8 / 69
08 さぁ行こう
しおりを挟む
朝、リリーが持ってきた食事を食べてから、忘れたことがないか確認した。
部屋は最初の日と同じ状態になっている。魔石以外なにも持ち出さない。鏡に写ったわたしはスボンで男の子に見える。
荷物なしだと怪しまれる。小物をいれるポーチを斜めにかけ、着替えが入った軽いリュックを背負った。
練習の甲斐があって、ポーチからもリュックからもアイテムボックスに手をいれる事が出来る。
図書室の本で、水と火はなんとか出来るまでになった。錬金釜に水を入れるのに苦労はない。
部屋に最後の一瞥をくれるとドアを閉めた。
いつものように隙間から外に出ると、髪を売りに行った。軽くなった頭に気持ちもはずむ。
馬車で食べる物、飲み物を買って予約していた馬車に乗った。目的地は冒険者が多いと聞いた町だ。
町の門を出て、馬車はひた走る。わたしは景色を楽しんだ。
「おい、坊主。どこまで行くんだ?」と話しかけられた。
「坊主じゃないよ。ちゃんと名前がある」と答えると
「おぁそうか。名前はなんて言うんだ?」と言う男は人が良さそう。
「サミー」と答えた。本名の塚本雅美からサミーって言うのが子供の頃からのあだ名だったからこの世界でもそう名乗ることにしてギルドで登録した。
「サミーか。俺はカイル。よろしくな」って言葉がなぜが嬉しくて
「カイルさんはどこまで行くんですか?」
「おれは、リーフタウンだ」
「わたしは、ジップシティ」と答えると
「なるほど、あたらしい町か」
「はい」
それからは、カイルの喋りに他の客も加わって賑やかだった。
翌日、国境をあっさり簡単に越えた。馬車から降りる事もなかった。さすがにカイルのおしゃべりは途切れていたが。
そのカイルが、ふと小声でこう言った。
「サミー、おまえはどう見ても弱っちい。だから奴隷を買うといい。そいつが守ってくれるから」
「奴隷?」
「あぁ、強いやつは高いが命は大事だからな。まぁ安いやつでもおまえより強いだろうし、奴隷は命令を守るから命を捨ててもお前を守る。次の町で買うといい」
その事を考えていると、ジップシティに着いた。
「ありがとう、カイルさん教えてくれた事、助かった」と言うと
「そうか、気をつけてな」と手を振るのに
「お元気で」と手を振って別れた。
先ず、ギルドへ行って見た。ぐるりと見渡すと、武器やポーションを売っていたので
「ポーションの買取はしてますか」と聞いた。
「してるよ。鑑定に合格したらだけどね」と返って来た。
リュックから五本出して台に乗せた。
「これはどうでしょう」と言うと職員は奥へ人を呼びに行った。
「なかなかですね。買取ります」とすぐにお金をくれた。
「他に作ったら持って来て下さい。買取ります」
「はい、そうします」とお金をしまって、
「そうだ。宿の紹介はしてますか?」
「してないが、飯がうまいのは、黄金亭かな。ほんとに美味しい。うん、ギルドを出て右に行って下さい」
「ありがとう」と言うとギルドを出て、右に歩いた。
黄金亭に、二日泊まる事にして、お金を払った。それから奴隷商の場所を聞いた。ちょっとびっくりさせてしまった。
教えて貰った通りに繁華街のはずれまで来るとお店があった。
なかにはいると、執事と言った感じの男性が迎えてくれた。
「ここは奴隷商ですが・・・・」
「はい、護衛が欲しくて・・・・そのお値段はどれくらいですか?」
「値段が気になると言う事なら、高いのはおすすめできませんね」とわたしの反応を見て
「まぁごらんになって下さい。覚悟が必要ですが、見ますか?」
「はい」
「わかりました。こちらへ」と言う執事さんについて行った。
ドアが開くと、匂いが鼻についた。ずらりと並んだ部屋は鉄格子がはまっていて、映画に出て来る刑務所のようだった。
「護衛と言う事ですね。奴隷は契約しますので主人には逆らいません。いざという時は肉壁になります。ここにいるものはそれ用の奴隷です。だいたい使い捨ては金貨十枚から。優秀な護衛は金貨百枚からですが」
「そうですか?・・・」とわたしは無気力な目の奴隷たちを見ながら、奥へ向かった。
彼らの無気力な目を見て怒りがわいた。わたしも能力がわからないままだったら、あんな目であの屋敷で朽ちたかも知れないと思ったのだ。君たち、根性だせよ!
