一年で死ぬなら

朝山みどり

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出会い

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ずいぶん、子供たちが賑やかだなと窓の外をみると、

「がんばれよー」と子供に言われながら青年が庭にはいってきた。

何事かと戸口に向かった。控えめなノックの後に

「ラリーの使いです。ローズさん」と声がした。

ドアを開けると

「ローズさんのお宅ですか?」と青年が静かに挨拶をした。

黙ってうなづいて中にはいるよう促すと

「失礼します」小さな声で答えた。

テーブルについてもらいお茶の用意をしながら

「ラリーさんのお使いの方と言うのは?」

「はい、ラリーのローレンス・ブラウンの友人です。ローズさんのご家族ですか?」

「私はローズの友人です。クレア・メイジェーン・ホワイトです」

「私はエドワード・キンバリーと言います」

二人はしばし無言で見つめ合った。

クレアはお茶をテーブルに並べながら

「先に申しますと、ローズは先日亡くなりました。この家は間違いなくローズの家です」

「なんということだ・・・・あぁラリー・・・・」

「思いがけないことで・・・そのラリーも亡くなってます。遺品を整理したらローズさんのことがわかって・・・・代わりに訪ねて来ました」

「どうぞ・・・・落ち着きましょ」とカップを手に取りながらクレアはすすめた。


二人はお茶を飲みながら、たまにちらっと相手をみるとそらし、そらしてはみていた。

「ローズからラリーと名前を聞いています。家名もどこに住んでいるかもなにも・・・・ただ、ラリーとだけ」

「遺品の整理したらローズさんを描いたスケッチが・・・・それと名前を刻んだ指輪が・・・それで」

「そうですか。その・・・・ブラウン様はローズの事を・・・名前を刻んだ指輪があるということは・・・その・・」

「はい、ラリーはローズさんを愛していたと言えます。私はそれを伝えに来たのですが・・・ローズさんまで・・・」

「本人がいないのに・・・私が言うのもなんですが・・・・ローズは間違いなくブラウン様を愛していました」

「不思議ですね・・・・二人はいないのに・・・・愛は確かにここにあると感じます」

同じ気持ちだとクレアは思ったが黙ってお茶のお代わりを注いだ。


カップを置いてクレアは

「ローズのお墓に行きましょう」とエドワードに微笑みかけた。


昨日、クレアが備えた野ばらが二人を待っていた。

膝まづいたエドワードは墓標を読んで息を飲んだ、

「なんと・・・子供が・・・・おぉもっと早く来れていたら・・・・」

肩を震わせるエドワードの背をクレアは撫ぜた。


「ローズの事をお話します。一度家に帰りましょう」そういうと先に立って歩き出した。

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