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第62話 スペリオル皇国
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クレールスター皇国とリーブル王国が戦争を初めて国境で戦闘をしたと報告を聞いた、スペリオル皇国の首脳陣は、今がその時だと思った。
なんと五日も続いた戦闘らしい。リーブル王国の決意がわかる。あの大国相手に五日も持ちこたえるとは、準備も相当にしているはずだ。
皇国も全力で迎え撃つだろう。そう思ったスペリオル皇国は兼ねて準備していた通り打って出ようとしたが、兼ねて準備を早くしすぎて、もう一度準備が必要だった。
それならとじっくり準備して、国力を削がれたクレールスター皇国へ進行した。抵抗は予想以上だったが、少しずつ押して王都の手前まで来た。
ここでクレールスター皇国が戦力を結集しているのを見た司令官は援軍の要請をした。
皇帝は迷ったが、援軍を出した。スペリオル皇国の首都は後ろに大河を控えている要塞だ。それに敵は前方のクレールスター皇国だ。ここで戦力を惜しんで挽回されるのは愚かだ。一気に攻めよう。
皇帝は勝利の知らせを待った。
その知らせは未明に入った。後ろにどこかの軍がいます。大軍です。
何故うしろに大軍?河から沸いたか? 城の者はみなそう思った。そしてそれは正解だった。
河から兵士がわらわらと歩いて来るのだ。奇妙な集団だった。ある者ははつらつと城門目指して急ぎ、ある者は、青を通り越して白い顔色で、ゆらゆらと歩き、たまに地面に這いつくばって口からなにかを出している。
元気な者は城門に取り付き丸太を打ち付けている。
やがて門が開く頃ゆらゆらと歩いてきた死にそうな集団も一緒になってゆらゆらと門のなかに入って来た。
ここでこの城を落とされるわけに行かない。守備隊は決死の覚悟で応戦した。
ゆらゆらした兵はゆらゆらながら手ごわく敵を切って捨てる。血が飛んで、ゆらゆらの腕にかかり血の匂いがあたりに満ちた。
するとゆらゆらがうん?となるとしゃきっとなった。
「よっしゃぁ回復したぁ」剣を振り回しながら奥へ走って行った。
これが後に有名になった現象だ。船酔いが血の匂いで回復したとか・・・多分、水が飛んだせいだろうと言われている。
ただ、城内の血の匂いがひどくなるにつれて船酔いが治っていったのは事実だ。
スペリオル皇国は戦った。そして敗れた。城に残っていた王族は自決した。
ホワイト遠征部長を王座の間で迎えたのは王族の骸と十三歳の王女だった。
「ありゃ、なんでこの娘を残したんだ?」と部長が言うと
「頼みますってこの人が」と兵の一人は指さしたのは服装と年齢からみると乳母だろうか?
「なんで頼まれるんだよ。殺しとけよ」
「お任せしようかと」と兵は泣きそうな顔で言った。
おれは上司(主にアレク)にも部下(こいつ)にも恵まれないと部長はため息をついた。
彼は、剣を納めて王女に話しかけた。
「これからは一人だ。お別れを言いなさい」
王女は首を横に振った。
「もう言いました」
「そうか、持って行きたい物があるか?部屋に取りに行こう」
王女はうなづくとホワイト部長の手に自分の手を滑り込ませた。
二人は手をつないで、死体を避けながら部屋を出て行った。
なんと五日も続いた戦闘らしい。リーブル王国の決意がわかる。あの大国相手に五日も持ちこたえるとは、準備も相当にしているはずだ。
皇国も全力で迎え撃つだろう。そう思ったスペリオル皇国は兼ねて準備していた通り打って出ようとしたが、兼ねて準備を早くしすぎて、もう一度準備が必要だった。
それならとじっくり準備して、国力を削がれたクレールスター皇国へ進行した。抵抗は予想以上だったが、少しずつ押して王都の手前まで来た。
ここでクレールスター皇国が戦力を結集しているのを見た司令官は援軍の要請をした。
皇帝は迷ったが、援軍を出した。スペリオル皇国の首都は後ろに大河を控えている要塞だ。それに敵は前方のクレールスター皇国だ。ここで戦力を惜しんで挽回されるのは愚かだ。一気に攻めよう。
皇帝は勝利の知らせを待った。
その知らせは未明に入った。後ろにどこかの軍がいます。大軍です。
何故うしろに大軍?河から沸いたか? 城の者はみなそう思った。そしてそれは正解だった。
河から兵士がわらわらと歩いて来るのだ。奇妙な集団だった。ある者ははつらつと城門目指して急ぎ、ある者は、青を通り越して白い顔色で、ゆらゆらと歩き、たまに地面に這いつくばって口からなにかを出している。
元気な者は城門に取り付き丸太を打ち付けている。
やがて門が開く頃ゆらゆらと歩いてきた死にそうな集団も一緒になってゆらゆらと門のなかに入って来た。
ここでこの城を落とされるわけに行かない。守備隊は決死の覚悟で応戦した。
ゆらゆらした兵はゆらゆらながら手ごわく敵を切って捨てる。血が飛んで、ゆらゆらの腕にかかり血の匂いがあたりに満ちた。
するとゆらゆらがうん?となるとしゃきっとなった。
「よっしゃぁ回復したぁ」剣を振り回しながら奥へ走って行った。
これが後に有名になった現象だ。船酔いが血の匂いで回復したとか・・・多分、水が飛んだせいだろうと言われている。
ただ、城内の血の匂いがひどくなるにつれて船酔いが治っていったのは事実だ。
スペリオル皇国は戦った。そして敗れた。城に残っていた王族は自決した。
ホワイト遠征部長を王座の間で迎えたのは王族の骸と十三歳の王女だった。
「ありゃ、なんでこの娘を残したんだ?」と部長が言うと
「頼みますってこの人が」と兵の一人は指さしたのは服装と年齢からみると乳母だろうか?
「なんで頼まれるんだよ。殺しとけよ」
「お任せしようかと」と兵は泣きそうな顔で言った。
おれは上司(主にアレク)にも部下(こいつ)にも恵まれないと部長はため息をついた。
彼は、剣を納めて王女に話しかけた。
「これからは一人だ。お別れを言いなさい」
王女は首を横に振った。
「もう言いました」
「そうか、持って行きたい物があるか?部屋に取りに行こう」
王女はうなづくとホワイト部長の手に自分の手を滑り込ませた。
二人は手をつないで、死体を避けながら部屋を出て行った。
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