王妃はわたくしですよ

12 今日の正餐はお昼

庭ゆっくり散歩したジュディは三人から交代でエスコートされた。

家に戻るとパメラが

「いい時間に戻りましたね。準備が必要なことをみなさんはわかっていましたね。ジュディさん、今の服装は午前中の格好ですね。正餐にふさわしい服装に着替えましょう」

「はーーはい」とジュディは間の抜けた返事をした。


食事が入らないと三人を心配させると、コルセットは緩いまま着替えをして、髪を結って貰ったジュディが、鏡の前で百面相をしているとドアがノックされた。

着替えたミックが立っていた。

「おぉジュディ、綺麗だ」と差し出した腕につかまって、ジュディは食堂に向かった。


「ジュディ様、マナーの講習も含まれてますので、そのつもりで召し上がって下さい」とパメラに言われてジュディはうなずいた。

執事のヘンリーに椅子を引かれて、ゆっくり座る。

「ジュディ様、動作いいですね。スカートの扱いが少し残念です。それだと目立つ所にシワが入ります。ちょっとわたくしが直しますね」とパメラがスカートをいじった

「これで大丈夫です。課題ですね」とパメラが言うと前菜が運ばれて来た。

「ご存知のことですが、一応説明を・・・特別に手に入ったものや、自家菜園で採れた最高に新鮮で美味しいものを少しだけと出されるものです。お酒も少し上がって見て下さい。お三人が狩って来た牝鹿のレバーで作ったペーストです。すぐに血抜きをしてますので、美味しいかと・・・さくらんぼが熟れ始めたので、サラダにして貰いました。そのレタスと一緒にどうぞ。上手ですよ。最後は菜園のお豆です。軽く塩ゆでしてあります。フォークの背ですこしつぶすと食べやすいですよ」

「この味が苦手というのはありましたか？」

ジュディは黙って首を振った。

「次はスープです」

ジュディの前にはコーンスープが置かれた。

クルトンのバターの匂いが、ほんとうに美味しそうだ。慎重に口に運んだ。時々気がついて背を伸ばす。

ふと三人を見るとみんな、すました真面目な顔でスープを飲んでいた。

「今日はお魚はありません。お肉は鹿肉のステーキです。さくらんぼのソースです。まだははしりで酸っぱいので甘くしてソースにしました。ジュディ様、細かい所はまだまだですが、姿勢が保たれているのがいいですね。ここで講習は終わり。お話しながらお食事して下さい」

そう言うとパメラは部屋を出て言った。

「「「はーーーー」」」と三人がため息をついた。

「パメラがいると緊張するんだよ」とライリーが言うと

「まったくだ。せっかくの鹿肉をゆっくり味わおう。どうだい？ジュディ美味しい？」とバージルが言うと

「えぇ、とってもわたくしは初めて食べました。美味しいですね。今日はどのお料理も美味しい」とジュディが答えた。

「それは良かった。ジュディはもっと肉がついてもいいからね」とバージルがパンのお代わりを取りながら言った。


デザートはミルクとオレンジのゼリーをモザイクのように固めたもので、オレンジの風味が口をさっぱりさせてくれた。


「残念ながら、食事がすんだら着替えてジュディは学院に戻る。今日は俺が馭者をして送っていくからね」とバージルが言った。

「あら、バージ・・・叔父様ありがとうございます」とジュディが答えて笑った。