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第10話 出産祝い

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「今日は馬車の移動だけだ。わたしの用事を話しておく」とアレクが言い出した。
「メモをとってもよろしいですか?」とアリスが言うと
「あぁ」と答えアリスの準備が出来たところで
「俺の叔母、まぁ国王の妹だな。それがあちらの王子と結婚して公爵夫人なんだが、出産してな・・・その祝いだ」とアレクが言うとアリスが
「叔母様・・・国王??え?・・・そのおいくつですか?」とアリスがペンを止めて聞くと
「俺より下で・・・二十四かな・・・」
「えっとアレク様はおいくつですか?」
「三十五・・・」
「三十五!!」とアリスは反応してしまい、あわてて表情を消した。
「驚いていいぞ。父がなぁ・・・いきなり赤ん坊が出来たと聞いて叔母だと聞いて俺もびっくりした。母も赤子に罪はないと・・・全員でかなり可愛がって育てた。
だが、王女としての教育はあまりな・・・嫁ぎ先の男は六番目の庶子だ。後ろ盾はない。政略でもないんだが・・・結婚より先に子が出来て嫁いでいった。外に出すより手元に置いていたほうが安心だと我が国に来て欲しかったのだが、あちらも王子を手元に置きたいようで。公爵とは言っても名ばかり公爵家だ。だがな娘に子が生まれて知らんふりも出来ないと俺が祝いに行くことになった。だから子を見たら帰るが、ビザン帝国の観光はちょっとしたい。用事が済んだら観光しよう。アリスの仕事は買ったお土産の整理。日誌作り。正直俺の目で見える物とアリスの目で見える物は違うと思うから・・・アリスもしっかりと見て記録して仕事に励んで欲しい」
「なるほど、承知いたしました。帝都ではわたくしは図書館に行っていいですか?」
「かまわん。図書館で見て欲しい本があれば買って帰るから報告をしてくれ」
「はい!承知いたしました」

お昼の休憩を取ったときにみると人々の服装はやはり異国の物で、珍しいと思った。
ちらほら見慣れた服装が歩いているのは商人なのか?商人とすればかなり交流があるようだ。
ちょっと外国を馬車で走っただけでアリスはなにも知らないことに気がついた。

アリスは王太子妃教育でまわりの国について学んだが、それはまったく足りていない。
多くを学んだがその知識は執務室で使っただけだ。

考えてみるとメアリーは海を隔てたメニリーフ王国へ嫁ぐ。メアリーは、アリスでも王族に嫁ぐのに王女の自分がただの貴族に嫁ぐのはおかしいと言い張り、国王夫妻が手を尽くして縁談を整えた。
嫁ぎ先のメニリーフ王国についてメアリーはなにも学んでいない。アリスは一応あちらから教師を呼んではと言ったのだが、必要ないの一言が帰って来た。
まぁ来月、あちらに渡る予定だが・・・まったくの白紙のほうがいいのかな?
もう関係ないことだ。心配する必要はない。



そして帝都に到着した。先ずはホテルに入り着替えるとアレクは一人で宮殿に向かった。
アリスは留守番だ。出かけなくても部屋から通りを見るのは楽しくて、退屈しなかった。
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