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12 引越し
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カミーユたちは神殿に着いた。すると門の所にオリビアの所の赤髪の侍女が待っていた。
二人と見るなり、
「なにしてるの?オリビア様が待ってるわ」と言った。
「もうカミーユはお前のところのもんじゃないぞ」とレイモンドが答えた。
「そんな勝手な事は出来ないわ。オリビア様はお怒りよ。すぐに飼育塔に行って」
「もう、神殿の仕事はしない。いや出来ない。神殿を追放されたんだ。魔力がなくなったから放り出されたのだ」とレイモンドが得意げに答えると
「その通りだ」と騎士の一人が答えた。
「これ以上の邪魔は許さぬ」と言うとカミーユをかばいながら、奥に進んだ。
放心したようにそれを見送った赤髪の侍女は、はっと気を取り直すと
オリビアのもとへ急いだ。
神殿の手続きは書類に署名するだけで終わり、すぐにカミーユの小屋へ向かった。
小屋の前に騎士が十人ほどいたが、全員が畑に腰を下ろし、薬草や野菜を丁寧に箱に入れている。
「カミーユ様、お手伝いに参りました。家のなかは勝手に入れませんので畑のほうを・・・」
「まぁ、お待たせして、畑は」と言ったところでレイモンドが
「僕が指示を・・・いえ・・・そのお手伝いをお願いします」と勢い込んで言った。
『お行儀』とカミーユは思ったが、にっこり笑うと
「お願いします」と畑にいる全員に向かって頭を下げた。
それから家にはいったが、簡素な暮らしの強みですぐに荷物は、まとまった。
荷車二台の引越しはすぐに終わった。お手伝いのお礼に薬草茶を出したが、カップが足らずにスープのお椀まで使ったが、一度使ったカップを洗ってのふるまいになってしまったが、みな、笑顔でお礼を言うと帰って行った。
その後ろ姿を見ながら
「カミーユ、僕は体が大きくなったので仕事がはかどります。楽しみにして」とレイが言うと
「レイの体、一晩寝たらもとに戻ると思ったけど、そのままね」とカミーユが言うと
「恋人同士に見えますね」とレイがあっさり言うと、ちょっと固まったカミーユは
「なにを言ってるの」と言ったが、少し顔が赤かった。
「食事の支度をします。カミーユは休んでいて下さい」とレイはカミーユを椅子に座らせるとひざ掛けを持って来た。
カミーユは言いだしたらレイは聞かない事をわかっているので、素直に椅子に腰を下ろした。
成長したレイを始めて見たとき、ときめいたことを思い出した。今日もたまに子供っぽいながら、カミーユを大事に扱った。
相手は子供よと自分に言いきかせた。
そっと名前を呼ばれて、カミーユは目が覚めた。いつのまにか寝てしまったようだ。
「少し、眠れてよかったです。疲れが取れたのでは?」とレイの顔が予想より近く予想より真剣にカミーユを覗き込んでいた。
「あっレイ。えっと眠っていたのね」とあわてて表情を引き締めた。いたずらっぽく笑ったレイは
「カミーユの寝顔は可愛いですね」と言うと返事できないカミーユを嬉しそうにみて
「さ、食べますよ。おなかが空きました」と言った。
二人と見るなり、
「なにしてるの?オリビア様が待ってるわ」と言った。
「もうカミーユはお前のところのもんじゃないぞ」とレイモンドが答えた。
「そんな勝手な事は出来ないわ。オリビア様はお怒りよ。すぐに飼育塔に行って」
「もう、神殿の仕事はしない。いや出来ない。神殿を追放されたんだ。魔力がなくなったから放り出されたのだ」とレイモンドが得意げに答えると
「その通りだ」と騎士の一人が答えた。
「これ以上の邪魔は許さぬ」と言うとカミーユをかばいながら、奥に進んだ。
放心したようにそれを見送った赤髪の侍女は、はっと気を取り直すと
オリビアのもとへ急いだ。
神殿の手続きは書類に署名するだけで終わり、すぐにカミーユの小屋へ向かった。
小屋の前に騎士が十人ほどいたが、全員が畑に腰を下ろし、薬草や野菜を丁寧に箱に入れている。
「カミーユ様、お手伝いに参りました。家のなかは勝手に入れませんので畑のほうを・・・」
「まぁ、お待たせして、畑は」と言ったところでレイモンドが
「僕が指示を・・・いえ・・・そのお手伝いをお願いします」と勢い込んで言った。
『お行儀』とカミーユは思ったが、にっこり笑うと
「お願いします」と畑にいる全員に向かって頭を下げた。
それから家にはいったが、簡素な暮らしの強みですぐに荷物は、まとまった。
荷車二台の引越しはすぐに終わった。お手伝いのお礼に薬草茶を出したが、カップが足らずにスープのお椀まで使ったが、一度使ったカップを洗ってのふるまいになってしまったが、みな、笑顔でお礼を言うと帰って行った。
その後ろ姿を見ながら
「カミーユ、僕は体が大きくなったので仕事がはかどります。楽しみにして」とレイが言うと
「レイの体、一晩寝たらもとに戻ると思ったけど、そのままね」とカミーユが言うと
「恋人同士に見えますね」とレイがあっさり言うと、ちょっと固まったカミーユは
「なにを言ってるの」と言ったが、少し顔が赤かった。
「食事の支度をします。カミーユは休んでいて下さい」とレイはカミーユを椅子に座らせるとひざ掛けを持って来た。
カミーユは言いだしたらレイは聞かない事をわかっているので、素直に椅子に腰を下ろした。
成長したレイを始めて見たとき、ときめいたことを思い出した。今日もたまに子供っぽいながら、カミーユを大事に扱った。
相手は子供よと自分に言いきかせた。
そっと名前を呼ばれて、カミーユは目が覚めた。いつのまにか寝てしまったようだ。
「少し、眠れてよかったです。疲れが取れたのでは?」とレイの顔が予想より近く予想より真剣にカミーユを覗き込んでいた。
「あっレイ。えっと眠っていたのね」とあわてて表情を引き締めた。いたずらっぽく笑ったレイは
「カミーユの寝顔は可愛いですね」と言うと返事できないカミーユを嬉しそうにみて
「さ、食べますよ。おなかが空きました」と言った。
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