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第12話 アリス・・・すまない メイナード侯爵視点
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「アリス」と王太子がノックをしたが返事がなかった。
「開けるよ」と王太子がドアを開けてなかに入った。わたしも続いて入って驚いた。
部屋はこざっぱりと片付いていた。というか殆どなにもなかった。王太子妃教育が終わった今はアリスは部屋で刺繍したり音楽を楽しんだりお茶をして、夕食を食べて帰ってきていると姉上から聞いていたが、ここには人がいた気配がない。
「アリスつきの侍女を呼んで」と王太子が言ったが反応はないので侍女長を呼ぶように王太子が言っている。この部屋のベッドの状態を見たらアリスがピクニックの日にこの部屋に戻ったとは思えない。もちろんそれ以降も以前も・・・なぜならベッドはあるが毛布もシーツもないのだ。たまに城に泊まると連絡が来ていたがどこに?
やがてやって来た侍女長は
「アリス様の?・・・いませんよ」とあっさり答えた。
「え?いない」と王太子が間抜けな表情で言うと
「いませんよ。最初から」と侍女長が自信たっぷりに答えた。
「最初とは?」
わたしまで間抜けな顔になったのを見て侍女長は
「婚約者となられてからだから最初からですね。侍女はついていませんよ。そう決まったと伝達されました。わたくしも不思議に思いまして、王妃殿下に確認しましたので間違いありません。それにアリス様はここに殆どいませんよ・・・最近ではピクニックのまえにここで厨房用の服に着替えたときでしょうか?」と記憶を辿って答えてくれた。
「厨房? なんだそれは・・・いや、その、アリスはここでお茶してのんびりとか?」とわたしが聞くと
「いいえ、お茶とはどういうことでしょうか?王妃殿下とも滅多に・・・なにをなさっているのでしょうかね」と侍女長が言うのを聞くとただでさえ冷えていた体がずんと冷えたのを感じた。
「殿下、ピクニックから帰る馬車は殿下と両陛下。メアリー殿下の四人で?」と言うと
「もちろんだよ。朝と同じだよ。アリスの警告を聞いてすぐに馬車に乗ったよ」と王太子が答えるのを聞いて置き去りにしたのかも知れないと思いいたり、立っていられなくなった。
しばし床に手をついて息を整えると立ち上がり、もう一度執務室へ戻った。
執務室には姉上が待っていた。
「アリスはどこにいるの?ピクニックの片付けもせずに遊びほうけて」と言うのを聞いて頭に血が上った。
「片付けとはなんでしょうか?姉上。いえ、王妃殿下。アリスの仕事ですか?」と口調が冷たくなるのを止められなかった。
「そう、片付けよ。あの子は慣れているからやらせてるのよ」と姉上が答えるのを聞いて
「慣れるほどやらせているのですね。毎年ですか?」と言うと
「えぇ、毎年よ。あの子はいままで、ずっと留守番だったからせめて片付けで参加させてあげていたのよ」
「留守番?」と不思議に思って聞くと
「えぇ、お城の責任者として留守番よ」と姉上があたりまえの顔で答えた。
なんてこと・・・わたしは・・・なにも気づいてなかったのか。
「爵・・・侯爵・・・侯・・・侯爵」
と王太子に呼びかけられていた。
「はい。殿下」と返事すると
「アリスが馬車にいないのを気にしなかったのですか?」と非難された。
非難されても仕方ない・・・王家と一緒だと思い込んでいたから・・・
「探すように手配しました」と王太子が得意げに言うのを聞いたが
「わたしも家の騎士団を動員して探します。これで失礼します」と家に向かった。
「開けるよ」と王太子がドアを開けてなかに入った。わたしも続いて入って驚いた。
部屋はこざっぱりと片付いていた。というか殆どなにもなかった。王太子妃教育が終わった今はアリスは部屋で刺繍したり音楽を楽しんだりお茶をして、夕食を食べて帰ってきていると姉上から聞いていたが、ここには人がいた気配がない。
「アリスつきの侍女を呼んで」と王太子が言ったが反応はないので侍女長を呼ぶように王太子が言っている。この部屋のベッドの状態を見たらアリスがピクニックの日にこの部屋に戻ったとは思えない。もちろんそれ以降も以前も・・・なぜならベッドはあるが毛布もシーツもないのだ。たまに城に泊まると連絡が来ていたがどこに?
やがてやって来た侍女長は
「アリス様の?・・・いませんよ」とあっさり答えた。
「え?いない」と王太子が間抜けな表情で言うと
「いませんよ。最初から」と侍女長が自信たっぷりに答えた。
「最初とは?」
わたしまで間抜けな顔になったのを見て侍女長は
「婚約者となられてからだから最初からですね。侍女はついていませんよ。そう決まったと伝達されました。わたくしも不思議に思いまして、王妃殿下に確認しましたので間違いありません。それにアリス様はここに殆どいませんよ・・・最近ではピクニックのまえにここで厨房用の服に着替えたときでしょうか?」と記憶を辿って答えてくれた。
「厨房? なんだそれは・・・いや、その、アリスはここでお茶してのんびりとか?」とわたしが聞くと
「いいえ、お茶とはどういうことでしょうか?王妃殿下とも滅多に・・・なにをなさっているのでしょうかね」と侍女長が言うのを聞くとただでさえ冷えていた体がずんと冷えたのを感じた。
「殿下、ピクニックから帰る馬車は殿下と両陛下。メアリー殿下の四人で?」と言うと
「もちろんだよ。朝と同じだよ。アリスの警告を聞いてすぐに馬車に乗ったよ」と王太子が答えるのを聞いて置き去りにしたのかも知れないと思いいたり、立っていられなくなった。
しばし床に手をついて息を整えると立ち上がり、もう一度執務室へ戻った。
執務室には姉上が待っていた。
「アリスはどこにいるの?ピクニックの片付けもせずに遊びほうけて」と言うのを聞いて頭に血が上った。
「片付けとはなんでしょうか?姉上。いえ、王妃殿下。アリスの仕事ですか?」と口調が冷たくなるのを止められなかった。
「そう、片付けよ。あの子は慣れているからやらせてるのよ」と姉上が答えるのを聞いて
「慣れるほどやらせているのですね。毎年ですか?」と言うと
「えぇ、毎年よ。あの子はいままで、ずっと留守番だったからせめて片付けで参加させてあげていたのよ」
「留守番?」と不思議に思って聞くと
「えぇ、お城の責任者として留守番よ」と姉上があたりまえの顔で答えた。
なんてこと・・・わたしは・・・なにも気づいてなかったのか。
「爵・・・侯爵・・・侯・・・侯爵」
と王太子に呼びかけられていた。
「はい。殿下」と返事すると
「アリスが馬車にいないのを気にしなかったのですか?」と非難された。
非難されても仕方ない・・・王家と一緒だと思い込んでいたから・・・
「探すように手配しました」と王太子が得意げに言うのを聞いたが
「わたしも家の騎士団を動員して探します。これで失礼します」と家に向かった。
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