1 / 14
01 学院初日
しおりを挟む
わたくしが、正式に第一王子殿下の婚約者になったのは、十歳の時だった。わたくしの生活は変わった。
王子妃となる為の勉強が始まったのだ。どれくらい勉強すればいいのだろう?先がみえないわたくしは不安だった。
そして殿下が学院に入学した。二つ年上の殿下は学院は楽しいと話してくれた。お話を聞いてわたくしは学院に入るのを楽しみに勉強を頑張った。
そして、入学式の翌日、わたくしは胸を弾ませて学院に向かった。
馬車を降りると殿下がいた。わたくしはカーテシーをして挨拶をした。
「おはよう、ミランダ」と殿下の返事が返って来た。
教室に同行してくれると思って殿下が歩き出すのを待った、殿下がとまどって、わたくしはなにかまずい事をやったのかと・・・そこに
「おはよう、ウィル」と明るい声がした。
金髪を結わずにふわりと風になびかせた女性が、殿下の腕に腕をからませた。
「おはよう、ランダ」と殿下の声がした。
二人はそのままわたくしを置いて歩いて行った。
わたくしもすぐに自分の教室に向かって歩いた。
あの人は誰?親しいの?ウィルって呼んでるの?いろんな思いがぐるぐる回ったが、わたくしとわかって目礼してくる人たちにうなづきながら、口角を少しあげる微笑みを保ちながら教室まで歩いた。
「おはようございます。ミランダ様」「ミランダ様、おはようございます」挨拶に答えながら席に向かうが、「ルーシー、同じクラスね」「クリス、よかったぁ同じクラス」と手を取り合う人たち・・・
わたくしもミランダと呼び捨てにして貰いたい。だけどそれを希望すると相手の負担になる事はわかっている。
だからわたくしは、微笑みを浮かべて、「おはようございます」と挨拶を返す。
お昼もわたくしは個室で取るように言われているので、そこに向かった。当然、殿下もいらっしゃると思って静かに待っていると
「もう、ウィルったら」とあのランダさんの甘えた声が開いたドアから聞こえた。
「ミランダ、いるのか?」と殿下の声がした。意外だと言う思いが乗った声。
殿下と側近の四人とランダさん。あっと思った。用意された椅子は六脚・・・
素早く給仕に合図した。給仕が椅子をすばやく持って来てなにごともなかったように、全員が座った。
殿下がわたくしにランダさんを紹介するかと待ったが、殿下がなにも言わないので、わたくしもなにも言えなかった。
給仕は殿下、わたくし、側近。の順番で、お肉かお魚かと尋ねた。ランダさんには聞かなかった。多分、お魚がなくなってランダさんはお肉になるんだなと思った。
それを疑問に思わなかったのはもしかして傲慢かも知れない、だけど婚約者で侯爵家令嬢だ。
給仕がいなくなるとランダさんがしくしく泣き出した。
「やっぱり、わたしが一緒にいるのはいけないのですね・・・その方が、いない時は六人で納まっていたのに・・・わたしは・・・余分ですね・・・」と切れ切れに言いながら。
その方・・・わたくしをその方と呼ぶのね・・・
余分と言えば余分だよね。だけど・・・殿下はちらっとわたくしを見ただけでランダさんを慰めていたけど、側近の四人はわたくしを睨みつけたり、ランダさんに優しい声をかけたり・・・
食事が給仕されると、殿下が
「僕の分の魚はランダにあげて、今日は予定が狂っただろう」と給仕に笑いかけた。給仕もわたくしをちらっとみると
「かしこまりました」と一番にランダさんに給仕した。
わたくしをいない者として、六人が楽しく話をしていた。なんとか食べ物を口に運び必死に飲み下した。
長く苦しい時間だった。いままでも王子妃教育で得た物を総動員した。教育は無駄じゃなかった・・・
王子妃となる為の勉強が始まったのだ。どれくらい勉強すればいいのだろう?先がみえないわたくしは不安だった。
そして殿下が学院に入学した。二つ年上の殿下は学院は楽しいと話してくれた。お話を聞いてわたくしは学院に入るのを楽しみに勉強を頑張った。
そして、入学式の翌日、わたくしは胸を弾ませて学院に向かった。
馬車を降りると殿下がいた。わたくしはカーテシーをして挨拶をした。
「おはよう、ミランダ」と殿下の返事が返って来た。
教室に同行してくれると思って殿下が歩き出すのを待った、殿下がとまどって、わたくしはなにかまずい事をやったのかと・・・そこに
「おはよう、ウィル」と明るい声がした。
金髪を結わずにふわりと風になびかせた女性が、殿下の腕に腕をからませた。
「おはよう、ランダ」と殿下の声がした。
二人はそのままわたくしを置いて歩いて行った。
わたくしもすぐに自分の教室に向かって歩いた。
あの人は誰?親しいの?ウィルって呼んでるの?いろんな思いがぐるぐる回ったが、わたくしとわかって目礼してくる人たちにうなづきながら、口角を少しあげる微笑みを保ちながら教室まで歩いた。
「おはようございます。ミランダ様」「ミランダ様、おはようございます」挨拶に答えながら席に向かうが、「ルーシー、同じクラスね」「クリス、よかったぁ同じクラス」と手を取り合う人たち・・・
わたくしもミランダと呼び捨てにして貰いたい。だけどそれを希望すると相手の負担になる事はわかっている。
だからわたくしは、微笑みを浮かべて、「おはようございます」と挨拶を返す。
お昼もわたくしは個室で取るように言われているので、そこに向かった。当然、殿下もいらっしゃると思って静かに待っていると
「もう、ウィルったら」とあのランダさんの甘えた声が開いたドアから聞こえた。
「ミランダ、いるのか?」と殿下の声がした。意外だと言う思いが乗った声。
殿下と側近の四人とランダさん。あっと思った。用意された椅子は六脚・・・
素早く給仕に合図した。給仕が椅子をすばやく持って来てなにごともなかったように、全員が座った。
殿下がわたくしにランダさんを紹介するかと待ったが、殿下がなにも言わないので、わたくしもなにも言えなかった。
給仕は殿下、わたくし、側近。の順番で、お肉かお魚かと尋ねた。ランダさんには聞かなかった。多分、お魚がなくなってランダさんはお肉になるんだなと思った。
それを疑問に思わなかったのはもしかして傲慢かも知れない、だけど婚約者で侯爵家令嬢だ。
給仕がいなくなるとランダさんがしくしく泣き出した。
「やっぱり、わたしが一緒にいるのはいけないのですね・・・その方が、いない時は六人で納まっていたのに・・・わたしは・・・余分ですね・・・」と切れ切れに言いながら。
その方・・・わたくしをその方と呼ぶのね・・・
余分と言えば余分だよね。だけど・・・殿下はちらっとわたくしを見ただけでランダさんを慰めていたけど、側近の四人はわたくしを睨みつけたり、ランダさんに優しい声をかけたり・・・
食事が給仕されると、殿下が
「僕の分の魚はランダにあげて、今日は予定が狂っただろう」と給仕に笑いかけた。給仕もわたくしをちらっとみると
「かしこまりました」と一番にランダさんに給仕した。
わたくしをいない者として、六人が楽しく話をしていた。なんとか食べ物を口に運び必死に飲み下した。
長く苦しい時間だった。いままでも王子妃教育で得た物を総動員した。教育は無駄じゃなかった・・・
1,869
お気に入りに追加
4,118
あなたにおすすめの小説
アリシアの恋は終わったのです。
ことりちゃん
恋愛
昼休みの廊下で、アリシアはずっとずっと大好きだったマークから、いきなり頬を引っ叩かれた。
その瞬間、アリシアの恋は終わりを迎えた。
そこから長年の虚しい片想いに別れを告げ、新しい道へと歩き出すアリシア。
反対に、後になってアリシアの想いに触れ、遅すぎる行動に出るマーク。
案外吹っ切れて楽しく過ごす女子と、どうしようもなく後悔する残念な男子のお話です。
ーーーーー
12話で完結します。
よろしくお願いします(´∀`)
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。
とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」
成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。
「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」
********************************************
ATTENTION
********************************************
*世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。
*いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。
*R-15は保険です。
私が死んだあとの世界で
もちもち太郎
恋愛
婚約破棄をされ断罪された公爵令嬢のマリーが死んだ。
初めはみんな喜んでいたが、時が経つにつれマリーの重要さに気づいて後悔する。
だが、もう遅い。なんてったって、私を断罪したのはあなた達なのですから。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる