気がついたら無理!絶対にいや!

朝山みどり

文字の大きさ
上 下
44 / 68

第44話 炊き出しの顛末

しおりを挟む
公爵家の者も騎士団もスープを食べて歓声をあげた。

「美味しいなぁ。野営の飯はまずかったもんな」と言う声にギルバードは内心賛成だったが、なにも言わなかった。公爵家として褒めればいいのだろうか?褒めれば相手は名誉と思うだろうか? なにか違うような気がする。
それで、ギルバート・ダイナはすごすごと帰った。同時になんの助けにもならない騎士団長を恨んだ。

まぁ自分は公爵家の者であるのにこんな遠くの地に、野営しながら来たんだ。それだけで、充分な功績だ。

今回は順番で割りを食ったが、役目を果たした。と気を取り直して王都に戻った。


騎士団長と一緒に国王への報告をしたが、そこで思わぬ叱責を受けた。

「この報告は本当か?民を励ましたのか?民は喜んだのか?」と国王が報告書を見ながら言う横には王妃も座っており厳しい目をギルバードに向けていた。

「報告とはどこからでしょうか?」とギルバードが問うと

「おまえに言う必要はない」と国王が答えた。

そこに王妃が
「ダイナ公爵家は騎士団長の手を煩わせたようですね。人の良い騎士団長を巻き込んで。あなたのお父様の公爵の具合は?公爵ご本人はどう思っているのかしら」と敵意丸出しで言った。

国王は団長に向かって
「悪かった。ギルバードが頼りないので、ついつい。忙しいのに本当にすまない。報告によると食材もなかったようだな」と言うと頭を下げて詫びた。

王妃は
「なんでもポーレットが口を挟んだとか聞いたけど・・・騎士団の手助けがないと公爵家は仕事が出来ないの?」

「それは・・・」とギルバードが答えられずにいる所へアレクがやって来た。

「まぁ大変だったそうだね。ご苦労様。なにも出来なかったようだけど、移動は大変だったのでは?」とギルバードに話しかけ、全員に向かって

「中途半端は良くないでしょ。名誉を回復しなくては。それでどうでしょ?炊き出しをやってみたら?ダイナ公爵家だけでなく、他の公爵家も。広場でお祭りを兼ねてさ。汁物と肉が炊き出しで、他の公爵家もなにか出して?自分たちで工夫して・・・なんだか考えたらワクワクするな。・・・??わたしだけかな?話し合いだと決まらないから、特務部で大要を決めて通達する。いいかな? 邪魔したな・・・学生時代の仲良しが国を運営。羨ましいなぁ」と言うとさっさと出て行った。

王妃も立ち上がると

「わたくしも失礼します。役立たずの弟なんて、ポーレットに同情しますわ」と言うと出て行った。

拳を握るギルバードに向かって国王は

「許してやってくれ、娘のメアリーがいなくなって寂しいんだ。それにエドワードが・・・まぁそれで苛立っているんだ」と言うとみなに向かって

「あの男の提案に乗ってみよう」と言った。

「ずいぶん、態度が大きいですね。他国者よそもののくせに」とギルバードが拳を握ったまま言うと

「まぁそう言わずに、便利なやつだ。雑用をやってくれる。それにいい考えだ。ステラとポーレットの仲直りのきっかけになる! いつもの仲間で集まれる。そしたら元の二人に戻るだろう。いろいろあって立場の違いで衝突しただけだ。我々がうまく行ってこそ国政もうまく行く。それにダイナ公爵家が上にあると他の公爵家に示すいい機会だ」と国王が答えると

「深いお心に感謝致します」とギルバードが頭を下げた。
しおりを挟む
感想 283

あなたにおすすめの小説

言い訳は結構ですよ? 全て見ていましたから。

紗綺
恋愛
私の婚約者は別の女性を好いている。 学園内のこととはいえ、複数の男性を侍らす女性の取り巻きになるなんて名が泣いているわよ? 婚約は破棄します。これは両家でもう決まったことですから。 邪魔な婚約者をサクッと婚約破棄して、かねてから用意していた相手と婚約を結びます。 新しい婚約者は私にとって理想の相手。 私の邪魔をしないという点が素晴らしい。 でもべた惚れしてたとか聞いてないわ。 都合の良い相手でいいなんて……、おかしな人ね。 ◆本編 5話  ◆番外編 2話  番外編1話はちょっと暗めのお話です。 入学初日の婚約破棄~の原型はこんな感じでした。 もったいないのでこちらも投稿してしまいます。 また少し違う男装(?)令嬢を楽しんでもらえたら嬉しいです。

