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08 さぁ行こう
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朝、リリーが持ってきた食事を食べてから、忘れたことがないか確認した。
部屋は最初の日と同じ状態になっている。魔石以外なにも持ち出さない。鏡に写ったわたしはスボンで男の子に見える。
荷物なしだと怪しまれる。小物をいれるポーチを斜めにかけ、着替えが入った軽いリュックを背負った。
練習の甲斐があって、ポーチからもリュックからもアイテムボックスに手をいれる事が出来る。
図書室の本で、水と火はなんとか出来るまでになった。錬金釜に水を入れるのに苦労はない。
部屋に最後の一瞥をくれるとドアを閉めた。
いつものように隙間から外に出ると、髪を売りに行った。軽くなった頭に気持ちもはずむ。
馬車で食べる物、飲み物を買って予約していた馬車に乗った。目的地は冒険者が多いと聞いた町だ。
町の門を出て、馬車はひた走る。わたしは景色を楽しんだ。
「おい、坊主。どこまで行くんだ?」と話しかけられた。
「坊主じゃないよ。ちゃんと名前がある」と答えると
「おぁそうか。名前はなんて言うんだ?」と言う男は人が良さそう。
「サミー」と答えた。本名の塚本雅美からサミーって言うのが子供の頃からのあだ名だったからこの世界でもそう名乗ることにしてギルドで登録した。
「サミーか。俺はカイル。よろしくな」って言葉がなぜが嬉しくて
「カイルさんはどこまで行くんですか?」
「おれは、リーフタウンだ」
「わたしは、ジップシティ」と答えると
「なるほど、あたらしい町か」
「はい」
それからは、カイルの喋りに他の客も加わって賑やかだった。
翌日、国境をあっさり簡単に越えた。馬車から降りる事もなかった。さすがにカイルのおしゃべりは途切れていたが。
そのカイルが、ふと小声でこう言った。
「サミー、おまえはどう見ても弱っちい。だから奴隷を買うといい。そいつが守ってくれるから」
「奴隷?」
「あぁ、強いやつは高いが命は大事だからな。まぁ安いやつでもおまえより強いだろうし、奴隷は命令を守るから命を捨ててもお前を守る。次の町で買うといい」
その事を考えていると、ジップシティに着いた。
「ありがとう、カイルさん教えてくれた事、助かった」と言うと
「そうか、気をつけてな」と手を振るのに
「お元気で」と手を振って別れた。
先ず、ギルドへ行って見た。ぐるりと見渡すと、武器やポーションを売っていたので
「ポーションの買取はしてますか」と聞いた。
「してるよ。鑑定に合格したらだけどね」と返って来た。
リュックから五本出して台に乗せた。
「これはどうでしょう」と言うと職員は奥へ人を呼びに行った。
「なかなかですね。買取ります」とすぐにお金をくれた。
「他に作ったら持って来て下さい。買取ります」
「はい、そうします」とお金をしまって、
「そうだ。宿の紹介はしてますか?」
「してないが、飯がうまいのは、黄金亭かな。ほんとに美味しい。うん、ギルドを出て右に行って下さい」
「ありがとう」と言うとギルドを出て、右に歩いた。
黄金亭に、二日泊まる事にして、お金を払った。それから奴隷商の場所を聞いた。ちょっとびっくりさせてしまった。
教えて貰った通りに繁華街のはずれまで来るとお店があった。
なかにはいると、執事と言った感じの男性が迎えてくれた。
「ここは奴隷商ですが・・・・」
「はい、護衛が欲しくて・・・・そのお値段はどれくらいですか?」
「値段が気になると言う事なら、高いのはおすすめできませんね」とわたしの反応を見て
「まぁごらんになって下さい。覚悟が必要ですが、見ますか?」
「はい」
「わかりました。こちらへ」と言う執事さんについて行った。
ドアが開くと、匂いが鼻についた。ずらりと並んだ部屋は鉄格子がはまっていて、映画に出て来る刑務所のようだった。
「護衛と言う事ですね。奴隷は契約しますので主人には逆らいません。いざという時は肉壁になります。ここにいるものはそれ用の奴隷です。だいたい使い捨ては金貨十枚から。優秀な護衛は金貨百枚からですが」
「そうですか?・・・」とわたしは無気力な目の奴隷たちを見ながら、奥へ向かった。
彼らの無気力な目を見て怒りがわいた。わたしも能力がわからないままだったら、あんな目であの屋敷で朽ちたかも知れないと思ったのだ。君たち、根性だせよ!
怒りで気が強くなったわたしはためらう事なく、最後の部屋を見て、息を飲んだ。
「え?」
一人の男が、それは獣人だった。この世界で初めてそれを見た時は驚いたが、今は驚く事もない。
驚いたのは、彼が酷い状態だったからだ。
「どうして、怪我したまま?」
「こいつは凶暴すぎて何度も返品になった」
奴隷って絶対服従じゃないの??
