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第40話 さっそくの・・・
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メアリーの部屋に運ばれた夕食は質素ながら、二人分あった。
食事を受け取りながらライラは侍女の部屋はどうなっているか尋ねたが、よく知らないから、明日改めて聞いてくれと言われた。
「殿下、わたくしの部屋の準備が間に合っていないようです」とライラが告げると
「まぁ困ったわね・・・あら、ライラ。船のようにソファに寝れると思ってるんじゃない?冗談じゃないわ。外の廊下で寝てちょうだい。それより荷物はどうなっているの?」
「なにもわかりませんでした」とライラは能面のような顔で答えた。
「そう、仕方ないわね。着替えるわ」とメアリーはライラに背を向けてボタンをまかせた。
着替え終わって食事を始めたが、お盆を見て少し顔をしかめたメアリーは
「お肉が少ないわ。そちらのお皿も寄越しなさい」と言った。
「はい、殿下」と小さな声で答えたライラはお皿をテーブルに置いた。
メアリーが食事をすませた後、ライラは立ったまま食事をするとメアリーの寝支度をした。
「下がっていいわ」と言われて黙って頭を下げると廊下に出た。
膝を抱えて座ると涙が出た。覚悟はしていた・・・ここの状態。メアリーの仕打ち。
だが、覚悟が足りなかった。
「君、こんなところでなにしてるの?」と話しかけられて目が覚めた。
「うん? えっと・・・ニール様」とライラが言うと
「なぜ、廊下に?」と聞きながらニールは自分が間抜けだと思った。わかりきったことだ。あのメアリーって女は根性が悪そうだ。あの主人から追い出されたのだ。
ニールは頭を働かせたが、なにも思いつかなかった。せめて毛布を持ってこよう。
「毛布を持って来るから」と去って行くニールをライラは廊下に座ったまま見送った。
毛布を受け取ったライラは座ったままうつらうつらしていたが、ついに横になってしまった。
離れた所から見守っていたニールは
「はぁ無理もないな」とつぶやいた。
朝になるとライラは目を覚ました。毛布をたたむと、どうしようかな?とあたりを見てニールを見つけると立ち上がるとそばにやって来た。
「ありがとうございます。ニール様、わたしはライラと申します」
「おはよう、ライラだね。これから大変だけど、ここの侍女には侍女のやり方があるからね。教えて貰うといい。船が来るまでの我慢だ」と言うと毛布を受け取って去っていった。
ライラはメアリーの部屋に入ってメアリーを起こした。
ドレスがないことで文句を言いまくるメアリーに謝りながらなんとかメアリーの身支度がすんだ。
「わたくし、朝食を見て参ります」と部屋を出たライラは、人の気配のする方へ歩いた。
案内された食堂に入ると、王子らしき三人とおば様たちとちいおじ様たちと席についていた。
パールと見覚えのある女性が立って控えていた。
「あら、侍女を寄越すなんて」とその女性が言った。
「こちらは第三王子のおそばにいるティナさんです」とパールが教えてくれた。
「はじめましてライラと申します。王女殿下にお仕えしております」
「よろしくはできないけど・・・おはよう」とティナが言うとパールも
「おはよう」と言った。
「おはようございます」とライラは二人に挨拶をして
「あの、こちらの方たちに挨拶してもよろしいのでしょうか?」とパールに聞いた。
「どうぞ、さすがは王家の侍女様ね。お堅いこと」とパールが返事するとティナも馬鹿にしたように笑った。
ライラは王子三人の前に立つと
「メアリー様の侍女でライラと申します」とだけ挨拶をして、下がった。
「メアリー様を呼んで参ります」と部屋を出たライラは、急いでメアリーの部屋へ向かったが、急ぎたいけど到着しなければいいのにと思った。
そしてメアリーを食堂に案内したが、これからのことを考えると回れ右してどこかへ逃げたかった。
食堂に入ると席についている者も壁際に立っているパールとティナも無表情でこちらを見た。
「遅くなりました。夕べ泊まった部屋が整っていませんで、あまり眠れませんでしたので・・・」とメアリーが言うと
