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43 ゲーリンデ家で アーネスト目線
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ゲーリンデ家にウィルヘルムを連れて行った。
「行方不明になっていた御子息を見つけ保護しました」こう言うと、門は開いた。
ゲーリンデ家の客間で、当代であるウィルヘルムの実の父親と後妻である義母と顔を合わせた。
この義母はあのスミノード家の者だな、魔石販売を独占する不愉快な一族だ。
「ウィルヘルム、心配したのよ。あなたが行方不明になって・・・あの時のおつきの者には罰を与えたわ。だけどあなたは見つからない。あぁやっと帰ってきたのね」と夫人がウィルヘルムを無理やり抱きしめてこう言った。
「本当だ。どれほど探したか」と大公も夫人ごとウィルヘルムを抱きしめた。
「感動的な親子の対面ですが、すでに調査がはいっておりますし、犯人も確保してあります」とウィルヘルムをレオナルドが二人から引き剥がすと俺は言った。
「犯人が捕まっている?」と大公が油断なく俺たちを見ながら言うと、夫人も
「犯人に会わせて」と言った。
「はい、王家の協力を得まして・・・」とにやりと笑うと
「王家が?」と大公が呟いた。
「ウィルヘルム殿の扱いについて疑問を持っておりまして、気にかけておりました」
「あぁ確かに獣姿で生まれ、そのままずっと、犬に読み書きは無理ですので、好きにさせておきました。それのどこがいけないのでしょうか?」
「人として接していればすぐに人間の形を取れるというのは常識だ。それをずっと犬扱いして、犬として山に捨てたな」
「いえ、そんなことは・・・きちんと人として接しておりました。それなのにいつまで経っても、獣のまま・・・後継は無理だと思っておりました。ですが、きちんと息子と思っておりましたが、一部の不埒な召使がきつい当たりをしたかも知れません。そこはわたくしの不徳の致す所です」と大公が頭を下げる。
「それでは、わだかまりのないように、しばらくここに滞在してウィルヘルム殿の後継教育を見せて貰おう。しばらく厄介になる」
「承知いたしました」と大公が答えるのを待って
「こちらのジークフリードとレオナルドはもともとこちらに仕えている者ですね、共にウィルヘルム殿を探した仲間。今はわたしの部下となっております。共に行動致します故、屋敷内へきちんと通達をするように」
「かしこまりました」
「それでは部屋の準備が出来るまで、ウィルヘルム、屋敷を案内して貰おうか?」と言うと
「わぁ、いつも部屋に閉じ込められていたから、自分の家なのに知らないのです。アーネスト様、頼んでくださいましてありがとうございます」とウィルヘルムが答えるとその途中で
「いや」とか「違う」とか「それは」とか言おうとしていたが、ウィルヘルムは知らんふりして最後まで言った。
初めてみる自分の家。楽しもうな!!
「こちらは図書室です」とドアをちょっと開けるとすぐに閉めた男を俺は押しのけた。ドアを改めて開けるとウィルヘルムを招き入れた。
「たくさん、ある」とウィルヘルムが呟いた。
「がんばって読め」と言うとため息が聞こえた。
部屋を出ると案内の男が変わっていた。
「こちら、降りた所が温室です」と先に立って階段を降りて行った。
温室は見事だった。確か先代の趣味でめずらしい植物を集めたのだ。ウィルヘルムは目を輝かせて見ている。
「ここも君の物だ」と男に聞こえるようウィルヘルムに告げた。
「はい。この美しさを守ります」とは、期待以上の答えが返って来た。
温室を出ると最初の部屋に戻った。
部屋には大公夫妻とレオナルドがいた。レオナルドが心なしか勝ち誇っている。なにかやったのだろうな!
「行方不明になっていた御子息を見つけ保護しました」こう言うと、門は開いた。
ゲーリンデ家の客間で、当代であるウィルヘルムの実の父親と後妻である義母と顔を合わせた。
この義母はあのスミノード家の者だな、魔石販売を独占する不愉快な一族だ。
「ウィルヘルム、心配したのよ。あなたが行方不明になって・・・あの時のおつきの者には罰を与えたわ。だけどあなたは見つからない。あぁやっと帰ってきたのね」と夫人がウィルヘルムを無理やり抱きしめてこう言った。
「本当だ。どれほど探したか」と大公も夫人ごとウィルヘルムを抱きしめた。
「感動的な親子の対面ですが、すでに調査がはいっておりますし、犯人も確保してあります」とウィルヘルムをレオナルドが二人から引き剥がすと俺は言った。
「犯人が捕まっている?」と大公が油断なく俺たちを見ながら言うと、夫人も
「犯人に会わせて」と言った。
「はい、王家の協力を得まして・・・」とにやりと笑うと
「王家が?」と大公が呟いた。
「ウィルヘルム殿の扱いについて疑問を持っておりまして、気にかけておりました」
「あぁ確かに獣姿で生まれ、そのままずっと、犬に読み書きは無理ですので、好きにさせておきました。それのどこがいけないのでしょうか?」
「人として接していればすぐに人間の形を取れるというのは常識だ。それをずっと犬扱いして、犬として山に捨てたな」
「いえ、そんなことは・・・きちんと人として接しておりました。それなのにいつまで経っても、獣のまま・・・後継は無理だと思っておりました。ですが、きちんと息子と思っておりましたが、一部の不埒な召使がきつい当たりをしたかも知れません。そこはわたくしの不徳の致す所です」と大公が頭を下げる。
「それでは、わだかまりのないように、しばらくここに滞在してウィルヘルム殿の後継教育を見せて貰おう。しばらく厄介になる」
「承知いたしました」と大公が答えるのを待って
「こちらのジークフリードとレオナルドはもともとこちらに仕えている者ですね、共にウィルヘルム殿を探した仲間。今はわたしの部下となっております。共に行動致します故、屋敷内へきちんと通達をするように」
「かしこまりました」
「それでは部屋の準備が出来るまで、ウィルヘルム、屋敷を案内して貰おうか?」と言うと
「わぁ、いつも部屋に閉じ込められていたから、自分の家なのに知らないのです。アーネスト様、頼んでくださいましてありがとうございます」とウィルヘルムが答えるとその途中で
「いや」とか「違う」とか「それは」とか言おうとしていたが、ウィルヘルムは知らんふりして最後まで言った。
初めてみる自分の家。楽しもうな!!
「こちらは図書室です」とドアをちょっと開けるとすぐに閉めた男を俺は押しのけた。ドアを改めて開けるとウィルヘルムを招き入れた。
「たくさん、ある」とウィルヘルムが呟いた。
「がんばって読め」と言うとため息が聞こえた。
部屋を出ると案内の男が変わっていた。
「こちら、降りた所が温室です」と先に立って階段を降りて行った。
温室は見事だった。確か先代の趣味でめずらしい植物を集めたのだ。ウィルヘルムは目を輝かせて見ている。
「ここも君の物だ」と男に聞こえるようウィルヘルムに告げた。
「はい。この美しさを守ります」とは、期待以上の答えが返って来た。
温室を出ると最初の部屋に戻った。
部屋には大公夫妻とレオナルドがいた。レオナルドが心なしか勝ち誇っている。なにかやったのだろうな!
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