王妃はわたくしですよ

朝山みどり

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09 外出

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それから、しばらくジュディは、なぜか出会ってしまう、バーバラ・ジェーン様に丁寧に挨拶する日々を送っている。

「おはようございます。モルフィ侯爵令嬢」と毎回筋肉の限界に挑戦している。たっぷり間を取ると彼女は「いやだわ、かたくるしい挨拶ね。おはよう」と言うと去って行く。

あぁ面倒!!だけど余計なことは考えない。ここには勉強するために来てるんだ。


そして、今日は休日。約束通り三人が迎えに来た。


「さて、ジュディ、家に戻るまえに少し遊びましょう。屋台で買い食いはいかがでしょうか?」とバージルが言うと

「屋台ですか?えっと確か、広場にある、あれですか?」とジュディが答えると

「食い尽くしましょう」とライリーが手を叩き、ミックが

「いいですね」と相槌を打った。


広場の少し手前で馬車を降りるとバージルが腕を差し出した。

「はぐれると大変だから、つかまって。それとはぐれた時は、これを衛兵に見せると家に送ってくれる」と指輪を見せた。

ジュディはそれを左手の中指にはめようとしたが、緩かったので人差し指にはめた。


そして三人が広場に入った。最初、おとなしくしていたジュディは

「見て、あれ、あんなにお肉が大きい」とか

「あ!美味しそう」とか声に出して喜ぶようになった。

やがて、広場の端のちょうど日陰で食事をしていた男たちが、折りよく席を立ったので

「ちょうど良かった。ここに座りましょう」と四人で座った。

「わたしがいろいろ買って来ます。みんなでわけてすこしずつ食べましょう」とライリーが立ち上がった。

「飲み物を買って来ます」とミックが立ち上がった。

「慣れると自分で買えるだろうが、今日は任せろ。あいつらは美味しいものを知っている」とバージルが言った。


バージルが言った通り二人が買って来たものは美味しかった。

「ほんとにどれも美味しいですね。学院の食堂も美味しいですけどここのも美味しい。それにここで食べている人はみんな楽しそうで美味しそうで、いいですね」とジュディが言うと三人は

「「「ほんとうにそうだな」」」と言いながら、笑った。一瞬、三人がある方向を見て表情を引き締めたがジュディはお肉を味わっていて気がつかなかった。

やがて、おなかいっぱいになった四人はジュディの希望を聞いて本屋に行った。

ジュディが嬉しそうに自分の手製の巾着からおこづかいを出して支払うのを三人はほのぼのと見たが、財布に気が回っていなかったと反省したが、いや、学院ではこれでいいだろうと、思い直した。


それから、バージルがジュディの外泊用に買った家に向かった。

万が一、あとを付けられても宰相と結びつかないように、金持ちが隠し子を住まわせていますって感じの家だ。

なかに、はいると初老の男性と女性が待っていた。

「紹介する。こちらは執事のヘンリー。こちらは侍女のパメラだ」二人は深くお辞儀をした。

「ジュディ・ストーンです」とジュディが挨拶すると

「ジュディ。パメラは令嬢教育も担当するから、しっかり教えて貰ってくれ」とバージルが言った。

「よろしくお願いします。ジュディ様。これからの予定を申し上げます。本日の夕食は軽く部屋で召し上がっていただきます。広場でたくさん召し上がったようですので・・・明日の朝は、みなさん揃って。お昼は正餐をしてマナーに注意しながらおなじく皆様で」

「はい?」とジュディが返事すると

「ジュディ。君はかしずかれる存在だからね。うんと世話して貰ってね」とバージルが笑いながら言い、二人は口パクで

「「ご愁傷さま」」と言った。



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