湖の町。そこにある学校

朝山みどり

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05 想定外の台本

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さて、台本が決まったからと配られた。

驚いた。いいの?こんなので・・・楽しそうだからいいけど・・・


それは、寂れた町でヒマしてる若者が街角で、歌ったり踊ったりして遊んでいると、一人のおばあちゃんがやって来て、こうやって踊るんだよとステップと振りを教えてくれる。

いい子の若者はそれを取り入れる。教えてくれるおばあちゃんも踊りの輪に入り、踊る。

踊りながら若返っていくおばあちゃん。ついにはソロで踊り始める。手拍子で応援する若者。暗転

別の日はおじさんがやって来て同じことが起こる。おじさんも踊りが上手。暗転

別の日はおばちゃんがいや、お姉ちゃん・・・お姉さまがやって来て・・・

若者たちは学校の体育館を借りて、習った踊りを見せる事にする。

町をまわってポスターを貼ったり、もちろん踊りながら・・・

おばあちゃん役が着る衣装を借りに行ったり、小道具をくれるおうちに行ったり準備をする。踊りながら・・・

そして公演。昔、この町に住んでいた人がぞくぞく帰って来る。半透明でにこにこしながら・・・

公演は大成功。生徒会役員がこのことを町の新聞社に送った所、小さな記事になる。

それをみた人から電話があり、若者たちは大会に応募する。


大会に出発する若者たちを見送るシーンで終了。



確かに細かい演技とか出来ないから、歌と踊りを見せればいいし、この町は年寄りが多いから受けるかも。


翌日から時間割が大幅に変わった。

役への応募は第一希望。第二希望。二つまで可能で。なんと一人でたくさん役をしてもいい。

最初に出てくるおばあちゃんも出来るし、公演を見に来る半透明も出来る。半透明の一人はおばあちゃんを迎えに来た人だったりして、泣けるシーンになるはずだ。


わたしは踊りを教えてくれるおじさんと、組んで踊る役を第一希望。若者役を第二希望とした。



舞台に出たい人は、体育の時間に踊りのDVDを見ながら練習。ステップの細かい所を何度も練習する。


振り付けはエリカ先生が全部考えたらしい。真似だと面白くないそうだ。だからDVDで見るのはステップの部分と乗りだ。

大事なのは皆が合っていることらしい。『わたしはソロで輝くの』ってセリフは封印ってこと。

合わせるには練習だ。練習だけだ。と思っていたが、ルミコは踊りを図で描いている。はっきり言って面倒だけどルミコは必ず記録を取る。わたし以外はいい子だから描き終わるの待っている。もちろんわたしだって口に出さない。態度にも出してない。はず・・・

不思議と練習していると気が合う人がわかって来た。この人たちと舞台に立ちたい。

いつもの仲間も良いけど、この仲間も良い。


そして、役が発表された。良かった!わたしは第一希望のおじさんの相手役に選ばれた。若者役は八人。おばあちゃんとお姉さまはサチヨひとりで二つ。上手いもんね。

忘れてた。おじさん役はマナブだ。マナブよろーーー

サチヨとは席が近くになった時に話したくらいだったけど、踊りが上手かった。ちょっと、とろくてリズムに遅れるけど、なんというか止まった時に綺麗なのだ。えーーと決めポーズが上手い!!

それにすごくスタイルがいい。顔は・・・普通だけど。多分化粧で化ける?って顔かな?


役が決まってから、練習に一段と力が入った。大事なのは揃っていること。後は笑顔。意外とこれが難しかった。

雑談の時は皆、笑顔なのに踊り始めると真剣な顔になってしまう。振りを間違えないようにって方に頭が行ってしまうのだ。

どうすれば笑顔になるんだろうか?

最近は家に帰る時もステップ踏みながら帰るようになった。学校でそのことを話すとみんな一緒だった。大笑いしてしまった。


先生たち曰く。自信がつけば、余裕が出て笑顔が出来る。その為には練習だとか・・・






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