20 / 38
20 バージルとバーバラ・ジェーン
しおりを挟む
三人は王都にちょっと戻ると、ジュディが喜びそうな本と役に立つ本を持って帰ってきた。それを読んでジュディが安全に屋敷にいる。
三人は情報をもとにモルファイ家の馬車とすれ違った。馬車の家紋はちゃんとしたベルウッド家のものがついている。
すれ違い終わった時、相手の護衛が馬を寄せて来て、こちらの馭者のミックに
「なにを知らんふりしている」と怒鳴って来た。ミックは馬車を止めると
「なんでしょうか?」と胸を張って答えた。
「雑な操作で石が跳ねた」と護衛が言うと
「石くらい跳ねるだろう。そちらが跳ねた石が当たったがそれをどうにかしてくれるのか?」とミックも答えた。
「なに・・・こちらは侯爵家だが」と護衛が言うのを
「侯爵家は石に耐えられない軟弱者なのか」とミックは鼻で笑った。そのとき、馬車の扉が開かれて出て来た。
『おぉ来たか』とミックはその姿をじっと見た。
「なんだ?お前の主人はあれか?」と護衛に向かって驚き呆れたって顔で言ってやると
「そうだ。ただの令嬢とは違う。意思を持った方だ。だから敢えて、御自分が表に立たれる」と護衛は胸をはって答えた。
「えーーと馬車がすれ違うときに石が跳ねてその石が当たった。石を当てた相手が悪い。そう言いたいのか?」とミックが出て来た女をじろじろ見ながら護衛に言うと黙った。
護衛と女を見ながら沈黙を続けた。
「お前はこの方が出てきたのになにも思わないのか?」と護衛が怒鳴ると
「思うことはないが驚いている。普通の令嬢は決して馬車の外に出ない。普通の令嬢はこんな道の真ん中で馬車から出ない」と答えた。
「普通の令嬢ってなに? 頭が空っぽで親の言うとおりにおとなしく座っている存在のこと?」とバーバラ・ジェーンが誇らしげに言った。
ミックはそれを無視して護衛に向かって
「先ほどの質問に答えてよ」と言った。
「石を当てた方が悪い」とバーバラ・ジェーンが言った。
「当ててないと思うが」とミックが言うと
「当たったとわたくしが言うのよ。お前が悪い」とバーバラ・ジェーンが勝ち誇って言うと、ベルウッド家の馬車の扉が開いた。バージルがゆっくりと降りて来た。
「なるほど、おもしろい理屈だね」と言うとバーバラ・ジェーンに笑いかけ
「だが、理屈はともかく令嬢が無防備に道に立つのは良くないね。護衛はもっと気を付けないと。侍女は?」と問いかけた。
「侍女はいません。わたくしは一人でやれますの」と答えると
「普通の令嬢ではないという事か?」とバージルが聞くと
「えぇ、親の言うなりは嫌ですの。侯爵令嬢なんてこととは別に自分の価値を求めてますの」とバーバラ・ジェーンは勝ち誇って答えた。
「なるほど・・・今、使える者を探している。宰相として個人的に使えるものが欲しい」と言うと
「え?」とさすがのバーバラ・ジェーンも息を飲んだ。そしてバージルの馬車の家紋を見て、バージルを見て合点がいったようだったが、ぐっと胸をそらすと
「なるほど・・・わかりましたわ。うかがいます」と言うと馬車に戻った。
バージルが馬車に戻ったところでモルファイ家の馬車は去って行った。
馬車を見送るバージルは楽しげだった。
三人は情報をもとにモルファイ家の馬車とすれ違った。馬車の家紋はちゃんとしたベルウッド家のものがついている。
すれ違い終わった時、相手の護衛が馬を寄せて来て、こちらの馭者のミックに
「なにを知らんふりしている」と怒鳴って来た。ミックは馬車を止めると
「なんでしょうか?」と胸を張って答えた。
「雑な操作で石が跳ねた」と護衛が言うと
「石くらい跳ねるだろう。そちらが跳ねた石が当たったがそれをどうにかしてくれるのか?」とミックも答えた。
「なに・・・こちらは侯爵家だが」と護衛が言うのを
「侯爵家は石に耐えられない軟弱者なのか」とミックは鼻で笑った。そのとき、馬車の扉が開かれて出て来た。
『おぉ来たか』とミックはその姿をじっと見た。
「なんだ?お前の主人はあれか?」と護衛に向かって驚き呆れたって顔で言ってやると
「そうだ。ただの令嬢とは違う。意思を持った方だ。だから敢えて、御自分が表に立たれる」と護衛は胸をはって答えた。
「えーーと馬車がすれ違うときに石が跳ねてその石が当たった。石を当てた相手が悪い。そう言いたいのか?」とミックが出て来た女をじろじろ見ながら護衛に言うと黙った。
護衛と女を見ながら沈黙を続けた。
「お前はこの方が出てきたのになにも思わないのか?」と護衛が怒鳴ると
「思うことはないが驚いている。普通の令嬢は決して馬車の外に出ない。普通の令嬢はこんな道の真ん中で馬車から出ない」と答えた。
「普通の令嬢ってなに? 頭が空っぽで親の言うとおりにおとなしく座っている存在のこと?」とバーバラ・ジェーンが誇らしげに言った。
ミックはそれを無視して護衛に向かって
「先ほどの質問に答えてよ」と言った。
「石を当てた方が悪い」とバーバラ・ジェーンが言った。
「当ててないと思うが」とミックが言うと
「当たったとわたくしが言うのよ。お前が悪い」とバーバラ・ジェーンが勝ち誇って言うと、ベルウッド家の馬車の扉が開いた。バージルがゆっくりと降りて来た。
「なるほど、おもしろい理屈だね」と言うとバーバラ・ジェーンに笑いかけ
