一年で死ぬなら

朝山みどり

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リチャード・プリングル

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なんと、ジャックが家を出てすぐにクレアがやって来た。ひとりだった。随分やつれた。

俺は小さい応接室に通し、しばらく誰も近づかないよう、言いつけた。

部屋に入ると手をつけないお茶を前にして、ちんまりと座っていた。

正面から少し横に座りすぐに声をかけた

「なにがあった?」

「伯父様、わたしプリングルの名誉を・・・・傷つけました」

「・・・そうか、クレア・・・名誉を・・・・」

ここは慎重に行かないとまずい・・・・下手に相槌も打てない・・・・できるだけ優しい顔でクレアを見たいが・・・やり方がわからん・・・カップで顔を隠す・・・


「伯父様・・・詐欺を・・・・・それも結婚詐欺を」

あやうくお茶を吹き出す所だった・・・・俺は必死に家長の威厳。威厳。と唱えた。

「ちゃんと言います。これでもプリングルですもの」

立派だぞクレア。君こそプリングルだと称賛の込めて

「そうだね」と言うと

「わたし、一年前に余命宣告を受けました。『なんだと?』余命一年と言われました。『生きてるよな』それが間違いだと、この間わかりました『なにはともあれ、よかった』でわたし、一年で死ぬなら好きに生きようと思ってローズの所に行きました。『そうだったのか』ローズを看取れてよかったです。そしてわたしは帰りたくなくて・・・・結婚すればいいと思ってエドにプロポーズしました。エドも一年ならと結婚してくれました。最近エドは一年経っても死なないのを気にしている素振りを・・・礼儀正しい人なのでなにもいわないけど。わたしも気になって病院に行きました。そこで人違いだったとわかりました。『なんて盛り沢山な』離婚しないといけないんですが・・・伯父様わたし、エドを愛してしまいました。別れたくないのです・・・・・どうすれば『エドは君に夢中じゃないか、わかってないのか?』伯父様・・・教えて下さい」

「クレア、事情はわかった。泣かなくても良い。大丈夫だ。一族がついている。いいかね、クレア。大事なのは名誉じゃない君の幸せだ」

こういうとクレアはわーっと泣き出した。わたしはあわててクレアの隣に移って慰めようとした。するとクレアはわたしにすがりついて来た。

クレアにハンカチを渡してようよう離れて座って思い出した。エドがあぶない。
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