勝手に召喚して勝手に期待して勝手に捨てたじゃないの。勝手に出て行くわ!

朝山みどり

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第28話 前の聖女様って

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侍女長のお祖母様のお祖母様の手記は普通に引き出しに入っていた。

今日、聖女様が来てくださったと言う一文から手記は始まっていた。
現れた聖女は驚いたものの、すぐに自愛あふれる微笑みを浮かべたそうだ。
最初は魔法がなにかもわからない彼女は魔法士から説明を聞くとすぐに治療の練習を始めた。自分の手首を切ってそれを治療する練習だったそうで、手首には何本も傷跡があったとかって・・・それって・・・

前の聖女様は、あちらの世界に不満があった。だって手首に何本もね。こちらの世界でもてはやされることが嬉しいと思ったのだ・・・

わたしは違う。わたしは帰りたい。あの世界は・・・あの世界では能力を活かしていた・・・自分で自分を育てた!

わたしはこの聖女とは違う。わたしは聖女というより魔女よ。魔法チートだわ。

前の聖女の情報の他に収穫があった。部屋に飾られている肖像画を見てわかったことがある。

明日は少し調査をしましょう。


さて、爽やかな朝だ。ラベンダーとミントがそわそわしている。隠してるつもりのようだから知らんふりしておこう。
「図書館に行くから好きにしてて」と部屋をでるとすぐに髪色を変えて隠蔽もかける。そしてどこかにって侍女長のところだな・・・そこに行く二人の後ろから歩いて行く。おぉ、腕輪をつけた侍女違った、聖女親衛隊が威張って歩いているな。
正面の隅に立って侍女長が来るのを待つ。

おぉ来ましたね、車椅子に座っている。ほっほほっほ使わせて貰おう。

侍女長が正面まで押されてきたところで、あの石から声を出す。わたしの声だよ。

『集まりましたね。侍女長はどうしたのですか?腕輪を授けたのに』
そしてピカっと強烈に侍女長の腕輪を光らせた。侍女長の膝の紐を長めに調整する。

「腕輪に聖女様のお力があります」とアイリスが言うと
「えぇ見ましたわ。ねぇ」とパンジーがまわりの同調を求めるように言うと
「「えぇ見ました」」「確かに」「立てるのではないですか?」とラベンダーが急いで前に出て侍女長を支えてる。侍女長が立った。
「膝が動く」と侍女長が言った途端、ラベンダーの体が光った。わたしが光らせたんだけどね。
『アナベラ。あなたの力に成るのは、一番助けに成るのは、あなたの娘よ。テレサを呼びなさい』
「テレサ!」と侍女長が感動している。

「すぐに陛下に報告を」とミントが大声で言った。確かにそれくらい大声を出さないと目立たないわね・・・光らせてあげよう・・・ミントの体が光った。

ミントが部屋を出ようとするとガーベラが一緒に行こうとしたが、歩く度に右足首と左耳を結んだ線が引っ張られるので、体を左に傾けている。
それを見たアイリスが・・・確かアイボーナ侯爵の娘だったわね・・・笑っている。もっと控えめに笑いなさい。

そうしているうちにトニーが急いでやって来た。
「落ち着いて説明してくれ。なにがあったのだ?」とトニーが言っている。ミントのことだからわめきちらしたんでしょうね。

トニーが来たついでだと、ラベンダーとミントも聖女親衛隊の腕輪をトニーから受け取った。二人の生え際の一筋の髪も色を変えた。

侍女長から話を聞き、石の言葉を聞いたトニーはすぐに侍女長の自宅とテレサが通っている学院に使いを出した。

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