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29 公爵家で アーネスト目線
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俺は侍女長の部屋へ行った。
「お前が番の面倒を見てくれたんだな?」
侍女長はまっさおになったが、
「わたくしは番さまとして大切に致しました。・・・奥様の御意向通りの事を致しました」
「なるほど、どのように大切にしたのか話してくれ。重そうな錬金鍋を持っていたそうだな」
「はい、従者が番さまのお部屋まで、運びました」
「なるほど、部屋までか・・・」
「・・・」
「そのあとはどうしたんだ?」
「番につけたメイドは誰だ?」
「リリー」
俺はリリーに会うために部屋を出た。
「アーネスト様、お待ちください」と侍女長が言ったが無視をした。侍女長を部屋から出すなと命令した。
厨房に行くと
「アーネスト様お帰りになったそうですね。今回は早かったですね。夕食はお好きな物を作りますよ。ご希望は?」とコックが笑いかけてきた。
昔から俺の好物をたくさん作ってくれるいいやつだ。
「今回ばかりは嫌気が差してね。置いて帰ってきた」
「そうですか。わたし風情が言うのもなんですが、アーネスト様は人がいいですからね。ケツまくったほうが・・・いや下品な・・・お下品な言い方をしました。尻をまくるですかね・・・まぁ早く帰ったのはいいことですよ」
「あぁ、留守の間、なにかあったかい?」
「別に・・・なにも・・・そういえば、離れに誰か来たんですがね、いつのまにかいなくなりました」
「離れに・・・それは誰だい?」
「さぁ、リリーが一応ついてんですがね。対してやることはなかったそうですよ。それが最初はそれなりの食事を出してたんですが、ある日侍女長が怒って、パンとスープだけになって、パンも残り物の固いパンでいいとかって・・・スープも一回分を薄めて二回に分けろとかって・・・ちょっと気の毒だけど言いつけは守りましたよ。一体なにをしたんでしょうね」
「ちょっと興味があるな。リリーを呼んでくれ・・・あぁ怒ってるってことはないから、話を聞きたいだけだって呼んでくれ」
「君がリリー?離れに客だなんて珍しいと思って」と言うと
「えぇどうしてあの人が公爵家の客なのか不思議でした」
「不思議?」
「そうですよ。貧相で粗末な服を着てました。まぁ食事を運ぶだけでいいから面倒はなかったけど・・・図書室に行ったり庭を散歩するくらいだから、邪魔にならなかったけど、なぜか侍女長を怒らせたみたいで、食事が粗末になったのよ。あれは気の毒かしらね。まぁ仕事もしないで食事ができてるから・・・それがある日急にいなくなったんですよ。食事が残っているから、どうしたのかなって思ったんですけど・・・」
「探したのかな?」
「さぁ、わかりません」
「部屋を見たい」
「はい。案内します」
リリーが案内した部屋は間違いなくあの部屋だった。部屋にはいるとリリーはためらいなく、クローゼットを開けると
「不思議なんですよ。ドレスが三枚ありますけど、ここにいた人、ドレスはいつもこれを着てたんですが全部置いていったんですよ。最初変わった服を着てたんですけどね。
なにも持って行ってないって不思議ですよね。お部屋に大きなお鍋とかもって来たんですけど、なくなってました。それ以外は全部もとのままです。最初に着てた風変わりな服を着て行ったのでしょうね」
「そのドレスはお客の為に用意したものかな?」
「えぇ、そうだと思います。最初からここにありました。実は侍女長から捨てるように言われてました。内緒にして下さいね」
「そのままにしてくれ、見せたいやつがいる」
リリーを下がらせて、部屋をじっくり見る。粗末な部屋に怒りが湧いて来る。そして番に会いに行きたい気持ちよりも母親を王太子を罰したい気持ちが強く、湧いてくる・・・
全部壊してやりたい。
「お前が番の面倒を見てくれたんだな?」
侍女長はまっさおになったが、
「わたくしは番さまとして大切に致しました。・・・奥様の御意向通りの事を致しました」
「なるほど、どのように大切にしたのか話してくれ。重そうな錬金鍋を持っていたそうだな」
「はい、従者が番さまのお部屋まで、運びました」
「なるほど、部屋までか・・・」
「・・・」
「そのあとはどうしたんだ?」
「番につけたメイドは誰だ?」
「リリー」
俺はリリーに会うために部屋を出た。
「アーネスト様、お待ちください」と侍女長が言ったが無視をした。侍女長を部屋から出すなと命令した。
厨房に行くと
「アーネスト様お帰りになったそうですね。今回は早かったですね。夕食はお好きな物を作りますよ。ご希望は?」とコックが笑いかけてきた。
昔から俺の好物をたくさん作ってくれるいいやつだ。
「今回ばかりは嫌気が差してね。置いて帰ってきた」
「そうですか。わたし風情が言うのもなんですが、アーネスト様は人がいいですからね。ケツまくったほうが・・・いや下品な・・・お下品な言い方をしました。尻をまくるですかね・・・まぁ早く帰ったのはいいことですよ」
「あぁ、留守の間、なにかあったかい?」
「別に・・・なにも・・・そういえば、離れに誰か来たんですがね、いつのまにかいなくなりました」
「離れに・・・それは誰だい?」
「さぁ、リリーが一応ついてんですがね。対してやることはなかったそうですよ。それが最初はそれなりの食事を出してたんですが、ある日侍女長が怒って、パンとスープだけになって、パンも残り物の固いパンでいいとかって・・・スープも一回分を薄めて二回に分けろとかって・・・ちょっと気の毒だけど言いつけは守りましたよ。一体なにをしたんでしょうね」
「ちょっと興味があるな。リリーを呼んでくれ・・・あぁ怒ってるってことはないから、話を聞きたいだけだって呼んでくれ」
「君がリリー?離れに客だなんて珍しいと思って」と言うと
「えぇどうしてあの人が公爵家の客なのか不思議でした」
「不思議?」
「そうですよ。貧相で粗末な服を着てました。まぁ食事を運ぶだけでいいから面倒はなかったけど・・・図書室に行ったり庭を散歩するくらいだから、邪魔にならなかったけど、なぜか侍女長を怒らせたみたいで、食事が粗末になったのよ。あれは気の毒かしらね。まぁ仕事もしないで食事ができてるから・・・それがある日急にいなくなったんですよ。食事が残っているから、どうしたのかなって思ったんですけど・・・」
「探したのかな?」
「さぁ、わかりません」
「部屋を見たい」
「はい。案内します」
リリーが案内した部屋は間違いなくあの部屋だった。部屋にはいるとリリーはためらいなく、クローゼットを開けると
「不思議なんですよ。ドレスが三枚ありますけど、ここにいた人、ドレスはいつもこれを着てたんですが全部置いていったんですよ。最初変わった服を着てたんですけどね。
なにも持って行ってないって不思議ですよね。お部屋に大きなお鍋とかもって来たんですけど、なくなってました。それ以外は全部もとのままです。最初に着てた風変わりな服を着て行ったのでしょうね」
「そのドレスはお客の為に用意したものかな?」
「えぇ、そうだと思います。最初からここにありました。実は侍女長から捨てるように言われてました。内緒にして下さいね」
「そのままにしてくれ、見せたいやつがいる」
リリーを下がらせて、部屋をじっくり見る。粗末な部屋に怒りが湧いて来る。そして番に会いに行きたい気持ちよりも母親を王太子を罰したい気持ちが強く、湧いてくる・・・
全部壊してやりたい。
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