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メアリーを脅す

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家に戻るといつものように、使用人になじられた。

部屋に戻ってしばらくするとメアリーがお茶をお菓子を乗せたお盆を持って来た。

「うん、なかなかね。他の使用人と一緒のときは今までのままでいるって上出来だわ。あの使用人たちにはこっそり罰を与えるけど、知らんふりで」

「このボタンは付け直しますか?」と制服をハンガーにかけていたメアリーが言うが、

「そのままでいいわ。それから制服と寝巻きしかないから、侍女の制服を貰える?」

「そ、そ、それでしたら、簡単な部屋着を買って来ます。侍女の服など・・・」

「ありがたいけどお金がないのよ」と答えると

「わたしが・・・・わたしがお給金を貰ってますので・・・」

「・・・・・侍女の制服がいいって言ってるのよ」

「では、ではその、その罰は・・・・」

「おまえは今回免除よ・・・・」

「今回・・・・だけ・・・」

「そう、今回・・・ずっとやられてきたことは忘れない」と小さく呟けば、

「は・・・は・・はい・・そうですね」とメアリーは呟き、

「失礼します」と震える声で言うと部屋を出て行った。



メアリーが侍女の制服を持って来たので、寝巻きから着替えた。

それを着て部屋からでると、パールに付いているジューンとすれ違った。

下を向いているわたしが誰かわからないようで、

「辛気臭い新入りね」と呟いたが、パールのお茶を持っているのでそれ以上絡むことなく去って行った。

わたしは、ジューンの右足首を軽く凍らせた。本人として多分、ちょっと冷えるなって感じる程度だと思うが、理論上はわたしが解除しなければ、ずっと冷たいはずだ。温めても氷は溶けないし、氷だとわかる人もいないはずだ。

わたしはこの日、屋敷内をうろうろして、侍女長のラズの喉にちいさな水の塊を詰めた。多分、咳き込んだり呼吸が少し苦しくなるはずだ。

リラとデージーは両腕に力がはいらないようにした。重いものが持てないようにしてみた。

馭者は、首が回りにくくして、ついでに両肘が曲がりにくいようにしておいた。

食事作りは大事なのでコックにはなにもしない事にした。


その夜、夕食を食べながらわたしは、メアリーにいろいろ質問した。わたしはお金を持った事がなかったのだ。

前世ではお金そのものをわたしが持つ事はなかったが、お金持ちだった。今世では貧乏なのだろうか?

お金を持っていない。多分パールはおこづかいくらいは使っているだろう。

放課後、友達とお茶したりしているだろうから・・・・・わたしは友達もいないし、お金もない。

それに気づいてメアリーに色々教えて貰いメアリーからお金の実物を見せて貰ったりしたのだ。


わたしにできるお金儲けの方法を探そう。明日は学院に行かずに町をうろつくぞ。


翌日わたしは、馬車から降りるとちょっと路地に入り、学院の制服の上着を脱いで、侍女の制服を着た。

スカート部分が学院の制服と二枚重ねになったが、普段よりふくよかになった程度でたいしたことはない。

上着を学院のカバンに入れるとわたしは、いつものようにちょっと浮いて靴が壊れないように歩き始めた。












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