王妃はわたくしですよ

朝山みどり

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11 朝食

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軽いノックの音で目が覚めた。

「はいりますよ」とパメラが入って来た。

「よく眠れたようですね」とジュディを優しく見て言うと、カーテンを開けた。

「身支度のお世話をしますね」と言いながら、クローゼットを開けるとドレスを取り出した。

「今日はこれをお召になって下さい」とジュディに見せた。

「あっはい」と返事はしたもののあまりに可愛いデザインに気後れしてしまった。

「きっとお似合いですよ」とパメラはジュディを力付けるように微笑んだ。


ジュディはベッドから出ると、窓から外を見てみた。庭を三人が歩いていた。

パメラも三人も気が付くと

「鍛錬が終わったようですね。シャワーを浴びて朝食ですね。わたしたちも準備しましょう」

鏡のまえに座ったジュディは、パメラに

「軽くお化粧をしましょうね。肌がいいからノリがいいですね。ちょっとのお手入れでここまでなるとは、これからが楽しみです。御髪は軽く編み込みを入れましょう」

そう言いながら、手早く髪をまとめると、可愛い髪飾りで止めた。


「いいですね。朝食にふさわしい装いです」と鏡ごしに笑いかけると、

「さっ驚かせてやりましょう」とドアを開けた。



パメラと一緒に食堂に入ると、窓際でしゃべっていた三人が目を向けて、そのまま固まった。

「あら、レディへのご挨拶は?」とパメラが言うと、はっと動き出して

「おはよう、ジュディ。綺麗だ」「ジュディ、おはよう」「おはよう、ジュディ」

ジュディは

「おはようございます。みなさん」と挨拶を返した。

「さぁお席について下さい。ジュディ様はちょっとメニューが違いますが、気になさらずに」

パメラのその声でドアが開くと執事のヘンリーがワゴンを押して入って来た。


先ず、ジュディの前にごく普通の朝食が並べられた。

三人の前に並べられた朝食は、倍でもきかないほどあった。そしてパンの入った籠がドンと置かれた。お代わりするってことよね。

「食べながら聞いて下さい。このように量が違う場合は、いろいろな方法がありますが、ひとつは別々に食べる。

ひとつは食べ終えたかたは挨拶して席を立つ。ひとつは待つとなるでしょうか?朝食を一緒に食べるのはかなり親しい関係になりますので、どれでも好きな方法を・・・本日は紅茶を飲み比べていただきます。みなさまはいつも通り、たくさん召し上がって下さい。ただし、午後一時から正餐を食べる練習を致します。

おなかの調整は責任を持って」と三人に笑いかけるとジュディに

「あわただしくて、申し訳ないですが・・・時間が」そう言うと

「そこに腰掛けたまま、こちらをみていて下さい」

手を素早く優雅に動かしてポットにお湯を入れると、カバーをかぶせた。

「時間です」とカップにお茶を注いだ。カップ二つに均等にお茶を入れると

「どちらも少しだけ飲んで下さい。味と香りと」

ジュディは真面目な顔で両方飲んだ。

カップに顔を近づけただけでも香ったが、口に入れて驚いた。香りの塊を口に入れたようだ。飲み込んでさらに驚いた。喉を通るときにも香ったのだ。気のせいか味と香りが違うようだった。

別のカップで同じようにやって驚いた。同じ香り同じ味と感じた。うん??同じ味でいいよね。


パメラを見ると無言は許されないと感じた。

「初めてこんなに香りのいい紅茶を飲みました。なんていうか飲み込む時に味が、あっ香りも変わったように感じました」

パメラはにっこり笑うと

「ジュディ様、いいですね」と言いながらポットのお茶をカップに注いだ。

飲もうとして驚いた。香りいや、紅茶の匂いだけど・・・一口飲んだ。飲みなれた味。紅茶の匂いだよね。だけど別物。

「いいですか、これは程々のお茶ですが、上手にいれると美味しいです。また不味くもなります。

こんなお茶を出されたら、相手は敵です。もしくはメイドに躾もできない小物です。雑魚です。相手にしなくてもいいです。ジュディ様にも一通り手順を教えます。練習して下さい。ただし、今日はここまでです。お食事がすんだ三人とお話していて下さい」

「ジュディ、頑張ってるね」「行こう」「狭いけど庭がいいんだ」とジュディを囲んだ。

バージルはパメラに感謝の笑みを送った。

四人は庭は狭い庭を通り過ぎると、隣の庭に入り込んだ。


「ここは?」とジュディが戸惑うと、

「隣の庭。入る許可を貰ってるんだ」と侍従のライリーが笑って言った。



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