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食事会 1
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食事会当日、待合でカクテルを飲みながら客が話していた。話題はクレアの事だ。
「昨日の晩餐会には出てなかったけど今日くるのかな?」
誰もが見捨てたローズの看病に行って、最後の日々をやすらかなものにしたのだ。
プリングル一族として立派な行為だ。末席の者ほどその行為を誉めそやした。おおきい声で褒めれば自分もそれを支持して手伝ったと誇れるかのように・・・・
事実、そういった人間からの寄付が学校の運営を楽にしてくれている。
ジェーンとマチルダはそれらの声をにがにがしく聞いていた。それにクレアが来たらお金の事を謝らねばならない。
それは我慢ならない屈辱だった。ルビーもまた、クレアに一言、言ってやりたかった。
母親を殺した子供なんて、ルビーの奴隷をやる以外生きてる価値がないのに・・・・今日はそれを思い知らせてやるのだ。
おまけにいきなり結婚なんて身持ちの悪いローズの手伝いに行っただけのことはある汚らしさだ。
三人が武器を隠して歓談している所へクレア夫妻がやって来た。
「あら、クレアそちらがいきなり連れてきた、どこかの馬の骨」
「あら、馬の骨なんて失礼ですわ。マチルダ。順番も準備もなしにいきなりとは言え、結婚したんですもの」
「あら、ルビーごめんなさい。プリングルのお姫様のあなたがいる所でこんな事言ってしまって」
「伯母様気になさらずに、わたくしだって道理をわきまえております。クレアがやった事がいけない事だって知ってます。でも咎め立てする気はありませんわ」
とルビーが言うと
「相変わらず、わたしを馬鹿にする気、充分ね。生徒会の書類はだれに押し付けたの?って無理よね。たぶん、ジェーン伯母様に頼んで商会の見習いにでもやらせたのでは?」
「わたくし、口座の明細を見ましたの。その事でお話がありますが、先にいつもの悪口を聞いてあげたほうがいい?」
「なんですって」
「時間が勿体ないし、代わり映えしないから省く?」
「くっくっくっくっく」と横に控えて立っていたエドワードがこらえきれずに吹き出した。
「失礼な男ね、クレアとくっつくだけあるわ」とジェーンが言うと
「これは失礼しました。いまさら挨拶もないですね。あちらで一杯やってます」とエドワードは男たちが一杯やっている所へ向かった。
お金のことを持ち出されて三人は、頭に血が登った。役立たずが持っていたらお金は役立たずだ。それをこいつは役立たずのくせに・・・・
「クレア、あなたは生まれた事が罪なのよ。知っているでしょ。教えてあげたじゃない。自分の子供に殺されるなんて恐ろしい死に方だわ。義妹のナタリーがそんな目に合ったのよ・・・・」とジェーンが言えば
「そうよかわいそうな自分の親を殺して生まれて来た、あんたなんか、わたしの道具でいるのがふさわしいのよ」とルビーが口を歪めて罵り
「ほんと、何度教えたと思う?あなたはなんの価値もないのよ・・・・わたしたちに全てを差し出して罪を償うの。それが義妹のナタリーへの詫びよ」とマチルダ言いかけた所へ
「お前たち、もう一度言ってもらおうか」付き添っているエマが「場所が」と囁くと「わたしはどこにいようと言いたいことを言うよ」とお祖母様がいつものお祖母様で言った。
「クレアが親を殺して生まれただって?たしかに愛しいナタリーは自分の命と引き換えにクレアを生んだ。立派じゃないか。さすがナタリーだ。プリングルだ。それを気の毒だのかわいそうだの。ナタリーを貶めるんじゃない。
そのナタリーが生んだってことだけでクレアの価値は高い。おまえたちなんか足元にも及ばない」
「で・で・でもお祖母様、エマにそう教わりました」
「そうです、お義母様エマが」
「エマがどうだって言うんだい?エマが言ったからってそれがどうした?」
「だってエマは乳母でその後も教育の責任者で・・・」とマチルダが言えば
「なんだその嘘っぱち。そんな嘘っぱちを根拠にクレアを貶めたのか?」
お祖母様のその言葉を聞きながらクレアが先ず思ったのは