「だが、理屈はともかく令嬢が無防備に道に立つのは良くないね。護衛はもっと気を付けないと。侍女は?」と問いかけた。
「侍女はいません。わたくしは一人でやれますの」と答えると
「普通の令嬢ではないという事か?」とバージルが聞くと
「えぇ、親の言うなりは嫌ですの。侯爵令嬢なんてこととは別に自分の価値を求めてますの」とバーバラ・ジェーンは勝ち誇って答えた。
「なるほど・・・今、使える者を探している。宰相として個人的に使えるものが欲しい」と言うと
「え?」とさすがのバーバラ・ジェーンも息を飲んだ。そしてバージルの馬車の家紋を見て、バージルを見て合点がいったようだったが、ぐっと胸をそらすと
「なるほど・・・わかりましたわ。うかがいます」と言うと馬車に戻った。
バージルが馬車に戻ったところでモルファイ家の馬車は去って行った。
馬車を見送るバージルは楽しげだった。
354
お気に入りに追加
1,144
あなたにおすすめの小説
今さら跡継ぎと持ち上げたって遅いです。完全に心を閉ざします
匿名希望ショタ
恋愛
血筋&魔法至上主義の公爵家に生まれた魔法を使えない女の子は落ちこぼれとして小さい窓しかない薄暗く汚い地下室に閉じ込められていた。当然ネズミも出て食事でさえ最低限の量を一日一食しか貰えない。そして兄弟達や使用人達が私をストレスのはけ口にしにやってくる。
その環境で女の子の心は崩壊していた。心を完全に閉ざし無表情で短い返事だけするただの人形に成り果ててしまったのだった。
そんな時兄弟達や両親が立て続けに流行病で亡くなり跡継ぎとなった。その瞬間周りの態度が180度変わったのだ。
でも私は完全に心を閉ざします
(完)私を裏切る夫は親友と心中する
青空一夏
恋愛
前編・中編・後編の3話
私を裏切って長年浮気をし子供まで作っていた夫。懲らしめようとした私は・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風。R15大人向き。内容はにやりとくるざまぁで復讐もの。ゆるふわ設定ご都合主義。
※携帯電話・テレビのある異世界中世ヨーロッパ風。当然、携帯にカメラも録音機能もありです。
(完)私を捨てるですって? ウィンザー候爵家を立て直したのは私ですよ?
青空一夏
恋愛
私はエリザベート・ウィンザー侯爵夫人。愛する夫の事業が失敗して意気消沈している夫を支える為に奮闘したわ。
私は実は転生者。だから、前世の実家での知識をもとに頑張ってみたの。お陰で儲かる事業に立て直すことができた。
ところが夫は私に言ったわ。
「君の役目は終わったよ」って。
私は・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風ですが、日本と同じような食材あり。調味料も日本とほぼ似ているようなものあり。コメディのゆるふわ設定。
そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。
しげむろ ゆうき
恋愛
男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない
そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった
全五話
※ホラー無し
今夜、元婚約者の結婚式をぶち壊しに行きます
結城芙由奈
恋愛
【今夜は元婚約者と友人のめでたい結婚式なので、盛大に祝ってあげましょう】
交際期間5年を経て、半年後にゴールインするはずだった私と彼。それなのに遠距離恋愛になった途端彼は私の友人と浮気をし、友人は妊娠。結果捨てられた私の元へ、図々しくも結婚式の招待状が届けられた。面白い…そんなに私に祝ってもらいたいのなら、盛大に祝ってやろうじゃないの。そして私は結婚式場へと向かった。
※他サイトでも投稿中
※苦手な短編ですがお読みいただけると幸いです
【完結】あの子の代わり
野村にれ
恋愛
突然、しばらく会っていなかった従姉妹の婚約者と、
婚約するように言われたベルアンジュ・ソアリ。
ソアリ伯爵家は持病を持つ妹・キャリーヌを中心に回っている。
18歳のベルアンジュに婚約者がいないのも、
キャリーヌにいないからという理由だったが、
今回は両親も断ることが出来なかった。
この婚約でベルアンジュの人生は回り始める。
私と一緒にいることが苦痛だったと言われ、その日から夫は家に帰らなくなりました。
田太 優
恋愛
結婚して1年も経っていないというのに朝帰りを繰り返す夫。
結婚すれば変わってくれると信じていた私が間違っていた。
だからもう離婚を考えてもいいと思う。
夫に離婚の意思を告げたところ、返ってきたのは私を深く傷つける言葉だった。
子供なんていらないと言ったのは貴男だったのに
砂礫レキ
恋愛
男爵夫人のレティシアは突然夫のアルノーから離縁を言い渡される。
結婚してから十年間経つのに跡継ぎが出来ないことが理由だった。
アルノーは妊娠している愛人と共に妻に離婚を迫る。
そしてレティシアは微笑んで応じた。前後編で終わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる