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リチャードは語る。汗だくで
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「先ず、クレアの結婚の経緯だが、クレアから聞いた」とエドを見ながらリチャードは言った。
「さすがナタリーの娘だと思った。問題ない。エドワード、君の態度も問題ない。つねにクレアに寄り添っている」
これはジャックに聞かせているようだ。
「それからクレア、エドワードは君を愛している」
「え?」とクレアが小さく呟いた。
「おまえはクレアに示していないのか、クレア心を痛めるだろ、くそが」
「ジャック、静かにしてくれ、早く説明する方がクレアの為になる。こいつを罵倒するのは後だ」とリチャードが言うとジャックはすっと元の優雅に戻った。
「クレア、エドワードは君を愛している。君たちはずっと一緒に幸せに暮らしていいんだ」
ついでエドワードに向くと
「クレアは君を愛している」と告げた。
エドワードは安心した。
「二人で話をしておいで」「あのことは大丈夫なのか?」「あれが間違いだったの」
リチャードが二人を逃そうと発した言葉と二人がうっかり言ってしまった、言葉が重なった。
「あれとはなんだ?なぜここで話さない。妊娠しているクレアを」
とジャックが言うと
「ジャック、君、今は口を閉じている時だ」とリチャードが言った。
「わかった、黙って聞こう。あれとはなんだ」
三人は顔を見合わせたが、クレアが口を開いた。
「お父様、今は解決したことです。笑い話ですわ」
そう前置きして、話しだした。もちろん、嘘を交えて伊達に売れっ子作家の子ではなかった。
「わたくし、体調が悪くて病院に参りましたの。そしたら余命一年だと診断が下りましたの」
「おぉクレア辛い時にそばにいてやれなくて」とジャックが言うと
「お父様、これでもプリングルです。大丈夫でしたわ。そこで残っている命を誰かの役に立てたかったのです。それでローズの・・・ローズと言うのは子供の頃大好きだった親友で大きくなるに連れて疎遠になりましたが、ローズの境遇を存じてましたの。それでローズに会いに行って・・・子供の頃のように楽しく過ごしましたの。ローズが亡くなってすぐにエドワードが訪ねて来ました。ローズの子供の父親の死を知らせに・・・・
ローズの事や、ラリー・・・子供の父親ですね・・・の事を話して思い出しているうちに心が通じ合って結婚しました。わたくしの余命の事も理解した上で・・・・」
ぐすぐすと言う音が聞こえて、三人はそっちを見た。
ジャックが泣いているのだ。
「エドワード、君が羨ましい・・・愛するものを失う前に一年の猶予があるなんて」『生きてます』「ナタリーはあっという間に死んでしまった。お別れを言う間もなかった。・・・・一年・・・・・」
「お父様、泣いている時になんですが、生きてますから、死んだりしません」
「そうだな・・・・」と涙を拭いていたがふいに
「そうだ。身ごもったそうだな」
「ません」とクレアは強く言った。
「どこでそんなうわさになったのか。身ごもってません」
「そうなのか?この男ではなく他の男のも身ごもってないのか?」
「当たり前です。身ごもってません」
「悪かった、そうだよな。愛し合っているのに・・・・すまん、茶のおかわりを」
エドワードはさっと立ち上がると
「お湯を沸かし直しますね。クレアお父様に家を見せてあげて、僕としては君の刺繍を自慢したいな」
「そうですね、お父様、喉が渇いたなら、冷めてしまいましたが、わたしのお茶をどうぞ、まだ口をつけていませんわ」
ジャックはクレアのお茶を一気に飲むと、クレアと腕を組んで出て行った。
「さすがナタリーの娘だと思った。問題ない。エドワード、君の態度も問題ない。つねにクレアに寄り添っている」
これはジャックに聞かせているようだ。
「それからクレア、エドワードは君を愛している」
「え?」とクレアが小さく呟いた。
「おまえはクレアに示していないのか、クレア心を痛めるだろ、くそが」
「ジャック、静かにしてくれ、早く説明する方がクレアの為になる。こいつを罵倒するのは後だ」とリチャードが言うとジャックはすっと元の優雅に戻った。
「クレア、エドワードは君を愛している。君たちはずっと一緒に幸せに暮らしていいんだ」
ついでエドワードに向くと
「クレアは君を愛している」と告げた。
エドワードは安心した。
「二人で話をしておいで」「あのことは大丈夫なのか?」「あれが間違いだったの」
リチャードが二人を逃そうと発した言葉と二人がうっかり言ってしまった、言葉が重なった。
「あれとはなんだ?なぜここで話さない。妊娠しているクレアを」
とジャックが言うと
「ジャック、君、今は口を閉じている時だ」とリチャードが言った。
「わかった、黙って聞こう。あれとはなんだ」
三人は顔を見合わせたが、クレアが口を開いた。
「お父様、今は解決したことです。笑い話ですわ」
そう前置きして、話しだした。もちろん、嘘を交えて伊達に売れっ子作家の子ではなかった。
「わたくし、体調が悪くて病院に参りましたの。そしたら余命一年だと診断が下りましたの」
「おぉクレア辛い時にそばにいてやれなくて」とジャックが言うと
「お父様、これでもプリングルです。大丈夫でしたわ。そこで残っている命を誰かの役に立てたかったのです。それでローズの・・・ローズと言うのは子供の頃大好きだった親友で大きくなるに連れて疎遠になりましたが、ローズの境遇を存じてましたの。それでローズに会いに行って・・・子供の頃のように楽しく過ごしましたの。ローズが亡くなってすぐにエドワードが訪ねて来ました。ローズの子供の父親の死を知らせに・・・・
ローズの事や、ラリー・・・子供の父親ですね・・・の事を話して思い出しているうちに心が通じ合って結婚しました。わたくしの余命の事も理解した上で・・・・」
ぐすぐすと言う音が聞こえて、三人はそっちを見た。
ジャックが泣いているのだ。
「エドワード、君が羨ましい・・・愛するものを失う前に一年の猶予があるなんて」『生きてます』「ナタリーはあっという間に死んでしまった。お別れを言う間もなかった。・・・・一年・・・・・」
「お父様、泣いている時になんですが、生きてますから、死んだりしません」
「そうだな・・・・」と涙を拭いていたがふいに
「そうだ。身ごもったそうだな」
「ません」とクレアは強く言った。
「どこでそんなうわさになったのか。身ごもってません」
「そうなのか?この男ではなく他の男のも身ごもってないのか?」
「当たり前です。身ごもってません」
「悪かった、そうだよな。愛し合っているのに・・・・すまん、茶のおかわりを」
エドワードはさっと立ち上がると
「お湯を沸かし直しますね。クレアお父様に家を見せてあげて、僕としては君の刺繍を自慢したいな」
「そうですね、お父様、喉が渇いたなら、冷めてしまいましたが、わたしのお茶をどうぞ、まだ口をつけていませんわ」
ジャックはクレアのお茶を一気に飲むと、クレアと腕を組んで出て行った。
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