『お祖母様、喋るんだ』いつも黙っていて、たまにクレアに目を向けるがすぐに目をそらす。いや、たまにクレアの後ろにある家具をみるがすぐに他の物を見る人だったのだ。
「昨日の晩餐会には出てなかったけど今日くるのかな?」
誰もが見捨てたローズの看病に行って、最後の日々をやすらかなものにしたのだ。
プリングル一族として立派な行為だ。末席の者ほどその行為を誉めそやした。おおきい声で褒めれば自分もそれを支持して手伝ったと誇れるかのように・・・・
事実、そういった人間からの寄付が学校の運営を楽にしてくれている。
ジェーンとマチルダはそれらの声をにがにがしく聞いていた。それにクレアが来たらお金の事を謝らねばならない。
それは我慢ならない屈辱だった。ルビーもまた、クレアに一言、言ってやりたかった。
母親を殺した子供なんて、ルビーの奴隷をやる以外生きてる価値がないのに・・・・今日はそれを思い知らせてやるのだ。
おまけにいきなり結婚なんて身持ちの悪いローズの手伝いに行っただけのことはある汚らしさだ。
三人が武器を隠して歓談している所へクレア夫妻がやって来た。
「あら、クレアそちらがいきなり連れてきた、どこかの馬の骨」
「あら、馬の骨なんて失礼ですわ。マチルダ。順番も準備もなしにいきなりとは言え、結婚したんですもの」
「あら、ルビーごめんなさい。プリングルのお姫様のあなたがいる所でこんな事言ってしまって」
「伯母様気になさらずに、わたくしだって道理をわきまえております。クレアがやった事がいけない事だって知ってます。でも咎め立てする気はありませんわ」
とルビーが言うと
「相変わらず、わたしを馬鹿にする気、充分ね。生徒会の書類はだれに押し付けたの?って無理よね。たぶん、ジェーン伯母様に頼んで商会の見習いにでもやらせたのでは?」
「わたくし、口座の明細を見ましたの。その事でお話がありますが、先にいつもの悪口を聞いてあげたほうがいい?」
「なんですって」
「時間が勿体ないし、代わり映えしないから省く?」
「くっくっくっくっく」と横に控えて立っていたエドワードがこらえきれずに吹き出した。
「失礼な男ね、クレアとくっつくだけあるわ」とジェーンが言うと
「これは失礼しました。いまさら挨拶もないですね。あちらで一杯やってます」とエドワードは男たちが一杯やっている所へ向かった。
お金のことを持ち出されて三人は、頭に血が登った。役立たずが持っていたらお金は役立たずだ。それをこいつは役立たずのくせに・・・・
「クレア、あなたは生まれた事が罪なのよ。知っているでしょ。教えてあげたじゃない。自分の子供に殺されるなんて恐ろしい死に方だわ。義妹のナタリーがそんな目に合ったのよ・・・・」とジェーンが言えば
「そうよかわいそうな自分の親を殺して生まれて来た、あんたなんか、わたしの道具でいるのがふさわしいのよ」とルビーが口を歪めて罵り
「ほんと、何度教えたと思う?あなたはなんの価値もないのよ・・・・わたしたちに全てを差し出して罪を償うの。それが義妹のナタリーへの詫びよ」とマチルダ言いかけた所へ
「お前たち、もう一度言ってもらおうか」付き添っているエマが「場所が」と囁くと「わたしはどこにいようと言いたいことを言うよ」とお祖母様がいつものお祖母様で言った。
「クレアが親を殺して生まれただって?たしかに愛しいナタリーは自分の命と引き換えにクレアを生んだ。立派じゃないか。さすがナタリーだ。プリングルだ。それを気の毒だのかわいそうだの。ナタリーを貶めるんじゃない。
そのナタリーが生んだってことだけでクレアの価値は高い。おまえたちなんか足元にも及ばない」
「で・で・でもお祖母様、エマにそう教わりました」
「そうです、お義母様エマが」
「エマがどうだって言うんだい?エマが言ったからってそれがどうした?」
「だってエマは乳母でその後も教育の責任者で・・・」とマチルダが言えば
「なんだその嘘っぱち。そんな嘘っぱちを根拠にクレアを貶めたのか?」
お祖母様のその言葉を聞きながらクレアが先ず思ったのは
『お祖母様、喋るんだ』いつも黙っていて、たまにクレアに目を向けるがすぐに目をそらす。いや、たまにクレアの後ろにある家具をみるがすぐに他の物を見る人だったのだ。
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