16 / 48
13 夜会の収穫
しおりを挟む
エリザベートが彼らを追いかけようとした時、
「わたくしが行きます。エリザベート様」と給仕が言った。
「わたくしに見覚えはありませんでしょうか?」の声に覚えがあった。
エリザベートは
「お願い」と言うとロザモンドの方へ急いだ。
ジョセフィンにカーテシーをさせたまま、ロザモンドが
「へーーえ、あなたバードレッドって言うの。その鳥って」と口にしたところに、到着したエリザベートがすかさず
「さすがバードレッド家ですのね。優雅でずっと見ていたいカーテシーだわ。でも楽に・・・・」と言った。
頭を上げたジョセフィンに、にっこりと笑いかけて、
「な、なんて・・・お姉様・・」と言い出したロザモンドに被せて
「そうでしたわ。ジョセフィン様が可愛らしくて、つい」とエリザベートはロザモンドに向かって、
「ご無礼致しました」とおどけた調子で言った。
「ジョセフィン様、その見事な赤い鳥を、拝見させて下さいな」とジョセフィンの手を取った。そして
「さすがですわね。バードレッド家の方々の強さと気品があってこその・・・・その鳥と見事に調和してますわ」
ふっと後ろに視線を流したエリザベートは
「ごめんなさい、ジョセフィン様を独占してしまいました」とまた微笑んだ。それを機にジョセフィンは礼をすると去って言った。
エリザベートは、これ以上ここにいるとロザモンドの機嫌が急降下する事がわかっているので、足早に離れた。
するとあの給仕がよって来て、
「お呼びになったご令嬢がたをお連れしました」
それから更に声を潜めて
「申し訳ありません、連れ出せなくて妃殿下のお名前を使わせていただきました」
「かまいません、よくやってくれました」
エリザベートはカーテシーをしている二人を見て
「呼び立ててしまいまして、こちらへ」と言うと出口に向かった。個室になった休憩室にはいると
「もしかして、余計なことをしてないといいのだけど・・・・あの方たちはご友人?」
二人は顔を見合わせたが、一人が
「いえ、お救い頂けた事を感謝いたします」
「感謝いたします」
「あのような事は今日だけの戯れですの?」とエリザベートが優しく問うと
「あの・・・それが・・・・わたくしたちはその・・・・弱みを・・」
「弱みとは」とエリザベートが言うと二人はホロリと涙をこぼしながら
「借金です。それであの人たちと結婚しろと・・・・・でもその前に・・・・・その・・」一人が言えなくなるともう、一人が
「全員の相手をしろと・・・・どうせ結婚後もそうなるんだし・・・同じ事だと・・・」
「・・・・・」エリザベートは口がきけなかったが、どうにかしようと二人の背中を撫でた。
「結婚から逃げたいのよね」
二人は泣きながらうなづいた。
「まだ学院にいるの?」
「今度の卒業です」
「それでは卒業まで、王宮に住んでわたくしに仕えなさい。その後、文官になって執務を手伝って欲しいの」
「妃殿下・・・」エリザベートは二人が泣き止むまで背中を撫で続けた。
その後、二人は王宮に住み、給仕から第二妃についたあの侍従に守られて学院に通った。
夜会でエリザベートのもとにやって来た給仕は、王太子に着いていた侍従で、遅れて部屋にやって来たエリザベートの為にドアを開けてくれていた。
彼の名前はダラス・ハワード。王太子の学友で侍従に選ばれた。身分は高くなく、子爵の三男だ。
エリザベートは彼を自分つきにする書類を、自分で作り自分で決済した。
二人の令嬢、メアリー・テイネン子爵令嬢。タバサ・ミントス男爵令嬢、をエリザベートがそばにおくことについて侍女長が怒りもあらわにやって来ている。と言う知らせを聞いてエリザベートは、闘志を燃やした。
この女は前回、わたくしに侍女を付けなかったのよね・・・・忘れられないわ
「エリザベート様、王宮の侍女は妃殿下の為に存在します。妃殿下とは寵愛を受けている方のことです。恐れながら、あなた様は白い結婚。王太子殿下自らがお飾りと、揶揄されたあなた様に侍女を持つ資格はございません」
確かこうだったかしらね・・・・
あの男の寵愛のどこに価値があるの?
