王妃はわたくしですよ

朝山みどり

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08 生徒たちの動き

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生徒たちは、新学期が始まってから、それも最終学年のAクラスに、編入した来たジュディに注目していた。

ちなみにAクラスとBクラスに学力、能力の差はないと言われている。しかし、使っている教室に差がある。

Aクラスは旧校舎の端っこにあり、Bクラスは新校舎にある。一説によるとこの差別が目立たないように、わざとAとBを逆にしたらしい。あくまでうわさだが・・・

ただ、いきなり最終学年に編入したのは、やはりなにかあると、周りは思ったのだ。

授業ではお手並み拝見とばかりに、質問をした教師の鼻を明かした。学力は問題ないようだ。


休みの日に遊びに来た保護者の馬車に家門は、ついていなかったが、高そうな馬車で、その保護者は、三人いたが、全員が美形だった。

どういう関係だろう?婚約者?ではないような?謎だが、大事にされているようだし・・・権力とか財力とかはありそうだ。

仲良くしといて損はない。その結論に達したものは多かった。

目障りだ排除してやる。その結論に達したものもいた。


ジュディが図書館で勉強していると、後ろに誰かが立った。

「あなた、いい気になるのをやめなさい」いきなりそう言われて振り向こうとすると、今度は横にぴったりと立たれた。

都合三人に囲まれたジュディは、『わたしって、いついい気になったかな』って考えていた。


「あら、モルフィ侯爵令嬢。ご機嫌よう」と声がした。後ろの人が、すっと離れた。

「まぁ、いつも言ってるでしょう。バーバラ・ジェーンと呼んでって」

「そうでした。バーバラ・ジェーン様」とナタリーは言うと

「ジュディ、こんなに早く、バーバラ・ジェーン様とお近づきになれましたの?」とジュディにも話しかけた。

ジュディが椅子から立ち上がろうとすると、横についていた女性が

「バーバラ・ジェーン様はここのルールを」と言いかけた所を

「やめなさい。身分は関係ないですわ」とバーバラ・ジェーンが言うと

「そうでしたわ。ですが・・・お耳に入れておくべきでした。お手を煩わせて」とナタリーが軽く頭を下げた。

「理解が早くてけっこう」と反対側にいた女性が言うと

「邪魔をしたわね」とバーバラ・ジェーンが言うと三人はさっさと離れて行った。


三人の姿が消えると、ナタリーが

「驚いたでしょう。詳しく教えたいけど・・・うまく言えないのよね」と言いながら椅子に座った。

ジュディの横に座りナタリーの説明を聞いた。

「あの人はバーバラ・ジェーン・モルフィ侯爵令嬢。侯爵家の長女よ。本来彼女の立場だと学院に来なくて家庭教師なの。上位貴族のおつきあいだけをすればいいのよ。

だけど、彼女わざわざ、この学院に来たの。この学院は文官試験が目標でしょ。全員が受かるってことはないわ。難関試験だしね。上位貴族は家庭教師がついているし、多分コネもあるし・・・だけどここを卒業すれば、商店なんかでも雇ってもらえる。文官試験に合格した人って正真正銘優秀なの・・・彼女はその評価が欲しいようなの。お茶会に明け暮れるお嬢様とは一線を画したいってこと? 確かに努力してるみたいだけど・・・

ここからはあなたにとって不愉快だと思うし、これはわたしの想像なんだけど・・・もしかしてあなたってすごいお嬢様だったりしない?

自分のことは自分出来るみたいだけど、おもいがけない所が箱入りだったりするし・・・この前の面会の人たち三人とも、庶民に見せかけた貴族? あぁ詮索するつもりはないのよ。なにも言わないで・・・だから彼女が近づいて来たかなって・・・

うんとね、わたしがやったみたいにしてれば平気だし、こっちから近づかなければね。彼女クラスが違うし・・・まぁ違うからと言って交流がないってことはないけど、彼女はあなたが下だと確認したいと思うの。そして押さえつけたいのだと思うの。上位貴族に逆らうな、楯突くな。この考えはここではみんなが認めているのよ。わたしもね。だから・・・その気をつけてとしか言えないかな」と最後は申し訳なさそうに小声になり、ナタリーの話は終わった。


「ありがとう、いきなり話しかけられて驚いたけど・・・わたしは勉強したくてここに入ったの。ちゃんと学ばなくてはここに入れてくれた方に申し訳ないから・・・関わらないように気をつけて勉強するわ」

「それがいいわ。で。もう時間になっちゃったから戻りましょう」

二人は連れ立って、寮に戻った。


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