怒りで気が強くなったわたしはためらう事なく、最後の部屋を見て、息を飲んだ。
「え?」
一人の男が、それは獣人だった。この世界で初めてそれを見た時は驚いたが、今は驚く事もない。
驚いたのは、彼が酷い状態だったからだ。
「どうして、怪我したまま?」
「こいつは凶暴すぎて何度も返品になった」
奴隷って絶対服従じゃないの??
部屋は最初の日と同じ状態になっている。魔石以外なにも持ち出さない。鏡に写ったわたしはスボンで男の子に見える。
荷物なしだと怪しまれる。小物をいれるポーチを斜めにかけ、着替えが入った軽いリュックを背負った。
練習の甲斐があって、ポーチからもリュックからもアイテムボックスに手をいれる事が出来る。
図書室の本で、水と火はなんとか出来るまでになった。錬金釜に水を入れるのに苦労はない。
部屋に最後の一瞥をくれるとドアを閉めた。
いつものように隙間から外に出ると、髪を売りに行った。軽くなった頭に気持ちもはずむ。
馬車で食べる物、飲み物を買って予約していた馬車に乗った。目的地は冒険者が多いと聞いた町だ。
町の門を出て、馬車はひた走る。わたしは景色を楽しんだ。
「おい、坊主。どこまで行くんだ?」と話しかけられた。
「坊主じゃないよ。ちゃんと名前がある」と答えると
「おぁそうか。名前はなんて言うんだ?」と言う男は人が良さそう。
「サミー」と答えた。本名の塚本雅美からサミーって言うのが子供の頃からのあだ名だったからこの世界でもそう名乗ることにしてギルドで登録した。
「サミーか。俺はカイル。よろしくな」って言葉がなぜが嬉しくて
「カイルさんはどこまで行くんですか?」
「おれは、リーフタウンだ」
「わたしは、ジップシティ」と答えると
「なるほど、あたらしい町か」
「はい」
それからは、カイルの喋りに他の客も加わって賑やかだった。
翌日、国境をあっさり簡単に越えた。馬車から降りる事もなかった。さすがにカイルのおしゃべりは途切れていたが。
そのカイルが、ふと小声でこう言った。
「サミー、おまえはどう見ても弱っちい。だから奴隷を買うといい。そいつが守ってくれるから」
「奴隷?」
「あぁ、強いやつは高いが命は大事だからな。まぁ安いやつでもおまえより強いだろうし、奴隷は命令を守るから命を捨ててもお前を守る。次の町で買うといい」
その事を考えていると、ジップシティに着いた。
「ありがとう、カイルさん教えてくれた事、助かった」と言うと
「そうか、気をつけてな」と手を振るのに
「お元気で」と手を振って別れた。
先ず、ギルドへ行って見た。ぐるりと見渡すと、武器やポーションを売っていたので
「ポーションの買取はしてますか」と聞いた。
「してるよ。鑑定に合格したらだけどね」と返って来た。
リュックから五本出して台に乗せた。
「これはどうでしょう」と言うと職員は奥へ人を呼びに行った。
「なかなかですね。買取ります」とすぐにお金をくれた。
「他に作ったら持って来て下さい。買取ります」
「はい、そうします」とお金をしまって、
「そうだ。宿の紹介はしてますか?」
「してないが、飯がうまいのは、黄金亭かな。ほんとに美味しい。うん、ギルドを出て右に行って下さい」
「ありがとう」と言うとギルドを出て、右に歩いた。
黄金亭に、二日泊まる事にして、お金を払った。それから奴隷商の場所を聞いた。ちょっとびっくりさせてしまった。
教えて貰った通りに繁華街のはずれまで来るとお店があった。
なかにはいると、執事と言った感じの男性が迎えてくれた。
「ここは奴隷商ですが・・・・」
「はい、護衛が欲しくて・・・・そのお値段はどれくらいですか?」
「値段が気になると言う事なら、高いのはおすすめできませんね」とわたしの反応を見て
「まぁごらんになって下さい。覚悟が必要ですが、見ますか?」
「はい」
「わかりました。こちらへ」と言う執事さんについて行った。
ドアが開くと、匂いが鼻についた。ずらりと並んだ部屋は鉄格子がはまっていて、映画に出て来る刑務所のようだった。
「護衛と言う事ですね。奴隷は契約しますので主人には逆らいません。いざという時は肉壁になります。ここにいるものはそれ用の奴隷です。だいたい使い捨ては金貨十枚から。優秀な護衛は金貨百枚からですが」
「そうですか?・・・」とわたしは無気力な目の奴隷たちを見ながら、奥へ向かった。
彼らの無気力な目を見て怒りがわいた。わたしも能力がわからないままだったら、あんな目であの屋敷で朽ちたかも知れないと思ったのだ。君たち、根性だせよ!
