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番外編 鑑定士の受難 4

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半分、鑑定した所で、ピーノはガイツに泣きついた。護衛の口添えもあって通いで鑑定を続けた。

後半のほうが鑑定の精度があがったので、もう一度最初から鑑定した。

誰と誰が番なんてちっともわからなかった。ただ、ダニエルと言う少年に神託と言う能力があった。

それを聞いたガイツは、アーネストにピーノを会わせた。ピーノはアーネストを見ると押しのけられると感じた。

テーブルをお茶の乗ったテーブルを挟んで座っているのに、とても遠い。鑑定なんて無理だった。

そこにサミーがやって来た。ピーノのことを聞いているのか、好奇心に満ちた表情だ。

ピーノが意地悪をしたわけではないと説明を受けているので、単純にどうして能力がないと言ったのか知りたいらしい。

ピーノは冷や汗をかきながら、サミーを鑑定しようとして気分が悪くなった。

ただ、サミーとアーネストが並ぶとしっくり合うと思った。鑑定ではなくそう思った。

それなりに優しいガイツはピーノが壊れないように、連れ出してくれた。


「あのダニエルに神託の能力があるなら、次の神託に期待していいが・・・いつなんだ?」

とガイツは独り言を言う。そして

「あの家には二組の番がいるんだが、わかったか?」

「いえ、なにも。サミー様とアーネスト様は鑑定しなくてもしっくりしてますが」

「それは鑑定士じゃなくてもわかる。もっと鑑定の能力を上げればいいんだな。城の人間を・・・いや、それはサミー様に禁止されてるし・・・そうだな、植物の鑑定はどうだ?」

「やってみます」

「よし、好きに鑑定して報告してくれ。どこに行こうと勝手にしていい。護衛を連れて行くようにな・・・ダニエルは月に一度くらいは鑑定をしてやはり報告をしてくれ」

そう言って部屋を出て行くガイツをピーノはぐったりと見送った。

「庭でも散歩しますか?」と護衛が優しく声をかけた。


『圧力』 『草にも能力があるんだ』 ピーノは記録した。

『保水』『そういえば草の名前がわからない! 人の名前も鑑定でわからないんだ』ピーノはその事を報告のつもりで記録した。


記録を読んでガイツは不思議に思った。もう夜は遅い。明日の朝、朝食のあとで部屋に来るように伝えて貰った。


翌朝、部屋にやって来たピーノにガイツは確認した。

「鑑定したものの名前がわからないとは?」

「その通りです。名前を気にした事がありません。神官が名前を言って連れて来ますので、最初から名前を知っているせいかも知れません。罪人の場合も罪人の名前は事前にわかっています」

「そうか。今日は昨日と同じように名前を知らない草や花。花がいいな。鑑定してくれ。報告は夕食の前に読んで指示を出すから、そのつもりで」

「わかりました。それでは行って来ます」

『香り』

『トゲ』

『木陰』『これも能力なのか?』

『香り』

『育成』『なんだ?』

『秘密』


今日は庭師が丹精した中庭を散歩したピーノは、鑑定するとせまってくる植物に圧倒されていた。そのくせ結果は、ほんの一言。

『どういう事だ?』と汗を拭いていると

「そこに座りましょう。お辛そうですよ」と護衛が声をかけて来た。

ベンチに腰をおろしたピーノに護衛は飲み物を取ってくるから、休んでいるようにと言うと急ぎ足で去って行った。



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