「お前の事情はどうでもいい。さぁ食事だ」王子の一人が言った。するとドアが開いて食べ物を乗せたワゴンが運び込まれた。
メアリーは席につこうとしていたが、ライラが介添えしようとしないのを怪訝そうに見て怒鳴ろうとした所で固まった。
ティナとパールが動いてお盆にスープを乗せると目の上に捧げ持ってテーブルに向かったからだ。
ライラはメアリーをすぐにワゴンの所に連れて行き小声で話をした。そして不満そうに口を曲げたメアリーはパンを乗せたお盆をなんとか目の高さで持つとテーブルに向かった。
ライラはメアリーに付き添いお盆からパンを取ってテーブルに置いた。
その間にテーブルが整った。食事はとても美味しそうで量もたっぷりだった。
パールとティナが壁際に下がった。メアリーはライラに引っ張られて壁際に下がった。
「遅くなりましたがいただきましょう」の声で食事が始まった。
「今日から、二人は大変だと思うけどよろしくね」の声にティナとパールは
「「お任せ下さい」」と答えた。
「侍女は侍女の仲間と過ごせばいいわ。あなたはよく躾けられているわね」とおば様がライラを見て言った。
「メアリーのお世話はわたくしたちがやります。心配しないで」とパールがライラに言った。
アッシュは
「メアリーだったね。よく励んで欲しい。パールを頼って」と言うと席を立った。
「わたしたちの食事は?」とメアリーが言うとティナがテーブルを顎で指した。
「なんですって?」とメアリーが言うと
「パンはたくさんあるでしょ?残り物も食べていいのよ」とティナが答えたが
「脅かさないの。半分冗談よ。さすがにね。厨房にあるから行きましょう。ライラさんはパンを持って。こっちよ」とパールが先に立った。
スープとパンを前に
「たくさん食べてね」とティナが含みのある声で言った。
メアリーは立ち上がると
「なんてとこなの。わたしは帰ります。こんなところにいられない」と言った。
「そうでしょうね。これから正式の顔合わせがあるから、そこで話をして」とパールが言った。
「わかったわ。ほんとに馬鹿にして、一国の王女が来てやったと言うを理解らせてやるわ」とメアリーが言うのを聞いて、ティナとパールは目配せした。
食事を受け取りながらライラは侍女の部屋はどうなっているか尋ねたが、よく知らないから、明日改めて聞いてくれと言われた。
「殿下、わたくしの部屋の準備が間に合っていないようです」とライラが告げると
「まぁ困ったわね・・・あら、ライラ。船のようにソファに寝れると思ってるんじゃない?冗談じゃないわ。外の廊下で寝てちょうだい。それより荷物はどうなっているの?」
「なにもわかりませんでした」とライラは能面のような顔で答えた。
「そう、仕方ないわね。着替えるわ」とメアリーはライラに背を向けてボタンをまかせた。
着替え終わって食事を始めたが、お盆を見て少し顔をしかめたメアリーは
「お肉が少ないわ。そちらのお皿も寄越しなさい」と言った。
「はい、殿下」と小さな声で答えたライラはお皿をテーブルに置いた。
メアリーが食事をすませた後、ライラは立ったまま食事をするとメアリーの寝支度をした。
「下がっていいわ」と言われて黙って頭を下げると廊下に出た。
膝を抱えて座ると涙が出た。覚悟はしていた・・・ここの状態。メアリーの仕打ち。
だが、覚悟が足りなかった。
「君、こんなところでなにしてるの?」と話しかけられて目が覚めた。
「うん? えっと・・・ニール様」とライラが言うと
「なぜ、廊下に?」と聞きながらニールは自分が間抜けだと思った。わかりきったことだ。あのメアリーって女は根性が悪そうだ。あの主人から追い出されたのだ。
ニールは頭を働かせたが、なにも思いつかなかった。せめて毛布を持ってこよう。
「毛布を持って来るから」と去って行くニールをライラは廊下に座ったまま見送った。
毛布を受け取ったライラは座ったままうつらうつらしていたが、ついに横になってしまった。
離れた所から見守っていたニールは
「はぁ無理もないな」とつぶやいた。
朝になるとライラは目を覚ました。毛布をたたむと、どうしようかな?とあたりを見てニールを見つけると立ち上がるとそばにやって来た。
