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まさかの真実
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クレアは一向に死なない自分に戸惑っていた。一年の約束で結婚して、結婚生活はクレアの死で終わるはずだったのにまだ続いている。
離婚を切り出したほうがいいのだろうが、クレアはエドワードが好きだ。一目惚れして一緒に暮らして、もっと好きになった。愛している。
愛するエドワードを自分に縛り付けたくない。でも別れたくない。一緒にいたい。
ただ、当たり前だがエドワードがそわそわしている。彼は紳士だから口にしないだろうが、一年立っていることは充分わかっている。不思議に思っていることだろう・・・・・何故死なないのかって。
クレアは病院に行くことにした。足が重い。
クレアがこっそり病院に行くところをいろんな人が目撃していた。ある者は病院に歩いて行く所。
ドアをゆっくり開けるところ・・・・結婚してそろそろ一年で、こっそり行く・・・・・多分ご懐妊?
名前を呼ばれて診察室に入る。
「クレア・メイジェーン・ホワイト様、あっ今はキンバリー様ですね。その後おかわりないようですね。今日はどうされましたか?」
「はい、変わりなさすぎです。それで参りました」と言いながら、一年前にもらった診断書を差し出した。
にこにこしながら受け取った医師は、読み進むにつれて顔色が悪くなり、深呼吸をするとクレアに向き直った。
「あの・・・キンバリー様大変申し訳ございません。お辛い一年だったと・・・本当に申し訳ございません」
「なにを謝っているんですか?」
「そうです、説明もせずに・・・申し訳」と言いかけた医師は咳払いをすると
「キンバリー様、人違いを致しました。その診断書は別の方の物です」
「なんですって?」
「はい、別の方の物でキンバリー様はストレスで体調をくずされて・・・・」
「死ぬんじゃないの?」
「はい、ご心痛を・・・・」
「死ぬと思って」
「ほんとに申し訳ないことを」
「死なないの?どうしよう」
医師はクレアの反応に戸惑っていた。こういう場合喜んで、落ち着いたら怒ると思っていたのが、なぜか困っているのだ。
だが、医師も専門家の矜持をかけてクレアに寄り添おうとした。
「キンバリー夫人、あなたはこれからも元気で過ごせます。未来があります」
「だって一年だって言うから・・・・・」
「それは申し訳ありません、お名前が似ていたもので・・・・他の方の診断書を・・・・」
「人違い?名前?・・・・・なんてこと・・・」
医師は精神安定効果のあるココアを用意させるとクレアにすすめ、自分も飲んだ。
しばらくするとクレアは
「つまり、いまのわたくしは元気だという事ですね。いえ、気持ち的には打ちのめされた気分ですが、死ぬ心配のない丈夫な身体を持っていると・・・・」
「左様です、キンバリー夫人。なにも諦めることはありません」
『なんでこのわたしが、このご婦人に謝る必要があるんだろ?誰だ?間違って診断書を渡したのは?わたしじゃないよな。ここに来てまだ、三ヶ月だし・・・・死ぬと思ってなにかやらかしたんだな・・・・気持ちはわかるが・・・ここで引いてくれよ・・・・頼む』
「そうですね。間違えたんですね」とクレアが言うと、それに答えず医師はココアのおかわりをすすめた。
しばらくするとクレアは病院を後にした。
クレアが病院を出るとき、医師が自らドアを開け、従業員が最敬礼で見送った。
それを目撃したものは驚いた。気位の高い医師がジャック・ルベールの娘に、頭を下げた。
それは好き勝手に枝葉を加えられて広まり、エドワード・キンバリーの耳にはいった時にはクレアに赤ん坊ができて、その赤ん坊はとびきりのプリングルで・・・・この町では褒める時にはプリングルみたいというのが定番だ。
生憎、エドワードはその事を知らなかった。
ともかくエドワードの耳にはいった時、クレアは医師がお墨付きを与えた子供を妊娠していると町中が喜んでいると・・・・エドワードは打ちのめされたが、そこからふらふらと家に向かう様は喜びのあまり足が地についていないように見えて、人々には彼のクレアへの愛情に深さに思えたのだった。
離婚を切り出したほうがいいのだろうが、クレアはエドワードが好きだ。一目惚れして一緒に暮らして、もっと好きになった。愛している。
愛するエドワードを自分に縛り付けたくない。でも別れたくない。一緒にいたい。
ただ、当たり前だがエドワードがそわそわしている。彼は紳士だから口にしないだろうが、一年立っていることは充分わかっている。不思議に思っていることだろう・・・・・何故死なないのかって。
クレアは病院に行くことにした。足が重い。
クレアがこっそり病院に行くところをいろんな人が目撃していた。ある者は病院に歩いて行く所。
ドアをゆっくり開けるところ・・・・結婚してそろそろ一年で、こっそり行く・・・・・多分ご懐妊?
名前を呼ばれて診察室に入る。
「クレア・メイジェーン・ホワイト様、あっ今はキンバリー様ですね。その後おかわりないようですね。今日はどうされましたか?」
「はい、変わりなさすぎです。それで参りました」と言いながら、一年前にもらった診断書を差し出した。
にこにこしながら受け取った医師は、読み進むにつれて顔色が悪くなり、深呼吸をするとクレアに向き直った。
「あの・・・キンバリー様大変申し訳ございません。お辛い一年だったと・・・本当に申し訳ございません」
「なにを謝っているんですか?」
「そうです、説明もせずに・・・申し訳」と言いかけた医師は咳払いをすると
「キンバリー様、人違いを致しました。その診断書は別の方の物です」
「なんですって?」
「はい、別の方の物でキンバリー様はストレスで体調をくずされて・・・・」
「死ぬんじゃないの?」
「はい、ご心痛を・・・・」
「死ぬと思って」
「ほんとに申し訳ないことを」
「死なないの?どうしよう」
医師はクレアの反応に戸惑っていた。こういう場合喜んで、落ち着いたら怒ると思っていたのが、なぜか困っているのだ。
だが、医師も専門家の矜持をかけてクレアに寄り添おうとした。
「キンバリー夫人、あなたはこれからも元気で過ごせます。未来があります」
「だって一年だって言うから・・・・・」
「それは申し訳ありません、お名前が似ていたもので・・・・他の方の診断書を・・・・」
「人違い?名前?・・・・・なんてこと・・・」
医師は精神安定効果のあるココアを用意させるとクレアにすすめ、自分も飲んだ。
しばらくするとクレアは
「つまり、いまのわたくしは元気だという事ですね。いえ、気持ち的には打ちのめされた気分ですが、死ぬ心配のない丈夫な身体を持っていると・・・・」
「左様です、キンバリー夫人。なにも諦めることはありません」
『なんでこのわたしが、このご婦人に謝る必要があるんだろ?誰だ?間違って診断書を渡したのは?わたしじゃないよな。ここに来てまだ、三ヶ月だし・・・・死ぬと思ってなにかやらかしたんだな・・・・気持ちはわかるが・・・ここで引いてくれよ・・・・頼む』
「そうですね。間違えたんですね」とクレアが言うと、それに答えず医師はココアのおかわりをすすめた。
しばらくするとクレアは病院を後にした。
クレアが病院を出るとき、医師が自らドアを開け、従業員が最敬礼で見送った。
それを目撃したものは驚いた。気位の高い医師がジャック・ルベールの娘に、頭を下げた。
それは好き勝手に枝葉を加えられて広まり、エドワード・キンバリーの耳にはいった時にはクレアに赤ん坊ができて、その赤ん坊はとびきりのプリングルで・・・・この町では褒める時にはプリングルみたいというのが定番だ。
生憎、エドワードはその事を知らなかった。
ともかくエドワードの耳にはいった時、クレアは医師がお墨付きを与えた子供を妊娠していると町中が喜んでいると・・・・エドワードは打ちのめされたが、そこからふらふらと家に向かう様は喜びのあまり足が地についていないように見えて、人々には彼のクレアへの愛情に深さに思えたのだった。
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