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22 ミヨコの家族
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わたしたち、四人は久しぶりに神社の裏に来た。くちに出さずとも、なんとなくみんな良心の呵責というのを感じているようだ。
それはあたりまえだ。だってカスミはともだちだったし・・・だけど・・・悪いのはカスミだ。
ひとりだからちょっと気の毒だけど・・・いやがらせをしなければよかったのだ。口を開けば誰かを傷つけいい話があれば自分のものにする。
カスミは被害者になんの良心の呵責を感じなかったと思う。とか思っていたら・・・
「わたし、カスミがいなくなって嬉しいと思ってね」とヒバリが言い出した。
「だって、面倒で・・・わたしがなにかやってるとそばに来てしたり顔で、わかりきったことを言ってうまく言ったら自分が手伝ったからって・・・だんだん、みんながわかってくれるようになったから良かったけど・・・ほんと小学生の頃なんか、花壇の水やり当番さぼってばかりで、カスミはわたしの次の順番で当番の終わり頃に先生に一週間がんばってみたけど、生き返らなかったって言いつけられてね。わたしがすごく怒られた。わたしはちゃんと水やりをした。元気な状態でカスミの当番になった・・・それなのに・・・」
あのときか・・・と思い出せた。みんなもそうだったようでうなずいてた。
「今回も偉そうにそばにいて・・・いやだった。もう寄せ付けるつもりはなかったけど、いなくなってせいせいした。じぶんでもひどい言い様と思うけどね。毒に対抗するには自分も毒になるしかないのよ」とヒバリが言い切ったとき、心からそう思った。
「そうだよね。だけどなんかもやもやしてね。カスミは不幸になったでしょ。いなくなったことは嬉しいけど不幸になったのを喜んだらいけないって・・・だけど二つは別のものよね。まだカスミがこの町にいてもわたしはカスミを。えーと、毒だっと捨てられる。たまたまいなくなったけど。毒だもの。あぶない」とミヨコが言った。
「いい表現ね。毒って。本当にそうだった」とレイナは言うと湖を見て
「この景色ってほんと、好き」と言った。
いろいろ喋って気が軽くなってわたしたちは山を降りた。最初にヒバリが別れて行った。
次がカスミの家だ。車が止まっている。不動産やさん?借金取り?わたしたち三人は黙って家のまえを通った。
レイナの家のほうから、賑やかな一団がやって来た。
「兄ちゃん。姉ちゃん」とミヨコが手を振った。
「おぉ可愛いミヨコちゃん。卒業だろ。その前に誕生日だ。絶対に忘れないようにしたからな・・・」
「は??」
「はれ?知らなかったのか?」
「もう、お前がおなかにいるとき、俺たちすごく嬉しくてな!みんなでいっぱい可愛がれるって。それで絶対に忘れないように誕生日を名前にしたんだ。そうじゃなくてもたくさんいるから、うっかりすると自分の誕生日の忘れるからな・・・でも三月四日で良かったよな。可愛くて。サンゴちゃんがいいとか、ミナちゃんがいいとか、勝手なことをいうやつがいて、おれは苦労した」
「ひとりでぺらぺらうるさいぞ。三月七日に生まれてミナちゃんでもよかったのに。えーーとレイナちゃんとキリコちゃんだよね。ミヨコと仲良くしてくれてありがとな。新聞も読んだぞ。学校のために偉かったな」
「こら、いつまでもミヨコを独り占めするな」
「えーーとこんにちは、それではここで」と言うとレイナはさっと歩いて行った。
「そうだ、キリコちゃん引き止めてごめんな。行こうか」と言うとミヨコの兄姉は歩き出した。
みんながいろいろしゃべるので別れ道に来るとほっとした。
なんだ、ミヨコの名前って愛情たっぷりにつけられた名前じゃないの。と思ったわたしは
ここにはいないカスミに向かって
「わかった?!!」と得意げに言ってしまった。
それはあたりまえだ。だってカスミはともだちだったし・・・だけど・・・悪いのはカスミだ。
ひとりだからちょっと気の毒だけど・・・いやがらせをしなければよかったのだ。口を開けば誰かを傷つけいい話があれば自分のものにする。
カスミは被害者になんの良心の呵責を感じなかったと思う。とか思っていたら・・・
「わたし、カスミがいなくなって嬉しいと思ってね」とヒバリが言い出した。
「だって、面倒で・・・わたしがなにかやってるとそばに来てしたり顔で、わかりきったことを言ってうまく言ったら自分が手伝ったからって・・・だんだん、みんながわかってくれるようになったから良かったけど・・・ほんと小学生の頃なんか、花壇の水やり当番さぼってばかりで、カスミはわたしの次の順番で当番の終わり頃に先生に一週間がんばってみたけど、生き返らなかったって言いつけられてね。わたしがすごく怒られた。わたしはちゃんと水やりをした。元気な状態でカスミの当番になった・・・それなのに・・・」
あのときか・・・と思い出せた。みんなもそうだったようでうなずいてた。
「今回も偉そうにそばにいて・・・いやだった。もう寄せ付けるつもりはなかったけど、いなくなってせいせいした。じぶんでもひどい言い様と思うけどね。毒に対抗するには自分も毒になるしかないのよ」とヒバリが言い切ったとき、心からそう思った。
「そうだよね。だけどなんかもやもやしてね。カスミは不幸になったでしょ。いなくなったことは嬉しいけど不幸になったのを喜んだらいけないって・・・だけど二つは別のものよね。まだカスミがこの町にいてもわたしはカスミを。えーと、毒だっと捨てられる。たまたまいなくなったけど。毒だもの。あぶない」とミヨコが言った。
「いい表現ね。毒って。本当にそうだった」とレイナは言うと湖を見て
「この景色ってほんと、好き」と言った。
いろいろ喋って気が軽くなってわたしたちは山を降りた。最初にヒバリが別れて行った。
次がカスミの家だ。車が止まっている。不動産やさん?借金取り?わたしたち三人は黙って家のまえを通った。
レイナの家のほうから、賑やかな一団がやって来た。
「兄ちゃん。姉ちゃん」とミヨコが手を振った。
「おぉ可愛いミヨコちゃん。卒業だろ。その前に誕生日だ。絶対に忘れないようにしたからな・・・」
「は??」
「はれ?知らなかったのか?」
「もう、お前がおなかにいるとき、俺たちすごく嬉しくてな!みんなでいっぱい可愛がれるって。それで絶対に忘れないように誕生日を名前にしたんだ。そうじゃなくてもたくさんいるから、うっかりすると自分の誕生日の忘れるからな・・・でも三月四日で良かったよな。可愛くて。サンゴちゃんがいいとか、ミナちゃんがいいとか、勝手なことをいうやつがいて、おれは苦労した」
「ひとりでぺらぺらうるさいぞ。三月七日に生まれてミナちゃんでもよかったのに。えーーとレイナちゃんとキリコちゃんだよね。ミヨコと仲良くしてくれてありがとな。新聞も読んだぞ。学校のために偉かったな」
「こら、いつまでもミヨコを独り占めするな」
「えーーとこんにちは、それではここで」と言うとレイナはさっと歩いて行った。
「そうだ、キリコちゃん引き止めてごめんな。行こうか」と言うとミヨコの兄姉は歩き出した。
みんながいろいろしゃべるので別れ道に来るとほっとした。
なんだ、ミヨコの名前って愛情たっぷりにつけられた名前じゃないの。と思ったわたしは
ここにはいないカスミに向かって
「わかった?!!」と得意げに言ってしまった。
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