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目覚め
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首から血が流れる感触・・・・血が流れ・・・意識が・・・・でぱっと目が覚めた。え?
そこで頭が割れるように痛くなった。いろいろな音と映像が浮かぶ、どの映像も見て!!聞いて!!とうるさい。
順番!!と念じた。すると痛みが消えいろいろな映像が・・・・記憶のなかから浮かんだ。
それとは、別にこの体の魔力の多さに驚いた。それにこの世界、魔法があるんだ・・・・やった・・・・
それを見ているうちにもう一度眠ったようだ。
「いつまで寝てるんですか?」と単調な声がして目が覚めた。
今日はメアリーの担当かと判断出来た。記憶はしっかり入ったようだ。
わたくし、いえ、わたしはのろのろとアリスのように起き上がった。その間にメアリーは部屋を出て行った。
洗面も着替えもアリスは自分で出来るのだ。わたしは身支度をしながら、当分はアリスとしての行動をするんだよと自分に強く言い聞かせた。
さっきも危なかった、前世だったら、平手打ちをする場面だ。それをする必要がある立場だった。
わたしの前世は公爵家の次女で、王太子と婚約していた。最高の身分と実力と美貌も・・・・全てを持っていたのだ。
わたくしに舐めた態度を取るものなどいなかった。メアリだって本当はアリスにあんな口の利き方をしてはいけないが、このアリスが無能だから・・・・・でも良い、わたくしが、いやわたしが秩序を戻してやるが、いきなり動くのはあぶないから、当分はいままでのアリスのままで行く。
わたくし、いえわたしはアリス。くよくよ、いじいじ、俯いて歩く・・・・・
食堂に入ると小さな声で
「おはようございます。お父様、お母様」と言いたいところだが、
「おはようござ」で
「朝から辛気臭い」
「朝から不景気」
「今日も陰気」
「はぁ挨拶ぐらいしなさいよ」
「朝から変な物を見せられた」
と返って来た。
アリス情報の通りにわたしは、下を向いて
「申し訳ありません」と言ったつもりで「もごもご」言った。
いつもとおり、ひたすら頭を下げて彼らの食事が終わるまで、待った。
彼らが食堂から出て行くと、わたしはパンをいくつかナプキンに包み、ミルクを立ったまま飲むと
「ほんとにぐずなんだから、迷惑なんだから」と言う言葉に送られて部屋を出た。
それから馬車に乗ると学院に向かった。馬車には義妹のパールと一緒に乗り込む。
だが、途中で馬車が止まる。アリスが降りると馬車は学院に向かって去って行く。
父と義母がこの事を知っているかどうかは、まだわからない。
アリスは徒歩で学院に通っているのだ。どんなに急いでも、アリスは一時間目の途中からになってしまう。
教師も無能なアリスだからと納得しているようだ。この学院では一時間目の前に担任が教室に来て、重要事項の伝達があるようだが、アリスはそれに間に合わないと言う事だ。
わたしは歩きながら、自分に魔力があるのを何度も確認した。指先に明かりを灯してみた。
木の枝に止まっている小鳥にこっちに来るよう言ってみた。
どれも成功した。魔力あるしそれを使える。鳥に教室に行って先生の話をわたしに伝達するように言いつけた。
すべてアリス情報の通りだ。わたしが自分の目で確認するのは上位貴族がどんなだかという事だ。
前世のわたしの基準でいいのか、確認しないと・・・・・
たかが、伯爵家の娘の目で見た事実と公爵家の娘だったわたしでは読み取る情報が違う。
伯爵家風情だ。上位貴族の目のない所で好き放題出来るに違いない。わたしはついつい顔が緩んでしまうのを自分に許しながら、粗末な靴が壊れないよう気をつけて歩き続けた。
そこで頭が割れるように痛くなった。いろいろな音と映像が浮かぶ、どの映像も見て!!聞いて!!とうるさい。
順番!!と念じた。すると痛みが消えいろいろな映像が・・・・記憶のなかから浮かんだ。
それとは、別にこの体の魔力の多さに驚いた。それにこの世界、魔法があるんだ・・・・やった・・・・
それを見ているうちにもう一度眠ったようだ。
「いつまで寝てるんですか?」と単調な声がして目が覚めた。
今日はメアリーの担当かと判断出来た。記憶はしっかり入ったようだ。
わたくし、いえ、わたしはのろのろとアリスのように起き上がった。その間にメアリーは部屋を出て行った。
洗面も着替えもアリスは自分で出来るのだ。わたしは身支度をしながら、当分はアリスとしての行動をするんだよと自分に強く言い聞かせた。
さっきも危なかった、前世だったら、平手打ちをする場面だ。それをする必要がある立場だった。
わたしの前世は公爵家の次女で、王太子と婚約していた。最高の身分と実力と美貌も・・・・全てを持っていたのだ。
わたくしに舐めた態度を取るものなどいなかった。メアリだって本当はアリスにあんな口の利き方をしてはいけないが、このアリスが無能だから・・・・・でも良い、わたくしが、いやわたしが秩序を戻してやるが、いきなり動くのはあぶないから、当分はいままでのアリスのままで行く。
わたくし、いえわたしはアリス。くよくよ、いじいじ、俯いて歩く・・・・・
食堂に入ると小さな声で
「おはようございます。お父様、お母様」と言いたいところだが、
「おはようござ」で
「朝から辛気臭い」
「朝から不景気」
「今日も陰気」
「はぁ挨拶ぐらいしなさいよ」
「朝から変な物を見せられた」
と返って来た。
アリス情報の通りにわたしは、下を向いて
「申し訳ありません」と言ったつもりで「もごもご」言った。
いつもとおり、ひたすら頭を下げて彼らの食事が終わるまで、待った。
彼らが食堂から出て行くと、わたしはパンをいくつかナプキンに包み、ミルクを立ったまま飲むと
「ほんとにぐずなんだから、迷惑なんだから」と言う言葉に送られて部屋を出た。
それから馬車に乗ると学院に向かった。馬車には義妹のパールと一緒に乗り込む。
だが、途中で馬車が止まる。アリスが降りると馬車は学院に向かって去って行く。
父と義母がこの事を知っているかどうかは、まだわからない。
アリスは徒歩で学院に通っているのだ。どんなに急いでも、アリスは一時間目の途中からになってしまう。
教師も無能なアリスだからと納得しているようだ。この学院では一時間目の前に担任が教室に来て、重要事項の伝達があるようだが、アリスはそれに間に合わないと言う事だ。
わたしは歩きながら、自分に魔力があるのを何度も確認した。指先に明かりを灯してみた。
木の枝に止まっている小鳥にこっちに来るよう言ってみた。
どれも成功した。魔力あるしそれを使える。鳥に教室に行って先生の話をわたしに伝達するように言いつけた。
すべてアリス情報の通りだ。わたしが自分の目で確認するのは上位貴族がどんなだかという事だ。
前世のわたしの基準でいいのか、確認しないと・・・・・
たかが、伯爵家の娘の目で見た事実と公爵家の娘だったわたしでは読み取る情報が違う。
伯爵家風情だ。上位貴族の目のない所で好き放題出来るに違いない。わたしはついつい顔が緩んでしまうのを自分に許しながら、粗末な靴が壊れないよう気をつけて歩き続けた。
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