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第17話 ビザン帝国にて

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お祝いを届けて役割が終わったアレクは、アリスを連れて街を歩いた。
アリスが興味を持ったものをアレクも時間をかけてじっくりと見た。
「この細工は素晴らしいですね。刺繍も見事ですし色使いも独特で素敵です」と言ったショールを二枚買った。一枚は白。一枚は紺。

そうやって街を見て歩き図書館にも行った。

図書館の蔵書の多さにアリスは驚いた。
リーブル王国で出版されたものも揃っていた。


せっかくなので、ビザン帝国に関する書物から、神話を読んで見た。

この国を作った神は欲張りで一日に一年を。一箇所に複数の季節を。一国に世界を詰め込んだらしい。

朝は春の穏やかさ、昼は夏の躍動、夕方は秋の豊かさ、夜は冬の鋭さ。

『冬の鋭さか。鋭いってことは夜はいろいろ冴えるのかしら?』とアリスは思い、窓の外の秋の豊かさを見る。
『確かに一日が暑くて涼しいわね、深く考えなかったけど』
と呟くとアリスは神話の続きを読んだ。

気軽に地上に遊びにいけるように天に届く山を作り、山から船で降りられるように河を作った。なるほどね。挿絵の山に河が渦巻き状に流れている。

山にも一年があって上は冬で下は夏だとか・・・ちょっと行ってみたい。
秋の部分は一年中果物が実っていて、よそより美味しいとか・・・さすが神話は夢がある。

「アリス、そろそろ帰りましょう」とアレクに声をかけられた。
「おや、神話ですね。この国の神話はなんとなく実話のような気がしますね。この山で採れる果物は実際、美味しいですしね」

「この山?あるんですか?果物もあるんですね」
「ありますよ。行ってみましょうね」とあっさりアレクが言うのにアリスはびっくりして
「いいのですか?」と言った。すると
「旅行すると言っていたでしょう。いいですよ。五日ほどで着きますから」


夕食を取りながら、デイビスに
「どうでしょう?アリスは天の山に行っても大丈夫でしょうか?」とアレクが聞くと
「大丈夫ですよ。山に登るのはダメですが、近くまで行くのは問題ないですね。むしろおすすめです。途中で少しずつ歩くのがいいでしょう」と言った。
「なるほど、歩くならこちらの衣服を買っておきましょう。似合いそうですね。楽しみです」とアレクは言うとアリスを見て笑った。
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