部屋は最初の日と同じ状態になっている。魔石以外なにも持ち出さない。鏡に写ったわたしはスボンで男の子に見える。
荷物なしだと怪しまれる。小物をいれるポーチを斜めにかけ、着替えが入った軽いリュックを背負った。
練習の甲斐があって、ポーチからもリュックからもアイテムボックスに手をいれる事が出来る。
図書室の本で、水と火はなんとか出来るまでになった。錬金釜に水を入れるのに苦労はない。
部屋に最後の一瞥をくれるとドアを閉めた。
いつものように隙間から外に出ると、髪を売りに行った。軽くなった頭に気持ちもはずむ。
馬車で食べる物、飲み物を買って予約していた馬車に乗った。目的地は冒険者が多いと聞いた町だ。
町の門を出て、馬車はひた走る。わたしは景色を楽しんだ。
「おい、坊主。どこまで行くんだ?」と話しかけられた。
「坊主じゃないよ。ちゃんと名前がある」と答えると
「おぁそうか。名前はなんて言うんだ?」と言う男は人が良さそう。
「サミー」と答えた。本名の塚本雅美からサミーって言うのが子供の頃からのあだ名だったからこの世界でもそう名乗ることにしてギルドで登録した。
「サミーか。俺はカイル。よろしくな」って言葉がなぜが嬉しくて
「カイルさんはどこまで行くんですか?」
「おれは、リーフタウンだ」
「わたしは、ジップシティ」と答えると
「なるほど、あたらしい町か」
「はい」
それからは、カイルの喋りに他の客も加わって賑やかだった。
翌日、国境をあっさり簡単に越えた。馬車から降りる事もなかった。さすがにカイルのおしゃべりは途切れていたが。
そのカイルが、ふと小声でこう言った。
「サミー、おまえはどう見ても弱っちい。だから奴隷を買うといい。そいつが守ってくれるから」
「奴隷?」
「あぁ、強いやつは高いが命は大事だからな。まぁ安いやつでもおまえより強いだろうし、奴隷は命令を守るから命を捨ててもお前を守る。次の町で買うといい」
その事を考えていると、ジップシティに着いた。
「ありがとう、カイルさん教えてくれた事、助かった」と言うと
「そうか、気をつけてな」と手を振るのに
「お元気で」と手を振って別れた。
先ず、ギルドへ行って見た。ぐるりと見渡すと、武器やポーションを売っていたので
「ポーションの買取はしてますか」と聞いた。
「してるよ。鑑定に合格したらだけどね」と返って来た。
リュックから五本出して台に乗せた。
「これはどうでしょう」と言うと職員は奥へ人を呼びに行った。
「なかなかですね。買取ります」とすぐにお金をくれた。
「他に作ったら持って来て下さい。買取ります」
「はい、そうします」とお金をしまって、
「そうだ。宿の紹介はしてますか?」
「してないが、飯がうまいのは、黄金亭かな。ほんとに美味しい。うん、ギルドを出て右に行って下さい」
「ありがとう」と言うとギルドを出て、右に歩いた。
黄金亭に、二日泊まる事にして、お金を払った。それから奴隷商の場所を聞いた。ちょっとびっくりさせてしまった。
教えて貰った通りに繁華街のはずれまで来るとお店があった。
なかにはいると、執事と言った感じの男性が迎えてくれた。
「ここは奴隷商ですが・・・・」
「はい、護衛が欲しくて・・・・そのお値段はどれくらいですか?」
「値段が気になると言う事なら、高いのはおすすめできませんね」とわたしの反応を見て
「まぁごらんになって下さい。覚悟が必要ですが、見ますか?」
「はい」
「わかりました。こちらへ」と言う執事さんについて行った。
ドアが開くと、匂いが鼻についた。ずらりと並んだ部屋は鉄格子がはまっていて、映画に出て来る刑務所のようだった。
「護衛と言う事ですね。奴隷は契約しますので主人には逆らいません。いざという時は肉壁になります。ここにいるものはそれ用の奴隷です。だいたい使い捨ては金貨十枚から。優秀な護衛は金貨百枚からですが」
「そうですか?・・・」とわたしは無気力な目の奴隷たちを見ながら、奥へ向かった。
彼らの無気力な目を見て怒りがわいた。わたしも能力がわからないままだったら、あんな目であの屋敷で朽ちたかも知れないと思ったのだ。君たち、根性だせよ!
怒りで気が強くなったわたしはためらう事なく、最後の部屋を見て、息を飲んだ。
「え?」
一人の男が、それは獣人だった。この世界で初めてそれを見た時は驚いたが、今は驚く事もない。
驚いたのは、彼が酷い状態だったからだ。
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「こいつは凶暴すぎて何度も返品になった」
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