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第44話 炊き出しの顛末

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公爵家の者も騎士団もスープを食べて歓声をあげた。

「美味しいなぁ。野営の飯はまずかったもんな」と言う声にギルバードは内心賛成だったが、なにも言わなかった。公爵家として褒めればいいのだろうか?褒めれば相手は名誉と思うだろうか? なにか違うような気がする。
それで、ギルバート・ダイナはすごすごと帰った。同時になんの助けにもならない騎士団長を恨んだ。

まぁ自分は公爵家の者であるのにこんな遠くの地に、野営しながら来たんだ。それだけで、充分な功績だ。

今回は順番で割りを食ったが、役目を果たした。と気を取り直して王都に戻った。


騎士団長と一緒に国王への報告をしたが、そこで思わぬ叱責を受けた。

「この報告は本当か?民を励ましたのか?民は喜んだのか?」と国王が報告書を見ながら言う横には王妃も座っており厳しい目をギルバードに向けていた。

「報告とはどこからでしょうか?」とギルバードが問うと

「おまえに言う必要はない」と国王が答えた。

そこに王妃が
「ダイナ公爵家は騎士団長の手を煩わせたようですね。人の良い騎士団長を巻き込んで。あなたのお父様の公爵の具合は?公爵ご本人はどう思っているのかしら」と敵意丸出しで言った。

国王は団長に向かって
「悪かった。ギルバードが頼りないので、ついつい。忙しいのに本当にすまない。報告によると食材もなかったようだな」と言うと頭を下げて詫びた。

王妃は
「なんでもポーレットが口を挟んだとか聞いたけど・・・騎士団の手助けがないと公爵家は仕事が出来ないの?」

「それは・・・」とギルバードが答えられずにいる所へアレクがやって来た。

「まぁ大変だったそうだね。ご苦労様。なにも出来なかったようだけど、移動は大変だったのでは?」とギルバードに話しかけ、全員に向かって

「中途半端は良くないでしょ。名誉を回復しなくては。それでどうでしょ?炊き出しをやってみたら?ダイナ公爵家だけでなく、他の公爵家も。広場でお祭りを兼ねてさ。汁物と肉が炊き出しで、他の公爵家もなにか出して?自分たちで工夫して・・・なんだか考えたらワクワクするな。・・・??わたしだけかな?話し合いだと決まらないから、特務部で大要を決めて通達する。いいかな? 邪魔したな・・・学生時代の仲良しが国を運営。羨ましいなぁ」と言うとさっさと出て行った。

王妃も立ち上がると

「わたくしも失礼します。役立たずの弟なんて、ポーレットに同情しますわ」と言うと出て行った。

拳を握るギルバードに向かって国王は

「許してやってくれ、娘のメアリーがいなくなって寂しいんだ。それにエドワードが・・・まぁそれで苛立っているんだ」と言うとみなに向かって

「あの男の提案に乗ってみよう」と言った。

「ずいぶん、態度が大きいですね。他国者よそもののくせに」とギルバードが拳を握ったまま言うと

「まぁそう言わずに、便利なやつだ。雑用をやってくれる。それにいい考えだ。ステラとポーレットの仲直りのきっかけになる! いつもの仲間で集まれる。そしたら元の二人に戻るだろう。いろいろあって立場の違いで衝突しただけだ。我々がうまく行ってこそ国政もうまく行く。それにダイナ公爵家が上にあると他の公爵家に示すいい機会だ」と国王が答えると

「深いお心に感謝致します」とギルバードが頭を下げた。
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