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06 手続き完了
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宰相補佐が持って来た書類を確認して、署名した。すでに父の署名と国王の署名はしてあった。
この署名は先日の打ち合わせの際、どさくさまぎれに、ちょっと国王を騙してすませたと後で聞いた。
王子殿下はなにも読まずにさっと署名すると、
「ランダ、四人が待っている。早く報告してやろう」と言うと出ていこうとした。
「あぁ四人の誰かと兄妹になるんですね」とポロっと言うと
王子殿下はちょっと間をおいて
「そうだ。誰にするか、まだ決めてないがな」と言うとランダの腰を抱いて出て行った。
「わたしも失礼します」と言うと立ち上がった。あっさりとカーテシーをするとさっさと頭をあげて部屋を出ようとした。
「待て」と国王陛下が、
「はい?」と反応してしまった。ここは舌打ちが正解だろうが、出来ない。違う国王に舌打ちはないわよね。
雑念を払って国王を見ると驚いている。
優しく微笑み「なんでしょうか?陛下」と答えるとでも?
「ミランダ。何故婚約解消を受け入れたのだ?」
「あの方たちのなかには入れません」と先ほど言った事を告げる。ランダさんが来てくれてよかった。
「そうだな・・・」と陛下が呟くと
「ミランダ」と今度は王妃殿下が・・・なにも言えないよね。わたしも言えない。だって婚約解消された傷が血を流しているのよ。
わたしは部屋を出た。まだ終わっていない。婚約者としてここの廊下を歩いて行かねば・・・
解消されたことはまだ、広まっていない。落ち度のない婚約者として、胸を張って歩いた。
同じ家に住みながら、家族と疎遠となり寂しいと泣きたかったミランダ。ベッドに横になる暇もないほどの課題。
殿下が夏の別荘に行っても、家族に誘われても王都に残って勉強したミランダ。
殿下の為になるとそれだけを頼みに、励みに・・・まだ幼いと言える年なのに頑張ったミランダ。
もう、終わり・・・
馬車で最後のひと泣きのつもりだったけど、涙が出ない。開放感がじわじわ湧いてくるだけ・・・
ふふっふ。新生ミランダとわたしは自分に呼びかけた。
好きにしていいのよ!
そして好きにしているミランダは王子妃教育の教材をまとめている。最初から、きちんと保存していたので、本箱一本が全部教材だ。
一応お城に確認して捨てるかな・・・いやいや、宰相補佐に届けよう。差し入れ届けるついでだ。
空いた本箱に入れる本を買いにも行きたい。
学院はちょっと早めに着くように、いや直前に、いや途中から歩こう。
わたしを見たときの自然体も見たいけど明日はなしだ。おなか一杯だもの・・・
っとお兄様がやって来た。なんでも隣国から急にお客様が来たとかで出かけていたのだ。そうでなけりゃ、お城まで一緒に来たはず。
「解消しました」と先に言った。
「よっしゃ」と言うなりお兄様は、わたしの頭をくしゃくしゃとした。
「面白かったですよ」と言うわたしをじっと見ると更にくしゃくしゃした。
この署名は先日の打ち合わせの際、どさくさまぎれに、ちょっと国王を騙してすませたと後で聞いた。
王子殿下はなにも読まずにさっと署名すると、
「ランダ、四人が待っている。早く報告してやろう」と言うと出ていこうとした。
「あぁ四人の誰かと兄妹になるんですね」とポロっと言うと
王子殿下はちょっと間をおいて
「そうだ。誰にするか、まだ決めてないがな」と言うとランダの腰を抱いて出て行った。
「わたしも失礼します」と言うと立ち上がった。あっさりとカーテシーをするとさっさと頭をあげて部屋を出ようとした。
「待て」と国王陛下が、
「はい?」と反応してしまった。ここは舌打ちが正解だろうが、出来ない。違う国王に舌打ちはないわよね。
雑念を払って国王を見ると驚いている。
優しく微笑み「なんでしょうか?陛下」と答えるとでも?
「ミランダ。何故婚約解消を受け入れたのだ?」
「あの方たちのなかには入れません」と先ほど言った事を告げる。ランダさんが来てくれてよかった。
「そうだな・・・」と陛下が呟くと
「ミランダ」と今度は王妃殿下が・・・なにも言えないよね。わたしも言えない。だって婚約解消された傷が血を流しているのよ。
わたしは部屋を出た。まだ終わっていない。婚約者としてここの廊下を歩いて行かねば・・・
解消されたことはまだ、広まっていない。落ち度のない婚約者として、胸を張って歩いた。
同じ家に住みながら、家族と疎遠となり寂しいと泣きたかったミランダ。ベッドに横になる暇もないほどの課題。
殿下が夏の別荘に行っても、家族に誘われても王都に残って勉強したミランダ。
殿下の為になるとそれだけを頼みに、励みに・・・まだ幼いと言える年なのに頑張ったミランダ。
もう、終わり・・・
馬車で最後のひと泣きのつもりだったけど、涙が出ない。開放感がじわじわ湧いてくるだけ・・・
ふふっふ。新生ミランダとわたしは自分に呼びかけた。
好きにしていいのよ!
そして好きにしているミランダは王子妃教育の教材をまとめている。最初から、きちんと保存していたので、本箱一本が全部教材だ。
一応お城に確認して捨てるかな・・・いやいや、宰相補佐に届けよう。差し入れ届けるついでだ。
空いた本箱に入れる本を買いにも行きたい。
学院はちょっと早めに着くように、いや直前に、いや途中から歩こう。
わたしを見たときの自然体も見たいけど明日はなしだ。おなか一杯だもの・・・
っとお兄様がやって来た。なんでも隣国から急にお客様が来たとかで出かけていたのだ。そうでなけりゃ、お城まで一緒に来たはず。
「解消しました」と先に言った。
「よっしゃ」と言うなりお兄様は、わたしの頭をくしゃくしゃとした。
「面白かったですよ」と言うわたしをじっと見ると更にくしゃくしゃした。
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