「ありがとうございます。ニール様、わたしはライラと申します」
「おはよう、ライラだね。これから大変だけど、ここの侍女には侍女のやり方があるからね。教えて貰うといい。船が来るまでの我慢だ」と言うと毛布を受け取って去っていった。
ライラはメアリーの部屋に入ってメアリーを起こした。
ドレスがないことで文句を言いまくるメアリーに謝りながらなんとかメアリーの身支度がすんだ。
「わたくし、朝食を見て参ります」と部屋を出たライラは、人の気配のする方へ歩いた。
案内された食堂に入ると、王子らしき三人とおば様たちとちいおじ様たちと席についていた。
パールと見覚えのある女性が立って控えていた。
「あら、侍女を寄越すなんて」とその女性が言った。
「こちらは第三王子のおそばにいるティナさんです」とパールが教えてくれた。
「はじめましてライラと申します。王女殿下にお仕えしております」
「よろしくはできないけど・・・おはよう」とティナが言うとパールも
「おはよう」と言った。
「おはようございます」とライラは二人に挨拶をして
「あの、こちらの方たちに挨拶してもよろしいのでしょうか?」とパールに聞いた。
「どうぞ、さすがは王家の侍女様ね。お堅いこと」とパールが返事するとティナも馬鹿にしたように笑った。
ライラは王子三人の前に立つと
「メアリー様の侍女でライラと申します」とだけ挨拶をして、下がった。
「メアリー様を呼んで参ります」と部屋を出たライラは、急いでメアリーの部屋へ向かったが、急ぎたいけど到着しなければいいのにと思った。
そしてメアリーを食堂に案内したが、これからのことを考えると回れ右してどこかへ逃げたかった。
食堂に入ると席についている者も壁際に立っているパールとティナも無表情でこちらを見た。
「遅くなりました。夕べ泊まった部屋が整っていませんで、あまり眠れませんでしたので・・・」とメアリーが言うと
「お前の事情はどうでもいい。さぁ食事だ」王子の一人が言った。するとドアが開いて食べ物を乗せたワゴンが運び込まれた。
メアリーは席につこうとしていたが、ライラが介添えしようとしないのを怪訝そうに見て怒鳴ろうとした所で固まった。
ティナとパールが動いてお盆にスープを乗せると目の上に捧げ持ってテーブルに向かったからだ。
ライラはメアリーをすぐにワゴンの所に連れて行き小声で話をした。そして不満そうに口を曲げたメアリーはパンを乗せたお盆をなんとか目の高さで持つとテーブルに向かった。
ライラはメアリーに付き添いお盆からパンを取ってテーブルに置いた。
その間にテーブルが整った。食事はとても美味しそうで量もたっぷりだった。
パールとティナが壁際に下がった。メアリーはライラに引っ張られて壁際に下がった。
「遅くなりましたがいただきましょう」の声で食事が始まった。
「今日から、二人は大変だと思うけどよろしくね」の声にティナとパールは
「「お任せ下さい」」と答えた。
「侍女は侍女の仲間と過ごせばいいわ。あなたはよく躾けられているわね」とおば様がライラを見て言った。
「メアリーのお世話はわたくしたちがやります。心配しないで」とパールがライラに言った。
アッシュは
「メアリーだったね。よく励んで欲しい。パールを頼って」と言うと席を立った。
「わたしたちの食事は?」とメアリーが言うとティナがテーブルを顎で指した。
「なんですって?」とメアリーが言うと
「パンはたくさんあるでしょ?残り物も食べていいのよ」とティナが答えたが
「脅かさないの。半分冗談よ。さすがにね。厨房にあるから行きましょう。ライラさんはパンを持って。こっちよ」とパールが先に立った。
スープとパンを前に
「たくさん食べてね」とティナが含みのある声で言った。
メアリーは立ち上がると
「なんてとこなの。わたしは帰ります。こんなところにいられない」と言った。
「そうでしょうね。これから正式の顔合わせがあるから、そこで話をして」とパールが言った。
「わかったわ。ほんとに馬鹿にして、一国の王女が来てやったと言うを理解らせてやるわ」とメアリーが言うのを聞いて、ティナとパールは目配せした。
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