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15 侍女長は去る
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侍女長は宣言通り、ロザモンドに話をしたが、ロザモンドは侍女長の言い分を理解できなかった。姉が令嬢を、どうたらこうたら会いに行ったのに待たせたという割に会ったと。会えたのになんで不満が?立たせた?座りたかったの?息子の婚約者?どこから息子が出て来た?理解できない面倒な事を言い立てる侍女長にロザモンドは心からうんざりしてこう言った。
「明日、お姉様を呼びつけるから、あなたわからせてやって」
連絡を受けたエリザベートは翌日、わざと、朝早くキャリーと一緒に、ロザモンドを訪ねた。
「あら、侍女長はまだ来てないの?」とエリザベートはことさら、不愉快そうに言った。
「まぁ待たせるって侍女長は妃殿下二人を舐めているのかしら・・・・そうだロザモンド。リリー・バーデンの後釜に一人侍女がいるんじゃない?あの子よりましな子なんてたくさんいるわよ」とエリザベートは皮肉な笑みを浮かべて壁際に立っている侍女三人をちらちら見た。
彼女たちは王宮から、侍女長が選んで派遣されているが、正式にロザモンドつきとされているのではない。
だが、エリザベートの言葉と視線で、彼女のメガネにかなえばロザモンドつきとなれると思った。
「リリーにはすっかり騙されていた。とんでもない女だったわ」とロザモンドが言うと
「ほんと、あの日、受け取り証がなくておかしいなって思っていたら・・・・盗って行ってたなんてね」とエリザベートが答えた。
「お母様が、あんな女を侍女につけるから、所詮は田舎子爵の娘よね。違った娘でもなかったわ」とロザモンドが言うのを受けて
「やっぱり、育ちは大事よね」と壁際にちらっと目を向けてエリザベートが答えた。それからロザモンドに目を向けて
「スピーチの定形くらい覚えて頂戴。なにから始める?」
「・・・・」
「挨拶の決まり文句でしょ。それからは・・・・・社交辞令」
「そうそう、社交辞令だった・・・・」
「具体的には?」
「・・・・・」
「覚えてね」とエリザベートが言うと
「リリー・バーデンが頭から離れない」とロザモンドが拳を握って言うと
「忌々しい名前ね・・・・だけど・・・皆さんは素敵な冗談と思ってる風だったわよ」
「だといいけど・・・・」
「彼女には思い知らせてやったじゃない」とエリザベートが言うと
「ほんとうはわたしへの侮辱罪で行きたかったのに・・・・」
「わたくしは侍女長が絡んでるんじゃないかと思ってるの。だって今日も遅れてるじゃない」と全然関係ない、侍女長の名前を出してエリザベートは答えた。
そこに侍女長がやって来た。二人が揃っているのをみたがロザモンドだけに挨拶をした。
「ロザモンド妃殿下、参上いたしました」常に付き従っている侍女二人もロザモンドに挨拶をした。
三人をそのままにしたまま、
「ねぇ侍女長、あなたの仕事ってなに?」とロザモンドが言い出した。
これにはエリザベートも驚いたがロザモンドの理屈があるのだろう・・・・
「ちょっとロザモンド落ち着いてこのままじゃ答えられないわ」とエリザベートが言うと
「楽に」とロザモンドが声をかけた。
「仕事?・・・・」と侍女長が戸惑うのを見てエリザベートはロザモンドに向かって
「ほんとにやってないみたい」と囁いた。
「この間の事を話に来たのでしょ。わたくしは仕事を持って来たのでやりながら耳はそちらに向けておきますね。あとはロザモンドお願いね」とティーテーブルに書類を広げるとペンを走らせだした。
ロザモンドはエリザベートの向かいに腰をおろすと
「早く話しなさい」と侍女長をうながした。
侍女長はなにを話せばいいのかわからなくなった。エリザベートの所に行ったときは叱りつけてやろうと思って行ったが、ずっと立たされて下がれと言われて・・・・ロザモンドに会いに来たのは・・・マナーを教えるって・・・一緒に来た侍女をみても目をそらされるし、自分が送り込んだ壁際に並んだ侍女は、あきらかに敵だ。馬鹿にされてるのを感じて口を開こうとして、はっとした。ここにいるのは二人とも妃殿下・・・・・なんだか仲がいい・・・妃殿下に何が言える?背中が冷たいのに気がついた。冷や汗をずっとかいていたのだ・・・・・・
気が付くとロザモンドがじっと自分を見ていた。
「無能ね。なにも言えないのね・・・・あなた首ね。役立たずを置いておけないわ。ねぇお姉様この人がいないと困る?」
「この人って侍女長の事?」とエリザベートが手を止めず、書類から目もはなさずこう言った。
「そう侍女長の事」
「いても執務の役には立たないわね。そういうことよりお勉強は?」とエリザベートが答えると
「お姉様ったら」とロザモンドは軽くエリザベートの背中をぶつ真似をすると
「侍女長と一緒にいる二人とも首」と言った。
ロザモンド的に面倒なものは排除だ。
「そんなロザモンド様」「どうしてですか」「なにもしてません」と三人が騒ぐとエリザベートが顔を上げて
「ロザモンド、うるさくて仕事にならないから、部屋に戻る。お勉強はちゃんとやってね」と言うとさっと書類をまとめて立ち上がった。
