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23 通し稽古通しの後で

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エリザベートはロザモンドの所へは後で行く事として、お茶を飲むこととした。


「あのう、エリザベート様」とガーベラが珍しく言いにくそうにしている。


「なあに?もしかしてセリフを増やしたい?」とエリザベートが言うと

「いえ・・・それは・・・・」とガーベラは周りに助けを求めた。


「その、あの」とフリージアが話し出して

「剣をかっこよく使いたいです」

(汝が使う美しく、猛き剣を誰がために使うや)

(我が心の乙女は何処へ)とフリージアが答えると

「その言葉は自分で?」

「組み合わせました」

「大したものです」とエリザベートは褒めた。

「剣をかっこよく・・・・かっこいいようだけど・・・・」とエリザベートが言うと

「もっとかっこよくなって王妃殿下を・・・その・・・」とフリージアが言いよどむと

「わかりました。確かに王妃殿下を引き立てるのは大事な事・・・・王太子殿下に伝えるよう、ロザモンドにあなた方が頼みなさい」

「「「ありがとうございます」」」と返事が揃っていて、エリザベートは笑った。




彼女たちがロザモンドの部屋へ行くと、ロザモンドはラズにマッサージされていた。

「あーー脳みそが溶けて流れそうだった・・・・皆、上手でびっくりしたわ。お姉様に叱られる。キャリーにも悪いわ。ずっと教えてくれてるのに・・・・勉強しないと」と言っているのが聞こえて、全員がクスッとなった。


「ほら、もっと力を入れてそれじゃ、ロザモンド様がゆっくりできないわ」とケイトの声が聞こえて、全員がむっとなった。

ガーベラが文句を言いに行こうとするのを、ジャスミンが止めた。

「ほんとうに演劇の練習を初めて皆さん、浮ついて・・・・わたしが引き締めますから」とケイトがロザモンドに言ったが返って来たのは寝息だった。

目で合図しあった彼女たちは、静かに部屋に入るとガーベラが

「浮ついているってどういう事なの?」とロザモンドの眠りを妨げないように静かに聞いた。

「そのままよ」

「演劇は王妃殿下のお心にかなう事だし、ロザモンド様のお勉強にもなるし、皆が忙しいけど、和気あいあいとしてるわ」

「それはそうとケイト。あなた、いつも王太子殿下の所に行ってるみたいだけどなにしに?」とガーベラが言うと

「手紙を届けに」とケイトが答えると

「誰の手紙を」とガーベラが言うと

「エリザベート様の」とケイトが答えた。

「なぜ、主人でもない人の手紙を届けるの?」とジャスミンが不思議そうに聞くと

「わたしはエリザベート様の侍女・・・・・」とケイトの言葉が途中で消えた。

「あの人いつもここにいるよ」とフリージアがアネモネに囁いた声が皆に聞こえた。

「ねぇラズ、この人は誰に仕えてたの?」とガーベラが聞くと

「ロザモンド様です」とラズが答えた。相変わらず優しく、ロザモンドの頭をマッサージしている。

「誰に仕えてるの?」とガーベラがケイトに尋ねると

「ロザモンド様」

「誰の手紙を届けたの?」

「エリザベート様だけど、誤解しているようだから説明するけど、エリザベート様に頼まれて王太子殿下に手紙を届けていたの。そして王太子殿下にお願いして」

バシっと音がしてケイトがよろめいた。

起き上がったロザモンドが、ケイトの頬を叩いたのだった。


◇◇◇

「妹がいらないと言った婚約者は最高でした」

新作をあげました。読んで見て下さい。







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