あなたの姿をもう追う事はありません

彩華(あやはな)
恋愛
幼馴染で二つ年上のカイルと婚約していたわたしは、彼のために頑張っていた。 王立学園に先に入ってカイルは最初は手紙をくれていたのに、次第に少なくなっていった。二年になってからはまったくこなくなる。でも、信じていた。だから、わたしはわたしなりに頑張っていた。  なのに、彼は恋人を作っていた。わたしは婚約を解消したがらない悪役令嬢?どう言うこと?  わたしはカイルの姿を見て追っていく。  ずっと、ずっと・・・。  でも、もういいのかもしれない。

全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。

彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。

【完結】内緒で死ぬことにした〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を、なぜわたしは生まれ変わったの?〜  

たろ
恋愛
この話は 『内緒で死ぬことにした  〜いつかは思い出してくださいわたしがここにいた事を〜』 の続編です。 アイシャが亡くなった後、リサはルビラ王国の公爵の息子であるハイド・レオンバルドと結婚した。 そして、アイシャを産んだ。 父であるカイザも、リサとハイドも、アイシャが前世のそのままの姿で転生して、自分たちの娘として生まれてきたことを知っていた。 ただアイシャには昔の記憶がない。 だからそのことは触れず、新しいアイシャとして慈しみ愛情を与えて育ててきた。 アイシャが家族に似ていない、自分は一体誰の子供なのだろうと悩んでいることも知らない。 親戚にあたる王子や妹に、意地悪を言われていることも両親は気が付いていない。 アイシャの心は、少しずつ壊れていくことに…… 明るく振る舞っているとは知らずに可愛いアイシャを心から愛している両親と祖父。 アイシャを助け出して心を救ってくれるのは誰? ◆ ◆ ◆ 今回もまた辛く悲しい話しが出てきます。 無理!またなんで! と思われるかもしれませんが、アイシャは必ず幸せになります。 もし読んでもいいなと思う方のみ、読んで頂けたら嬉しいです。 多分かなりイライラします。 すみません、よろしくお願いします ★内緒で死ぬことにした の最終話 キリアン君15歳から14歳 アイシャ11歳から10歳 に変更しました。 申し訳ありません。

妹が私の婚約者と結婚しちゃったもんだから、懲らしめたいの。いいでしょ?

百谷シカ
恋愛
「すまない、シビル。お前が目覚めるとは思わなかったんだ」 あのあと私は、一命を取り留めてから3週間寝ていたらしいのよ。 で、起きたらびっくり。妹のマーシアが私の婚約者と結婚してたの。 そんな話ある? 「我がフォレット家はもう結婚しかないんだ。わかってくれ、シビル」 たしかにうちは没落間近の田舎貴族よ。 あなたもウェイン伯爵令嬢だって打ち明けたら微妙な顔したわよね? でも、だからって、国のために頑張った私を死んだ事にして結婚する? 「君の妹と、君の婚約者がね」 「そう。薄情でしょう?」 「ああ、由々しき事態だ。私になにをしてほしい?」 「ソーンダイク伯領を落として欲しいの」 イヴォン伯爵令息モーリス・ヨーク。 あのとき私が助けてあげたその命、ぜひ私のために燃やしてちょうだい。 ==================== (他「エブリスタ」様に投稿)

絶対に間違えないから

mahiro
恋愛
あれは事故だった。 けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。 だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。 何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。 どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。 私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。

【完結】婚約者にウンザリしていたら、幼馴染が婚約者を奪ってくれた

よどら文鳥
恋愛
「ライアンとは婚約解消したい。幼馴染のミーナから声がかかっているのだ」  婚約者であるオズマとご両親は、私のお父様の稼ぎを期待するようになっていた。  幼馴染でもあるミーナの家は何をやっているのかは知らないが、相当な稼ぎがある。  どうやら金銭目当てで婚約を乗り換えたいようだったので、すぐに承認した。  だが、ミーナのご両親の仕事は、不正を働かせていて現在裁判中であることをオズマ一家も娘であるミーナも知らない。  一方、私はというと、婚約解消された当日、兼ねてから縁談の話をしたかったという侯爵であるサバス様の元へ向かった。 ※設定はかなり緩いお話です。

最初から間違っていたんですよ

わらびもち
恋愛
二人の門出を祝う晴れの日に、彼は別の女性の手を取った。 花嫁を置き去りにして駆け落ちする花婿。 でも不思議、どうしてそれで幸せになれると思ったの……?

処理中です...