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第6話 十年後?! リシア目線 アレク目線
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ベッドで目を覚ましたとき、アレクも護衛もいなかった。
あわてて自分を叱咤した。「冷静であれ、冷静であれ、状況を・・・状況を把握しろ」
体に怪我はないが、魔力がなくなっていた。
魔力がない・・・役立たずだ。
そして十年後とか!なにがあったの?!
できればアレクの無事を確認したかったが、この姿でいっても会えないだろう。
十年経っているのに変わってない。
第一アレクが覚えていないかも知れない・・・
騙していて申し訳ないが記憶がない振りをした。
教会に住まわせて貰い、わたしは子供たちの世話をした。
すると厄介なことに、領主の息子がうろうろし始めた。
どうやって逃げようかと思っていたら、王都に行って文官試験を受けたらと神父様がすすめてくれた。
それでケントと一緒に王都に行った。ケントはわたしを助けてくれた人だ。
わたしを背負って教会まで連れていってくれたと聞いた。
彼はわたしを心配して、誕生日を決めてくれた。ケントと同じ日だ。ちょっと微笑ましい。
そして、王都へ出発する前の日、わたしは、二回目の十八歳になった。
幸い、二人とも試験に合格した。試験を受けた人たちは、大半が貴族だった。
研修が始まると、わたしはケントともう一人、ダグラスの手助けをした。
ダグラスは魔術師を目指しているらしく、魔力が多い。きちんと習って扱いになれると重要な戦力になれるだろう。
一方ケントは剣をうまく扱っている。その上魔力が少しある。本人は気づいていないが・・・・
きちんと指導を受けたら伸びるだろう。
研修で学ぶのは主に王宮のマナーだった。わたしは二人をサポートした。
そんなある日、わたしは王太子殿下の第一王子にお使えすることになった。
アレクの甥にあたる方だ。このかたのそばにいれば、アレクと会えるかもと思った。
そしてわたしはアレクと再会した。
◇◇◇アレク目線
魔獣討伐から戻って国王への報告をしようと父の執務室へ向かっていると、ギルバードが庭でお茶をしているのが見えた。
銀色の髪が隣で輝いている。エリシアの髪の色だ。
おれはそちらへ歩いていった。ちかづくとミルフォーク語で会話していた。声の調子、声、間違いなくエリシアだ。あの日の、いやずっと綺麗だ。十年経っているのに変わりがない。エリシアのままだ。
声をかけると立ち上がり振り向いた。エリシアだ。その喉からもれでた『アレク?』という音。間違いない。
エリシアだ。今すぐ抱きしめたかった。
だが、自分を押しとどめゆっくりとエリシアを見た。なにか察したギルバードがエリシアを後ろに隠す姿勢をみせた。だが、おれが強引に話しかけた。
エリシアはおれに名前を告げた後
「久しぶりのお二人でございますね。どうぞ、ごゆっくり。わたくしはこれで失礼致します」と言うと去って行った。
あれから十年経っていて変わらない容姿。なぜか、魔力を感じない、それがなんだ。
エリシアはエリシアだ。
おれは精神を振り絞って追いかけたい脚、抱きしめたい腕を止め、エリシアを見送った。
あわてて自分を叱咤した。「冷静であれ、冷静であれ、状況を・・・状況を把握しろ」
体に怪我はないが、魔力がなくなっていた。
魔力がない・・・役立たずだ。
そして十年後とか!なにがあったの?!
できればアレクの無事を確認したかったが、この姿でいっても会えないだろう。
十年経っているのに変わってない。
第一アレクが覚えていないかも知れない・・・
騙していて申し訳ないが記憶がない振りをした。
教会に住まわせて貰い、わたしは子供たちの世話をした。
すると厄介なことに、領主の息子がうろうろし始めた。
どうやって逃げようかと思っていたら、王都に行って文官試験を受けたらと神父様がすすめてくれた。
それでケントと一緒に王都に行った。ケントはわたしを助けてくれた人だ。
わたしを背負って教会まで連れていってくれたと聞いた。
彼はわたしを心配して、誕生日を決めてくれた。ケントと同じ日だ。ちょっと微笑ましい。
そして、王都へ出発する前の日、わたしは、二回目の十八歳になった。
幸い、二人とも試験に合格した。試験を受けた人たちは、大半が貴族だった。
研修が始まると、わたしはケントともう一人、ダグラスの手助けをした。
ダグラスは魔術師を目指しているらしく、魔力が多い。きちんと習って扱いになれると重要な戦力になれるだろう。
一方ケントは剣をうまく扱っている。その上魔力が少しある。本人は気づいていないが・・・・
きちんと指導を受けたら伸びるだろう。
研修で学ぶのは主に王宮のマナーだった。わたしは二人をサポートした。
そんなある日、わたしは王太子殿下の第一王子にお使えすることになった。
アレクの甥にあたる方だ。このかたのそばにいれば、アレクと会えるかもと思った。
そしてわたしはアレクと再会した。
◇◇◇アレク目線
魔獣討伐から戻って国王への報告をしようと父の執務室へ向かっていると、ギルバードが庭でお茶をしているのが見えた。
銀色の髪が隣で輝いている。エリシアの髪の色だ。
おれはそちらへ歩いていった。ちかづくとミルフォーク語で会話していた。声の調子、声、間違いなくエリシアだ。あの日の、いやずっと綺麗だ。十年経っているのに変わりがない。エリシアのままだ。
声をかけると立ち上がり振り向いた。エリシアだ。その喉からもれでた『アレク?』という音。間違いない。
エリシアだ。今すぐ抱きしめたかった。
だが、自分を押しとどめゆっくりとエリシアを見た。なにか察したギルバードがエリシアを後ろに隠す姿勢をみせた。だが、おれが強引に話しかけた。
エリシアはおれに名前を告げた後
「久しぶりのお二人でございますね。どうぞ、ごゆっくり。わたくしはこれで失礼致します」と言うと去って行った。
あれから十年経っていて変わらない容姿。なぜか、魔力を感じない、それがなんだ。
エリシアはエリシアだ。
おれは精神を振り絞って追いかけたい脚、抱きしめたい腕を止め、エリシアを見送った。
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