一年で死ぬなら

朝山みどり

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ローズの死

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ふと目を開いたローズがクレアを見て

「寝ていてもそこにクレアがいることがわかっているからこわくないわ。あの子の父親の事を話させて・・・・皆の噂は聞いて知ってるでしょ。騙された、遊ばれたって・・・・・違うわ。愛したの。愛してくれたの。あの子ができたのがわかった時、困ったし怖かったけど、後悔はなかった。彼がくれたんだもの・・・・

彼はここに絵を描きに来た学生・・・・プロポーズされたの・・・もうすぐ彼がやって来るわ・・・ラリーって人・・・・その・・・彼の家族は多分・・・・多分・・・・こんな田舎の小娘が気に入らないと思うの・・・・彼も自分のまわりのお嬢さんを見たら・・・それでもいいの・・・・彼はあの子をくれたから・・・・」

話を聞きながらクレアはローズの手をしっかりと握った。ローズは再び眠りに落ちたようだった。

その夜、クレアはローズの呼吸がおかしいのに気づいた。

ローズはクレアのほうを見たが、見ているのはその後ろだった。目の光が強くなり唇が動いた。

「ラリー」確かにそう動いた。そして見開いた目はクレアを見ることなく光を失った。


最後にラリーの姿を映した目をクレアはそっと閉じた。あの子の巻き毛をいれた袋を持たせて両手を組み合わせた。袋にはローズが名付けたあの子の名前が刺繍してある。

それからクレアは知らせる為に近所の家に行った。


驚いたことに葬儀にはプリングル一族から出席者がいた。

教会から連絡が行ったんだとクレアは思った。葬儀に一族が出席すればクレアの家出は醜聞ではなく美談になる。

良き隣人として苦境にある幼馴染の最後を穏やかな物にしたんだと。

従って葬儀は立派な物になった。ローズは我が子の隣に埋葬され墓石は母子の物が建てられた。



共に帰ろうと言う伯父の言葉に逆らいクレアはここに残った。

クレアは愛するものを抱いて愛する人のもとへ行った、ローズの最期を思った。自分のそれはどういう物になるのだろう。

体調はとても良い、学院で悩まされた症状はなにもなかった。

自分で苦労して作る食事はそれなりに美味しいし、字を習いたい子供が増え忙しくなった。プリングルが介入したことで資金が増えノートや鉛筆も手に入った。

刺繍も習いたい者が出てきて、上達が収入に結びつくとあって皆熱心だった。




そんなある日、子供たちに案内されて一人の青年がやって来た。

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