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02 神殿の日々
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翌日、目が覚めたわたしは、ほんとうに見知らぬ天井だと思った。
用意された寝巻きは寝るのが勿体無い様な物で、これまた勿体ないようなガウンを羽織るとカーテンを開けた。
部屋は三階か四階くらいの高さで、見下ろした庭は花が一杯だった。花の種類はあちらと同じなのか否か、詳しくないわたしはわからなかった。
そこにノックの音がした。わたしのどうぞの後ドアが開き、侍女のアンナが入って来た。お茶を乗せたお盆を持っている。
「朝の支度はおまかせ下さい。支度が出来ましたらお食事が参ります」
うなづくと、すぐにドレッサーの前に座らされ、髪を整えられた。編み込みを止めたのは見事な金細工の髪留めだ。
用意された服は可愛くて、ちょっと照れくさい物だが、これしかないので黙って着せられた。
鏡に写った自分はそれなりに綺麗で可愛かった。やはりここに来てよかった。
食事をすませて、案内された先には、もう何人か集まっていた。それぞれが着ている服は似合っていて可愛くて、わたしたちはお互いを褒めてはしゃいだ。
やがてやって来た教師も笑いながら、挨拶をしてお茶を飲みながら、講義が始まった。この国の名前。地理に歴史。時間や季節。物の単位。お金について。
あとこの世界は魔法とか魔力が存在していた。そして素晴らしい事にわたしたち異世界人はこの魔法とか魔力の能力を持っているらしく、それを伸ばして貰えると言う事だ。
こちらにやって来て三日目に、鑑定の魔法を使える魔法士がやって来た。
わたしたちの持っている能力を鑑定するのだそうだ。わたしたちはわくわくして、お茶を飲みながら名前を呼ばれるのを待った。
魔法士の前に座ったわたしは、どんな能力かしらとわくわくしていた。魔法士はしばらくわたしを見ていたが、不機嫌になり
「あなたにはなんの能力もありません。なにも見えません」と吐き捨てるように言った。
「え?」と言ったわたしは魔法士の顔を見てほうけてしまった。
「下がらせて、不愉快だ」の声にあわてて神官がよって来るとわたしの腕を掴んで立たせると部屋から外に出した。
アンナが呼ばれて、わたしは部屋に連れていかれた。歩きながら、涙が止まらなかった。
部屋に戻りベッドに座り、涙を拭いていると
「泣き止んだ頃、また来ます」とアンナは出て行った。冷たいんじゃない?主人が泣いているのよ・・・・
能力がなによ。番は愛してくれるわ。
それにわたしが泣いたのはあの魔法士の目が怖かったからよ。人を睨みつけて・・・・もう、二度と会いたくないわ。
翌日、講義室に行くと全員がわたしを見てはっとなった。いつもつるんでお喋りする仲間がこっちを見ないようにして、自分たちだけで笑っている。自分たちだけでお茶を飲んでいる。
わたしは黙って自分の席に座った。
「皆さん、能力の鑑定が済みましたね。今日からそれぞれの能力に合った講義を受けて貰います」と言うと名簿を見ながらそれぞれの講義室を告げて言った。
「名前を呼ばれなかった方は、図書館なり、庭の散歩なり好きに自習をして下さい」と言った。
クラス中が昨日まで仲間だった皆がくすくす笑いだした。
わたしは、いたたまれず講義室を飛び出した。
用意された寝巻きは寝るのが勿体無い様な物で、これまた勿体ないようなガウンを羽織るとカーテンを開けた。
部屋は三階か四階くらいの高さで、見下ろした庭は花が一杯だった。花の種類はあちらと同じなのか否か、詳しくないわたしはわからなかった。
そこにノックの音がした。わたしのどうぞの後ドアが開き、侍女のアンナが入って来た。お茶を乗せたお盆を持っている。
「朝の支度はおまかせ下さい。支度が出来ましたらお食事が参ります」
うなづくと、すぐにドレッサーの前に座らされ、髪を整えられた。編み込みを止めたのは見事な金細工の髪留めだ。
用意された服は可愛くて、ちょっと照れくさい物だが、これしかないので黙って着せられた。
鏡に写った自分はそれなりに綺麗で可愛かった。やはりここに来てよかった。
食事をすませて、案内された先には、もう何人か集まっていた。それぞれが着ている服は似合っていて可愛くて、わたしたちはお互いを褒めてはしゃいだ。
やがてやって来た教師も笑いながら、挨拶をしてお茶を飲みながら、講義が始まった。この国の名前。地理に歴史。時間や季節。物の単位。お金について。
あとこの世界は魔法とか魔力が存在していた。そして素晴らしい事にわたしたち異世界人はこの魔法とか魔力の能力を持っているらしく、それを伸ばして貰えると言う事だ。
こちらにやって来て三日目に、鑑定の魔法を使える魔法士がやって来た。
わたしたちの持っている能力を鑑定するのだそうだ。わたしたちはわくわくして、お茶を飲みながら名前を呼ばれるのを待った。
魔法士の前に座ったわたしは、どんな能力かしらとわくわくしていた。魔法士はしばらくわたしを見ていたが、不機嫌になり
「あなたにはなんの能力もありません。なにも見えません」と吐き捨てるように言った。
「え?」と言ったわたしは魔法士の顔を見てほうけてしまった。
「下がらせて、不愉快だ」の声にあわてて神官がよって来るとわたしの腕を掴んで立たせると部屋から外に出した。
アンナが呼ばれて、わたしは部屋に連れていかれた。歩きながら、涙が止まらなかった。
部屋に戻りベッドに座り、涙を拭いていると
「泣き止んだ頃、また来ます」とアンナは出て行った。冷たいんじゃない?主人が泣いているのよ・・・・
能力がなによ。番は愛してくれるわ。
それにわたしが泣いたのはあの魔法士の目が怖かったからよ。人を睨みつけて・・・・もう、二度と会いたくないわ。
翌日、講義室に行くと全員がわたしを見てはっとなった。いつもつるんでお喋りする仲間がこっちを見ないようにして、自分たちだけで笑っている。自分たちだけでお茶を飲んでいる。
わたしは黙って自分の席に座った。
「皆さん、能力の鑑定が済みましたね。今日からそれぞれの能力に合った講義を受けて貰います」と言うと名簿を見ながらそれぞれの講義室を告げて言った。
「名前を呼ばれなかった方は、図書館なり、庭の散歩なり好きに自習をして下さい」と言った。
クラス中が昨日まで仲間だった皆がくすくす笑いだした。
わたしは、いたたまれず講義室を飛び出した。
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