怒りで気が強くなったわたしはためらう事なく、最後の部屋を見て、息を飲んだ。
「え?」
一人の男が、それは獣人だった。この世界で初めてそれを見た時は驚いたが、今は驚く事もない。
驚いたのは、彼が酷い状態だったからだ。
「どうして、怪我したまま?」
「こいつは凶暴すぎて何度も返品になった」
奴隷って絶対服従じゃないの??
111
お気に入りに追加
4,633
あなたにおすすめの小説
運命の番?棄てたのは貴方です
ひよこ1号
恋愛
竜人族の侯爵令嬢エデュラには愛する番が居た。二人は幼い頃に出会い、婚約していたが、番である第一王子エリンギルは、新たに番と名乗り出たリリアーデと婚約する。邪魔になったエデュラとの婚約を解消し、番を引き裂いた大罪人として追放するが……。一方で幼い頃に出会った侯爵令嬢を忘れられない帝国の皇子は、男爵令息と身分を偽り竜人国へと留学していた。
番との運命の出会いと別離の物語。番でない人々の貫く愛。
※自己設定満載ですので気を付けてください。
※性描写はないですが、一線を越える個所もあります
※多少の残酷表現あります。
以上2点からセルフレイティング
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
【完結】お前を愛することはないとも言い切れない――そう言われ続けたキープの番は本物を見限り国を出る
堀 和三盆
恋愛
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
「お前を愛することはない」
デビュタントを迎えた令嬢達との対面の後。一人一人にそう告げていく若き竜王――ヴァール。
彼は新興国である新獣人国の国王だ。
新獣人国で毎年行われるデビュタントを兼ねた成人の儀。貴族、平民を問わず年頃になると新獣人国の未婚の娘は集められ、国王に番の判定をしてもらう。国王の番ではないというお墨付きを貰えて、ようやく新獣人国の娘たちは成人と認められ、結婚をすることができるのだ。
過去、国の為に人間との政略結婚を強いられてきた王族は番感知能力が弱いため、この制度が取り入れられた。
しかし、他種族国家である新獣人国。500年を生きると言われる竜人の国王を始めとして、種族によって寿命も違うし体の成長には個人差がある。成長が遅く、判別がつかない者は特例として翌年の判別に再び回される。それが、キープの者達だ。大抵は翌年のデビュタントで判別がつくのだが――一人だけ、十年近く保留の者がいた。
先祖返りの竜人であるリベルタ・アシュランス伯爵令嬢。
新獣人国の成人年齢は16歳。既に25歳を過ぎているのに、リベルタはいわゆるキープのままだった。
くたばれ番
あいうえお
恋愛
17歳の少女「あかり」は突然異世界に召喚された上に、竜帝陛下の番認定されてしまう。
「元の世界に返して……!」あかりの悲痛な叫びは周りには届かない。
これはあかりが元の世界に帰ろうと精一杯頑張るお話。
────────────────────────
主人公は精神的に少し幼いところがございますが成長を楽しんでいただきたいです
不定期更新
あなたの運命になりたかった
夕立悠理
恋愛
──あなたの、『運命』になりたかった。
コーデリアには、竜族の恋人ジャレッドがいる。竜族には、それぞれ、番という存在があり、それは運命で定められた結ばれるべき相手だ。けれど、コーデリアは、ジャレッドの番ではなかった。それでも、二人は愛し合い、ジャレッドは、コーデリアにプロポーズする。幸せの絶頂にいたコーデリア。しかし、その翌日、ジャレッドの番だという女性が現れて──。
※一話あたりの文字数がとても少ないです。
※小説家になろう様にも投稿しています
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる