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第13話 わたしは敵を見つけた
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「終わった?締結が」と意味がわかった時わたしは、トニーの体を押しやった。
「どうして私抜きで、それを」と言うとトニーは一瞬目を逸らしたが、すぐにわたしの目を見て
「どうしてマリカが」と言った。
「それはわたしが、相手と話をしたからよ」と答えると
「あぁそのことか・・・マリカは自分が話をしたからと思っているかも知れないが、我が国の攻撃が・・・ほら、アイボーナ侯爵とか、リシッド伯爵が来ただろう。それであいつらはかなわないと思って降参するところだったのさ。確かにマリカと話したと言っていたけど・・・あいつらの口実を尊重してやったのさ。もちろん、マリカが兵士を励ましたのは確かだ。そう言った意味ではマリカの功績もあるけど、それだけだよ」とはっきり言った。
「だったら、どうしてわたしを召喚したのよ。する必要なかったじゃない」と言うと
「わたしとマリカが会えたじゃないか。わたしは嬉しいよ。会えたじゃないか・・・国王と聖女の恋って国民が喜ぶよ。聖女様」とトニーは最後にふざけて言った。
わたしはほっとした。そうだよね。わたしはトニーに愛されていればいいのよ。聖女はもういらないわ。
「そうね。確かに王都を通ったときの熱狂は素晴らしかった。だけど帰りはどうして馬車だったの?あの馬車って窓が小さいし手を振れなかったわ」と口を尖らせると
「あぁ君が危険な目に合わないようにだよ」とトニーがわたしを宥めるように頭をぽんぽん叩きながら言った。
「結婚式の準備はどんどん、すすめてるよ。後はマリカのドレスを作るだけだ。明日採寸に来るしいろいろ決めよう」
わたしは楽しくなった。トニーに抱きついて
「明日一緒に過ごせる。嬉しい」と言うと一瞬の間を置いてトニーは
「そうだね。マリカはなんでも似合いそうだ」とわたしを抱きしめた。
それから、執務室でお茶をして、わたしは自分の部屋に戻った。ひさしぶりの自室だった。
しばらくすると、トニーは忙しいので夕食は自室で取ってくれと伝言が来た。すぐに明日の衣装選びの時間を知らせる伝言も来た。
わたしは夕食のパンにバターをたくさん塗ったが、確かにバターはシャトレニア王国のほうが美味しい。
食後、部屋に置いてある本を読もうとしたが、どの本も何度か読み返した物ばかりだ。図書館であたらしいものを探そうと思い部屋を出た。
前を行く人影が気になった。あれは今日のあの侍女だ。わたしはそっとあとをつけた。
陣で練習した隠蔽を使ってみよう。ばれたところでたいしたことはない。
あの女は東翼をどんどん歩いて行く。わたしはここを歩くのは始めてだが、彼女は迷いもなく歩いて行く。
ある部屋の前でドアを確認すると、ドアを開けてなかに入った。わたしもドアの前で様子をうかがったが、かまうものか、聖女様だぞとドアを開けるとわたしもなかに入った。
入るとそこは小部屋で、ドアが二つあった。ドアに耳をつけて確認して声がする方を開けた。呼吸を沈めて室内を観察した。声を出しそうになるのを堪えて、カーテンの後ろに入った。
室内にはリシッド伯爵と侍女長とガーベラ。それと陣でよく見かけた男がいた。
「あの聖女をなんとかしてよ」とガーベラが伯爵に訴えている。
「もちろん、そのつもりだが」と伯爵が答えると
「だが、護衛はなにもみていないと陛下にはっきり言いましたし、わたくしが見た限り聖女はじっとしてましたよ」と侍女長が言うと
「そんなことない。見てよ。お父様」とガーベラは袖を巻くった。
二の腕にある赤いあざを見て伯爵は
「ガーベラ、それは自分でつけたのではないか?」と言った。
意外と頭がいいな伯爵。
「確かにそこはまずいですね」と男も言った。
「ガーベラ、あなたはへたに動かないほうがいいわ。今の陛下は確かに聖女を愛しているから、動くと憎まれることになる。しばらく実家に帰ってるほうがいいわ」と侍女長が言った。トニーがわたしを愛してるってわかるんだ!
「お父様、違います、自分でじゃないです」とガーベラは言ったが、
「わかったから、しばらく家に戻って来なさい」と伯爵が言った。
「聖女が孕んだら面倒だが」と男が言うと
「そこは任せてください。侍女を送りこみます。田舎出のなにも知らない侍女を・・・今、仕込んでいます。どこかの貴族の庶子として採用します。動かしやすいですよ」と侍女長が言うと
「さすがだ」と男が言うと侍女長は笑った。
「だけど、アイリスとパンジーも」とガーベラが言うと
「そりゃ、わたくしの立場は公平ですから、世継ぎを作ることが大事です」と侍女長が答えた。
なるほど、そいうことですか。とわたしは四人を見ながら、お仕置きを選んだ。
リシッド伯爵は右手首と左足首を繋いだ。きちきちじゃないわよ。余裕があるから転ばないわよ。
男は右手首と左ひじ。侍女長は右膝と左膝。ガーベラは左耳と右足首。
楽しませて貰うわよ。わたしは全員が部屋から出たあとで部屋を出た。隣の部屋は鍵がかかっていて入れなかった。
鍵明けを覚えようと思った。
「どうして私抜きで、それを」と言うとトニーは一瞬目を逸らしたが、すぐにわたしの目を見て
「どうしてマリカが」と言った。
「それはわたしが、相手と話をしたからよ」と答えると
「あぁそのことか・・・マリカは自分が話をしたからと思っているかも知れないが、我が国の攻撃が・・・ほら、アイボーナ侯爵とか、リシッド伯爵が来ただろう。それであいつらはかなわないと思って降参するところだったのさ。確かにマリカと話したと言っていたけど・・・あいつらの口実を尊重してやったのさ。もちろん、マリカが兵士を励ましたのは確かだ。そう言った意味ではマリカの功績もあるけど、それだけだよ」とはっきり言った。
「だったら、どうしてわたしを召喚したのよ。する必要なかったじゃない」と言うと
「わたしとマリカが会えたじゃないか。わたしは嬉しいよ。会えたじゃないか・・・国王と聖女の恋って国民が喜ぶよ。聖女様」とトニーは最後にふざけて言った。
わたしはほっとした。そうだよね。わたしはトニーに愛されていればいいのよ。聖女はもういらないわ。
「そうね。確かに王都を通ったときの熱狂は素晴らしかった。だけど帰りはどうして馬車だったの?あの馬車って窓が小さいし手を振れなかったわ」と口を尖らせると
「あぁ君が危険な目に合わないようにだよ」とトニーがわたしを宥めるように頭をぽんぽん叩きながら言った。
「結婚式の準備はどんどん、すすめてるよ。後はマリカのドレスを作るだけだ。明日採寸に来るしいろいろ決めよう」
わたしは楽しくなった。トニーに抱きついて
「明日一緒に過ごせる。嬉しい」と言うと一瞬の間を置いてトニーは
「そうだね。マリカはなんでも似合いそうだ」とわたしを抱きしめた。
それから、執務室でお茶をして、わたしは自分の部屋に戻った。ひさしぶりの自室だった。
しばらくすると、トニーは忙しいので夕食は自室で取ってくれと伝言が来た。すぐに明日の衣装選びの時間を知らせる伝言も来た。
わたしは夕食のパンにバターをたくさん塗ったが、確かにバターはシャトレニア王国のほうが美味しい。
食後、部屋に置いてある本を読もうとしたが、どの本も何度か読み返した物ばかりだ。図書館であたらしいものを探そうと思い部屋を出た。
前を行く人影が気になった。あれは今日のあの侍女だ。わたしはそっとあとをつけた。
陣で練習した隠蔽を使ってみよう。ばれたところでたいしたことはない。
あの女は東翼をどんどん歩いて行く。わたしはここを歩くのは始めてだが、彼女は迷いもなく歩いて行く。
ある部屋の前でドアを確認すると、ドアを開けてなかに入った。わたしもドアの前で様子をうかがったが、かまうものか、聖女様だぞとドアを開けるとわたしもなかに入った。
入るとそこは小部屋で、ドアが二つあった。ドアに耳をつけて確認して声がする方を開けた。呼吸を沈めて室内を観察した。声を出しそうになるのを堪えて、カーテンの後ろに入った。
室内にはリシッド伯爵と侍女長とガーベラ。それと陣でよく見かけた男がいた。
「あの聖女をなんとかしてよ」とガーベラが伯爵に訴えている。
「もちろん、そのつもりだが」と伯爵が答えると
「だが、護衛はなにもみていないと陛下にはっきり言いましたし、わたくしが見た限り聖女はじっとしてましたよ」と侍女長が言うと
「そんなことない。見てよ。お父様」とガーベラは袖を巻くった。
二の腕にある赤いあざを見て伯爵は
「ガーベラ、それは自分でつけたのではないか?」と言った。
意外と頭がいいな伯爵。
「確かにそこはまずいですね」と男も言った。
「ガーベラ、あなたはへたに動かないほうがいいわ。今の陛下は確かに聖女を愛しているから、動くと憎まれることになる。しばらく実家に帰ってるほうがいいわ」と侍女長が言った。トニーがわたしを愛してるってわかるんだ!
「お父様、違います、自分でじゃないです」とガーベラは言ったが、
「わかったから、しばらく家に戻って来なさい」と伯爵が言った。
「聖女が孕んだら面倒だが」と男が言うと
「そこは任せてください。侍女を送りこみます。田舎出のなにも知らない侍女を・・・今、仕込んでいます。どこかの貴族の庶子として採用します。動かしやすいですよ」と侍女長が言うと
「さすがだ」と男が言うと侍女長は笑った。
「だけど、アイリスとパンジーも」とガーベラが言うと
「そりゃ、わたくしの立場は公平ですから、世継ぎを作ることが大事です」と侍女長が答えた。
なるほど、そいうことですか。とわたしは四人を見ながら、お仕置きを選んだ。
リシッド伯爵は右手首と左足首を繋いだ。きちきちじゃないわよ。余裕があるから転ばないわよ。
男は右手首と左ひじ。侍女長は右膝と左膝。ガーベラは左耳と右足首。
楽しませて貰うわよ。わたしは全員が部屋から出たあとで部屋を出た。隣の部屋は鍵がかかっていて入れなかった。
鍵明けを覚えようと思った。
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