「お姉様の迷惑になったじゃない。すぐに出て行って」ロザモンドの声に、護衛が入ってくると三人はつまみ出された。
こうしてわけがわからないうちに仕事を辞めさせられた侍女長たち三人はロザモンドの事を恨んだ。
「明日、お姉様を呼びつけるから、あなたわからせてやって」
連絡を受けたエリザベートは翌日、わざと、朝早くキャリーと一緒に、ロザモンドを訪ねた。
「あら、侍女長はまだ来てないの?」とエリザベートはことさら、不愉快そうに言った。
「まぁ待たせるって侍女長は妃殿下二人を舐めているのかしら・・・・そうだロザモンド。リリー・バーデンの後釜に一人侍女がいるんじゃない?あの子よりましな子なんてたくさんいるわよ」とエリザベートは皮肉な笑みを浮かべて壁際に立っている侍女三人をちらちら見た。
彼女たちは王宮から、侍女長が選んで派遣されているが、正式にロザモンドつきとされているのではない。
だが、エリザベートの言葉と視線で、彼女のメガネにかなえばロザモンドつきとなれると思った。
「リリーにはすっかり騙されていた。とんでもない女だったわ」とロザモンドが言うと
「ほんと、あの日、受け取り証がなくておかしいなって思っていたら・・・・盗って行ってたなんてね」とエリザベートが答えた。
「お母様が、あんな女を侍女につけるから、所詮は田舎子爵の娘よね。違った娘でもなかったわ」とロザモンドが言うのを受けて
「やっぱり、育ちは大事よね」と壁際にちらっと目を向けてエリザベートが答えた。それからロザモンドに目を向けて
「スピーチの定形くらい覚えて頂戴。なにから始める?」
「・・・・」
「挨拶の決まり文句でしょ。それからは・・・・・社交辞令」
「そうそう、社交辞令だった・・・・」
「具体的には?」
「・・・・・」
「覚えてね」とエリザベートが言うと
「リリー・バーデンが頭から離れない」とロザモンドが拳を握って言うと
「忌々しい名前ね・・・・だけど・・・皆さんは素敵な冗談と思ってる風だったわよ」
「だといいけど・・・・」
「彼女には思い知らせてやったじゃない」とエリザベートが言うと
「ほんとうはわたしへの侮辱罪で行きたかったのに・・・・」
「わたくしは侍女長が絡んでるんじゃないかと思ってるの。だって今日も遅れてるじゃない」と全然関係ない、侍女長の名前を出してエリザベートは答えた。
そこに侍女長がやって来た。二人が揃っているのをみたがロザモンドだけに挨拶をした。
「ロザモンド妃殿下、参上いたしました」常に付き従っている侍女二人もロザモンドに挨拶をした。
三人をそのままにしたまま、
「ねぇ侍女長、あなたの仕事ってなに?」とロザモンドが言い出した。
これにはエリザベートも驚いたがロザモンドの理屈があるのだろう・・・・
「ちょっとロザモンド落ち着いてこのままじゃ答えられないわ」とエリザベートが言うと
「楽に」とロザモンドが声をかけた。
「仕事?・・・・」と侍女長が戸惑うのを見てエリザベートはロザモンドに向かって
「ほんとにやってないみたい」と囁いた。
「この間の事を話に来たのでしょ。わたくしは仕事を持って来たのでやりながら耳はそちらに向けておきますね。あとはロザモンドお願いね」とティーテーブルに書類を広げるとペンを走らせだした。
ロザモンドはエリザベートの向かいに腰をおろすと
「早く話しなさい」と侍女長をうながした。
侍女長はなにを話せばいいのかわからなくなった。エリザベートの所に行ったときは叱りつけてやろうと思って行ったが、ずっと立たされて下がれと言われて・・・・ロザモンドに会いに来たのは・・・マナーを教えるって・・・一緒に来た侍女をみても目をそらされるし、自分が送り込んだ壁際に並んだ侍女は、あきらかに敵だ。馬鹿にされてるのを感じて口を開こうとして、はっとした。ここにいるのは二人とも妃殿下・・・・・なんだか仲がいい・・・妃殿下に何が言える?背中が冷たいのに気がついた。冷や汗をずっとかいていたのだ・・・・・・
気が付くとロザモンドがじっと自分を見ていた。
「無能ね。なにも言えないのね・・・・あなた首ね。役立たずを置いておけないわ。ねぇお姉様この人がいないと困る?」
「この人って侍女長の事?」とエリザベートが手を止めず、書類から目もはなさずこう言った。
「そう侍女長の事」
「いても執務の役には立たないわね。そういうことよりお勉強は?」とエリザベートが答えると
「お姉様ったら」とロザモンドは軽くエリザベートの背中をぶつ真似をすると
「侍女長と一緒にいる二人とも首」と言った。
ロザモンド的に面倒なものは排除だ。
「そんなロザモンド様」「どうしてですか」「なにもしてません」と三人が騒ぐとエリザベートが顔を上げて
「ロザモンド、うるさくて仕事にならないから、部屋に戻る。お勉強はちゃんとやってね」と言うとさっと書類をまとめて立ち上がった。
「お姉様の迷惑になったじゃない。すぐに出て行って」ロザモンドの声に、護衛が入ってくると三人はつまみ出された。
こうしてわけがわからないうちに仕事を辞めさせられた侍女長たち三人はロザモンドの事を恨んだ。
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