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第22話 エドワード、メアリー、チャールズ、バーバラ

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四人は別室に入った。護衛も侍従も外に控えさせた。

「ひどいわ、チャールズ。お父様に言いつけてやる」とメアリーが言ってバーバラも

「ほんと。ひどいわ」と言ったが、エドワードは簡単に

「二人共黙れ」と言っただけで続きを話し始めた。

「わたしは、アリスは毎日母上の部屋でお茶を飲んで喋って、たまに王妃としての心構えなどを話していると思っていたのだ。

そして街に遊びに行った時に孤児たちを見かけた。もう学校を卒業したえーっと平民の学校だ。その卒業した家で教科書を譲って貰っていた。そして彼らはお礼にとその家の前を綺麗に掃除していた。そして教科書を貰うとそれは嬉しそうに歩いて行った。たかが、教科書だぞ。それもお古の・・・わたしがその後をつけて孤児院に行ってみたら、慰問予定の院だった。王太子と婚約者がそこを訪問して専門家が建物を調べる間、アリスが本を読んで聞かせることになっていた。

そこでわたしは教科書を買い込んだ。他の孤児院に回してもいいかと思って余分にな。それを慰問の時にアリスに話したのだ。するとアリスは予算があるから勝手なことをするなとわたしを咎めたのだ」そこにバーバラが割り込んだ。

「そう、お姉様は冷たいのですよ。お父様もそのことでお姉様を諭しましたわ。可哀想な孤児にリボンや新しい服を買って上げるのを非難するんですもの」するとエドワードが鋭く言った。

「黙れ、バーバラ勝手に喋るな」
「え? エドワード」とバーバラが言うとチャールズが
「エドワード」と呟いて、非難の眼差しでエドワードを見た。

「その孤児院の状況は予想より悪くてな、予算だけでは足りなかった。先延ばしにするのも、倒壊の危険が増すというので、工事に入ったが予算の工面がアリスに押し付けられた。わたしにその話しが伝わったのはかなり後で、わたしには新しい教科書を喜んでいるとだけ知らされていたのだ。

そして、王太子妃になるアリスの手助けをしたいと言うバーバラと一緒に慰問予定の孤児院を先に下見することにした。
時間に追われるアリスとはじっくり話が出来ないからと言い訳をしたが、直接感謝されるのが心地よかった。

そこで、リボンとか服とか、リボンが多かったかな。それがリボンって値段がね。それで孤児院の予算が。わたしは臨時費を当てにしてリボンを購入した。バーバラと一緒に店を回って・・・大した金額じゃないと思っていたが。アリスは怒った。言い返さない自分は人格者だと思っていたよ。だがアリスの執務室でわたしは自分のやったことを知った。とても恥じている。己を。

王妃殿下と姉上の書類は戻すと増えて戻って来る」とエドワードは自嘲の笑みを浮かべると

「姉上は嫁ぐつもりですか?わたしとしては姉上が嫁ぐのは歓迎ですが、あちらのことを本当に理解なさってますか?」と言うとエドワードは外に立っている侍従を呼んでお茶を持ってこさせた。

「わたしは一週間かけて、それぞれの書類を処、いえ、本来処理すべき場所に戻しました。戻した書類が戻ってきたりもありましたが、また戻しました。

アリスと一緒に仕事をしていた文官の助けはありがたかったですね。わたしは使い込んだ孤児院の予算をどうやって穴埋めするか、頭が痛いです。今、王宮で働く者は遅くまで働いている。

姉上へは何度も書類を戻してますが、ご存知ないようですね。側付きの者を調査された方がいいのでは?手紙を書くのが面倒なら、いっそ早めにあちらへ行かれてはいかが?返事を書くより来ちゃいました。とか言うのは?」とエドワードが言うとメアリーは

「そうする。いい考えだわ」と部屋を出て行った。

「お礼くらい言って欲しいな」とエドワードが後ろ姿につぶやいた。

「思っていたより酷いな」とチャールズがポツリと言うと

「おれがのんびり過ごしている間に」と頭を抱えた。その時バーバラが

「見つかると思う?冷静に考えて見て! お母様はお葬式のことを考えていらっしゃるわ。冷静でらっしゃる。死んだ人は戻って来ない。生きてる人はこれからもあるのよ」と言った。

「そうだ。生きているものは責任がある。自覚があるようでなによりだ」とチャールズは言うと

「バーバラと母の予算は穴埋めに使います。後は父と相談します」

「冗談じゃないわ。わたしの体面はどうなるの?」とバーバラが怒りで顔を赤くして言うと

「体面?金がないと保てないのか?我々が使う予算は民の税金だ。それをお前は・・・お前と王太子は自分がいい顔をする為に無駄に使ったのだ」とチャールズが言うと

「それくらい、いいでしょ!たかがリボンよ。服だって庶民の着る安物よ」とバーバラが言うと

「そう。たかがリボン。たかが服だ。だからお前が買ってやれ」とチャールズが言うと

「エドワード・・・」とバーバラがエドワードにとりすがると

「王太子殿下。随分、妹と親しいのですね」とチャールズが目を細めた言った。

「親しい? 義妹になるのだから当たり前だろ」とエドワードが答えた。

「なりませんよ!アリスは生きています。だからこそ、あなたの妻にはしません。王室に渡しません。わたしが大切に守ります」とチャールズが言ったが、すぐに口調を変えて

「執務は終わりそうですか?」と聞いた。

「・・・・・それなのだが、時間がかかっている。文官に教えられながらやっているのだが、えっと二人はバートとヘドラーと言うのだが、二人に教えて貰わねば、資料すら探せないのだ。資料はきちんと管理されているよ。アリスと一緒に整理したそうだ。
なのに、探せないのだ。なんとか資料を見つけても、今度は必要な所を見つけられないのだ。情けないよ。なんとか見つけて王にここだと示すのだが・・・」とエドワードはここで話を話を終えたが胸のなかでこう続けた。

『王が判断できないのだ。わたしも手伝っているが』

「予算を届けるにはどうすればいいかな?」

「うん?わたしのもとに来てくれれば」と王太子が答えると

「では、その時に」と言うと渋るバーバラを連れてチャールズは帰って行った。


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