何故、あの発言を許したのかしら・・・・白かろうが、黒かろうが、第二だろうが妃殿下だよね。
自分の馬鹿さに呆れてる場合じゃないわねとエリザベートは思った。
「わたくしが行きます。エリザベート様」と給仕が言った。
「わたくしに見覚えはありませんでしょうか?」の声に覚えがあった。
エリザベートは
「お願い」と言うとロザモンドの方へ急いだ。
ジョセフィンにカーテシーをさせたまま、ロザモンドが
「へーーえ、あなたバードレッドって言うの。その鳥って」と口にしたところに、到着したエリザベートがすかさず
「さすがバードレッド家ですのね。優雅でずっと見ていたいカーテシーだわ。でも楽に・・・・」と言った。
頭を上げたジョセフィンに、にっこりと笑いかけて、
「な、なんて・・・お姉様・・」と言い出したロザモンドに被せて
「そうでしたわ。ジョセフィン様が可愛らしくて、つい」とエリザベートはロザモンドに向かって、
「ご無礼致しました」とおどけた調子で言った。
「ジョセフィン様、その見事な赤い鳥を、拝見させて下さいな」とジョセフィンの手を取った。そして
「さすがですわね。バードレッド家の方々の強さと気品があってこその・・・・その鳥と見事に調和してますわ」
ふっと後ろに視線を流したエリザベートは
「ごめんなさい、ジョセフィン様を独占してしまいました」とまた微笑んだ。それを機にジョセフィンは礼をすると去って言った。
エリザベートは、これ以上ここにいるとロザモンドの機嫌が急降下する事がわかっているので、足早に離れた。
するとあの給仕がよって来て、
「お呼びになったご令嬢がたをお連れしました」
それから更に声を潜めて
「申し訳ありません、連れ出せなくて妃殿下のお名前を使わせていただきました」
「かまいません、よくやってくれました」
エリザベートはカーテシーをしている二人を見て
「呼び立ててしまいまして、こちらへ」と言うと出口に向かった。個室になった休憩室にはいると
「もしかして、余計なことをしてないといいのだけど・・・・あの方たちはご友人?」
二人は顔を見合わせたが、一人が
「いえ、お救い頂けた事を感謝いたします」
「感謝いたします」
「あのような事は今日だけの戯れですの?」とエリザベートが優しく問うと
「あの・・・それが・・・・わたくしたちはその・・・・弱みを・・」
「弱みとは」とエリザベートが言うと二人はホロリと涙をこぼしながら
「借金です。それであの人たちと結婚しろと・・・・・でもその前に・・・・・その・・」一人が言えなくなるともう、一人が
「全員の相手をしろと・・・・どうせ結婚後もそうなるんだし・・・同じ事だと・・・」
「・・・・・」エリザベートは口がきけなかったが、どうにかしようと二人の背中を撫でた。
「結婚から逃げたいのよね」
二人は泣きながらうなづいた。
「まだ学院にいるの?」
「今度の卒業です」
「それでは卒業まで、王宮に住んでわたくしに仕えなさい。その後、文官になって執務を手伝って欲しいの」
「妃殿下・・・」エリザベートは二人が泣き止むまで背中を撫で続けた。
その後、二人は王宮に住み、給仕から第二妃についたあの侍従に守られて学院に通った。
夜会でエリザベートのもとにやって来た給仕は、王太子に着いていた侍従で、遅れて部屋にやって来たエリザベートの為にドアを開けてくれていた。
彼の名前はダラス・ハワード。王太子の学友で侍従に選ばれた。身分は高くなく、子爵の三男だ。
エリザベートは彼を自分つきにする書類を、自分で作り自分で決済した。
二人の令嬢、メアリー・テイネン子爵令嬢。タバサ・ミントス男爵令嬢、をエリザベートがそばにおくことについて侍女長が怒りもあらわにやって来ている。と言う知らせを聞いてエリザベートは、闘志を燃やした。
この女は前回、わたくしに侍女を付けなかったのよね・・・・忘れられないわ
「エリザベート様、王宮の侍女は妃殿下の為に存在します。妃殿下とは寵愛を受けている方のことです。恐れながら、あなた様は白い結婚。王太子殿下自らがお飾りと、揶揄されたあなた様に侍女を持つ資格はございません」
確かこうだったかしらね・・・・
あの男の寵愛のどこに価値があるの?
何故、あの発言を許したのかしら・・・・白かろうが、黒かろうが、第二だろうが妃殿下だよね。
自分の馬鹿さに呆れてる場合じゃないわねとエリザベートは思った。
233
お気に入りに追加
4,627
あなたにおすすめの小説
気付いたのならやめましょう?
ましろ
恋愛
ラシュレ侯爵令嬢は婚約者である第三王子を愛していた。たとえ彼に子爵令嬢の恋人がいようとも。卒業パーティーで無実の罪で断罪されようとも。王子のその愚かな行為を許し、その愛を貫き通したのだ。己の過ちに気づいた第三王子は婚約者の愛に涙を流し、必ず幸せにすることを誓った。人々はその愚かなまでの無償の愛を「真実の愛」だと褒め称え、二人の結婚を祝福した。
それが私の父と母の物語。それからどうなったか?二人の間にアンジェリークという娘が生まれた。父と同じ月明かりのような淡いプラチナブロンドの髪にルビーレッドの瞳。顔立ちもよく似ているらしい。父は私が二歳になる前に亡くなったから、絵でしか見たことがない。それが私。
真実の愛から生まれた私は幸せなはず。そうでなくては許されないの。あの選択は間違いなかったと、皆に認められなくてはいけないの。
そう言われて頑張り続けたけど……本当に?
ゆるゆる設定、ご都合主義です。タグ修正しました。
【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり
(完結)私はあなた方を許しますわ(全5話程度)
青空一夏
恋愛
従姉妹に夢中な婚約者。婚約破棄をしようと思った矢先に、私の死を望む婚約者の声をきいてしまう。
だったら、婚約破棄はやめましょう。
ふふふ、裏切っていたあなた方まとめて許して差し上げますわ。どうぞお幸せに!
悲しく切ない世界。全5話程度。それぞれの視点から物語がすすむ方式。後味、悪いかもしれません。ハッピーエンドではありません!
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる