魔法とか調べていくと魔力はあるとわかりましたが・・・・先妻の娘を虐めるのに最適の言葉なんだから、使い続けるだろうし・・・・馬鹿に向かって馬鹿とかあまり言わないでしょ。今日だって、皆さん体調不良になっちゃって・・・・そんなんで優勝とかうれしくないから、再戦しましょうね・・・・魔法で戦いましょう・・・・燃やしますね」

「いや・・・・いや・・・・」「それは・・・」「パール・・・・パールとやれば・・・・」「そうよ。パールとやればいい・・・・」と選手が言えば

「いや、無理・・・・・だって」とパールがちいさな声で言っている。


「おもしろいですね。靴も貰えないほど無能なわたしなのに・・・・・机には『死ね』と書かれていたし・・・・」とアリスが笑っているが、いつまでもこんな話を聞いても仕方ない。そこでわたしたちは部屋に入った。


アリスが反応したが、とどまった。宙に浮かぶのをやめて下に降りた。

「は、いらしたのですね」と学院長が挨拶をするとパラパラと挨拶をして来た。


「殿下が決勝戦だけでも見たいと仰せで、こっそり見せて貰おうと思って来たのだが、終わっていた。少し話が聞こえたのだが・・・・・アリス嬢は教会で鑑定は受けてないのだろうか?」

「はい、ございません」

「嘘よ。嘘よ」と小さくパールが呟く。


「今使いを出しているから、バード伯爵夫妻がやって来るだろう。説明して貰う」とローリーが言い切った。













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