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第17話 あちらのその後

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琴子はスマホに出た。彼女が「はい」と応答するまもなく相手はいきなり喋りだした。もちろん相手はよく知っている。友だちの仮面を被った敵だ。それが一方的に心配そうに話しだしたのだ。
「死んだらだめよ。相談に乗るから」笑いをこらえながら電話が切れた。

「わぁああ」と涼介が頭を抱えて床に伏せた。『なにやってるんだ?いい気味』と琴子は涼介を見下ろした。

「見ろ」と涼介が差し出した画面を見た。時間が止まった。


それはいきなり二人の男女の顔のアップから始まった。
画面処理とかそういうのは多分なにもされてない。手ブレも酷い。撮影者の言葉が
「二人は・・・一人は従姉です。彼女の紹介でその男と・・・付き合いました。えーーと明日婚姻届を出す予定です。・・・・・いえでした」の言葉のあと婚姻届が写る。名前は読めないが、署名があるのがわかる。それから
「よくあることかな?わすれものをとりに戻ったら、二人が仲良くしてました。こんな関係だったら早く言ってくれたら結婚とかしないのにね。これって小説にある真実の愛だよね・・・悲しい。現実って悲しい」その言葉に被って二人は愛を交わす。


多分、撮影された二人は撮影者がわかるだろうし、知り合いだったら誰が撮影したかすぐにわかるだろう・・・これって知ってる人が見たらバレバレだよね。なんてコメント付けられて広まって行った。

あっと言う間に映像は広まった。そればかりか、しばらくしたら結婚届の写真がアップされたのだ。大切な落し物じゃないですか?ってコメントつきで

それは半分に破られてゴミ箱に捨てられていたとかいないとか・・・

署名部分がはっきり読める映像を誰もが二人と結びつけた。

婚姻届は破棄されたが、寄付をするというのは受け付けられてすぐに効力を発揮した。
躑躅林が株の大多数を持っていた。個人所有の会社を外部の経営者に渡したのだ。

渡すにあたってマリカは親戚を痛い目に合わせる為にあることを守ることを約束させたのだ。

大多数の親戚の履歴書はうその記述が多かった。親族が社長で採用後も給与や勤務地などで優遇されるのはわかっていた。その優遇を当たり前にみせかける為に盛った履歴書を出していたのだ。

マリカから調査するように命令言われていた経営者はそう言った物を首にしていった。
首はさすがにかわいそうと閑職、僻地勤務にまわされた者もいる。

マリカは半分引きこもっていたが、躑躅林の屋台骨をしっかり支えて、支配していたのだ。

マリカの行方を探して自宅にやって来るものに芙美さんはおっとりと言った。

「おひいさまは、ほとんどここに帰って来ませんよ。いろんな国のホテルにお部屋を持ってますからね」

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