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使用人を躾ける

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アリスとして始めたこの世界も二週間。そろそろやりはじめてもいい頃ねと思ったわたしは、

「いつまで寝てるんですか?」とノックもなしに部屋に入って来たメアリーに平手打ちを食らわした。

バシッと音がしてメアリーが手を頬に当てると睨んできた。

ふん、力加減はちょうど良かったわねと、反対の頬もぶった。これは手の甲を使うので指輪があると効果的だ。

「侍女をしつけてるのだけど・・・・」と言うと

「奥様に言いつけます」と部屋を出て行こうとした。

そこで軽く宙に浮かしてやった。

「え?歩けない?え?」と言いながら懸命に足を動かす。

「まともに歩くことも出来ない役立たずの侍女ね。朝の食事を持って来なさい。もっと打たないとわからないのかしら?」と言うと

「持って来ます。ちゃんと持って来ます・・・・お願いですーーーー」と煩いので、床に下ろしてやった。

するとあわてて出て行った。


しばらくすると朝食を乗せたお盆を持って戻って来た。


「あなたをしつけ直したいから、あなたがわたしについて頂戴。そしてね」と言うとじっと目を合わせた。

それから

「このことは誰にも言わないようにね。そうじゃないと」と言うと宙に浮かしてやった。

「ひーー」と悲鳴をあげそうになったが、必死に押し殺している。

「あら、優秀ね。悲鳴をこらえるなんて・・・見込みがあるわ」そういうと顔色がいっそう悪くなった。

ゆっくりと床に下ろすと

「下がっていいわ」と言った。メアリーはドアの所で頭を下げると、

「失礼します」と出て行った。


その日も同じように馬車で出発し、途中から徒歩で学院に行った。

そして授業には出ずに図書館にこもった。


前世でわたしが暮らしていた国がどこなのか、結局わからなかった。

もうこだわる必要はない。そう割り切って魔力を活かした魔法の研究をする事にした。

アリス情報に魔法の事はない。そして本によるとこの国の子供は教会で魔力の鑑定をするはずなのだが、アリスにその記憶はない。

魔力がないとか辛く悲しい事実だし、それで忘れているのだろう。そして学院でも魔力なしは魔法の授業を受ける必要がないと教師にも馬鹿にされて、魔法の授業では庭の草むしりをやらされていた。

それでここで本で魔法を学んでいるのだが、小鳥を手下にしたことや、少し宙に浮かぶのは簡単な思いつきでやった事だが、魔法書に記述がない魔法現象だ。

こんな事ができるのはアリスだけなのだ。この能力は隠しておいて、脅しに使うのが一番いいだろう。


わたしは浮かれるあまり、前世のように背を伸ばして食堂に向かう所だった。

あわてて、下を向いていじいじするんだ!と思いながら靴が壊れないように少し浮いて歩いた。




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