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25 厄介なのが来た

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こっそり帰った事を知られない内に、こっそり出発することにした。

ジークの武器はわたしが持っていた槍だ。レオンがこれを売るのは勿体無いと謎の理論を展開するので、売らずに持っていたものだ。



さぁ出発っと馬車が動き出した時、どこかの護衛の騎士がやって来た。馬車の前に立ちふさがり、

「姫様が買い物に来られる。至急準備して出迎えよ」と言った。

今日は馭者台に、レオンが乗っている。

「今から出発だ、出直されよ」と答えた。

「なに、無礼な」ともう剣に手がかかっている護衛をみたわたしは、店を開ける方が面倒が少なそうだと判断した。


「特別に店を開けるそうだ。準備する」とレオンは言うと馬車をその場に止めた。

「そちらの馬車は外に止めてくれ」とレオンが偉そうに言った。


しばらくすると

「こんなに歩かせるなんて、無礼な店ね」

「ほんとうに姫様に無礼です」

「いやはやほこりが・・・」とか声が聞こえて、ブロンドの姫様とやらと、侍女と護衛が入って来た。

わたしとレオンの二人で応対した。

「ギルドにあるシャンプーとリンスとかを、ありったけに上級ポーションとかポーションをありったけよこしなさい」

姫様とやらが言った。

「今、そこにあるだけですね」と棚を示した。

「姫様がご所望ですよ。隠してはいませんか?」と侍女が言うので

「いえ、そんなことはありません」と答えると


「仕方ないわね、奥に隠してないか調べなさい」と姫様が言うと護衛が店の奥へドアを開けて走って行った。

レオンはわたしを後ろにして剣をかまえたが、追いかけては行かなかった。


そこに男性が駆け込んで来た。

うん?と言った顔をしてわたしの方を見た。わたしもそちらを見た。よく言う一目惚れの電気に打たれた様って本当だとわたしは言える。

周りの音が消え、その時は彼だけに焦点が・・・まわりは単なる背景だった。

レオンがわたしを後ろにかばっているのに気づいた。邪魔しないでと思ったが、


「アーネスト、来てくれたのね。よかった。この店無礼なのよ」の声で、緊張がほどけた。

「なにやってるんだ。君がまた、むちゃしてるんじゃないかと来てみたらこのありさま。いい加減にしろ。おまえたちもなにをやってるんだ」

その時、奥で悲鳴が聞こえて、アーネストと呼ばれた男は奥へ走って行った。

しばらくすると、ガイツとアーネストが両手に護衛をひきづって出てきた。

「なんてことを、アーネスト様、こんな店は潰しましょう」と姫様が言うと


「いい加減にしろ、商店に迷惑をかけるなとあれほど」とアーネストが言えば

「商品を用意してないのがいけないのです」

「でもアーネスト同じ店に来るなんて」

「まさか、クロエがここにいるとは思わなかった。馬車を見て君がここにいるのがわかった。また無茶をするんじゃないかと思い、止めようと急いだのだ。わたしは番に土産と思ったのだ。ここで会ったのは偶然だ」

へ?この男、番持ちなのかと胸がずきっとした。二人の会話は進み

「番って貧相な女よ。能力もないそうよ。そんなのはアーネストにふさわしくないわ」

「君に関係ない。第一」と言いかけた所へ

「なんだ、アーネストも来ていたのか」と男性が入って来た。

「兄様も」とお姫様。

今、この町の騒動はこいつらのせいなのか、逃げる選択は正解だ。うちの奴隷は優秀だな。





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