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第12話 もう終わってるの?ちょっとそれって・・・
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城に戻ったけどトニーは迎えに出て来なかった。侍女長はいたけど・・・
「陛下はどこにいるの?すぐに会いたいわ」と言うと
「聖女様、まずは体を綺麗にして下さい。それからです」侍女長にそう言われて自分の部屋に行った。
入浴の手伝いなんかは最初から断っている。
ゆっくり、念入りに体を洗った。野営中はきちんと洗えなかったから・・・それから着替え終わるとベルを鳴らした。だが、誰も来なかった。
仕方ない、トニーの執務室に一人で向かった。それが
「聖女様、どちらへ?」と声をかけられた。確か侍女長直属とか言うガーベラだわね。
「決まってるでしょ。陛下のところよ」と答えると
「ただいま、陛下はお忙しいです。ご遠慮下さい」と言われてかっとなったわたしはガーベラの頬を張り飛ばした。小気味よい音がした。ガーベラは
「なにをなさるんです」と大声を出した。ほーお行儀のいいこと。
「わからない?無礼を咎めたの?」と答えた。
もっと騒がせてやろうと、魔法で髪の毛を引っ張った。耳の横のひと握りをおもいきり引っ張って引き倒してやると
「ひどいですわ。なにもしていないのに」と大声を出したので、見物人が集まりだした。
陛下の護衛も見に来たが、なにも言わずにじっと見ている。
魔力で二の腕の内側をおもいきりつねってやった。
「痛ーー」と騒ぐのを離れてじっと見た。陛下の護衛がいない、おそらくトニーに報告してるのだろう。
「なにをなさるんです」とガーベラが言うが、わたしは最初に頬を張っただけだ。
「マリカ、おかえり、会いたかった」と声がしたと思うとふわりを抱きしめられた。
「只今、戻りました。会いたかった」とわたしもトニーを抱きしめた。
「なにがあったのだ?」と陛下は護衛に向かって問うたが
「わたしが来た時には騒ぎになっていました」と護衛は答える。事実、彼はガーベラのそばに立っているわたしを見ただけだ。
「そうか?マリカに聞いてもいいかな?」とトニーが言うので
「はい、わたくし陛下に会いに来ましたら」
「この侍女が、帰れって言ったから、頬を打ちました。あまりにも無礼です」
「違う!違う!」とガーベラが騒がしく言うと陛下は
「なにが違うのだ?」と聞いた。
「わたくしを打っただけでなく、髪をつかみ引きずり回し、それから見てください」と袖を大胆に巻くって二の腕を出した。二の腕の内側は赤く印がついていた。
「聖女様がやったと言うのか?」と護衛が問うと
「そうです。聖女様が」とガーベラが答えた。
わたしは護衛に向かって首をかしげた。この護衛はわたしがガーベラのそばにじっと立ってるところしか見てない。
「聖女様はおまえに指一本触れてない」と護衛が言うと
「違うわ」「違いますよ」とわたしたちは同時に反論した。
陛下がわたしにうなずいたので、
「違いますよ」と繰り返しすぐに「わたしはこの侍女の頬を打ちました。触れています」と言った。
「嘘ついてる。髪をつかんで引きずり回したわ」とガーベラが大声が言うと
「嘘つきはお前だ。わたしは見ていた。聖女様はそばにじっと立っておられた」と護衛が言ったので、
「はい、一人でなにを騒いでいるんだ?と思ってみておりました」と答えた。
「今後、この女を目に付くところに置くな」と陛下は護衛に言うとわたしに手を差し出した。
わたしはその手を取ると一緒に執務室に入った。
部屋に入るとドアを閉めてわたしたちは抱き合った。
「どうして、お迎えに来なかったの?忙しかったの」とわたしがつぶやくと
「すまない・・・どうしても外せなかったのだ。条約の締結があって」とトニーが答えた。
「へ?」
「陛下はどこにいるの?すぐに会いたいわ」と言うと
「聖女様、まずは体を綺麗にして下さい。それからです」侍女長にそう言われて自分の部屋に行った。
入浴の手伝いなんかは最初から断っている。
ゆっくり、念入りに体を洗った。野営中はきちんと洗えなかったから・・・それから着替え終わるとベルを鳴らした。だが、誰も来なかった。
仕方ない、トニーの執務室に一人で向かった。それが
「聖女様、どちらへ?」と声をかけられた。確か侍女長直属とか言うガーベラだわね。
「決まってるでしょ。陛下のところよ」と答えると
「ただいま、陛下はお忙しいです。ご遠慮下さい」と言われてかっとなったわたしはガーベラの頬を張り飛ばした。小気味よい音がした。ガーベラは
「なにをなさるんです」と大声を出した。ほーお行儀のいいこと。
「わからない?無礼を咎めたの?」と答えた。
もっと騒がせてやろうと、魔法で髪の毛を引っ張った。耳の横のひと握りをおもいきり引っ張って引き倒してやると
「ひどいですわ。なにもしていないのに」と大声を出したので、見物人が集まりだした。
陛下の護衛も見に来たが、なにも言わずにじっと見ている。
魔力で二の腕の内側をおもいきりつねってやった。
「痛ーー」と騒ぐのを離れてじっと見た。陛下の護衛がいない、おそらくトニーに報告してるのだろう。
「なにをなさるんです」とガーベラが言うが、わたしは最初に頬を張っただけだ。
「マリカ、おかえり、会いたかった」と声がしたと思うとふわりを抱きしめられた。
「只今、戻りました。会いたかった」とわたしもトニーを抱きしめた。
「なにがあったのだ?」と陛下は護衛に向かって問うたが
「わたしが来た時には騒ぎになっていました」と護衛は答える。事実、彼はガーベラのそばに立っているわたしを見ただけだ。
「そうか?マリカに聞いてもいいかな?」とトニーが言うので
「はい、わたくし陛下に会いに来ましたら」
「この侍女が、帰れって言ったから、頬を打ちました。あまりにも無礼です」
「違う!違う!」とガーベラが騒がしく言うと陛下は
「なにが違うのだ?」と聞いた。
「わたくしを打っただけでなく、髪をつかみ引きずり回し、それから見てください」と袖を大胆に巻くって二の腕を出した。二の腕の内側は赤く印がついていた。
「聖女様がやったと言うのか?」と護衛が問うと
「そうです。聖女様が」とガーベラが答えた。
わたしは護衛に向かって首をかしげた。この護衛はわたしがガーベラのそばにじっと立ってるところしか見てない。
「聖女様はおまえに指一本触れてない」と護衛が言うと
「違うわ」「違いますよ」とわたしたちは同時に反論した。
陛下がわたしにうなずいたので、
「違いますよ」と繰り返しすぐに「わたしはこの侍女の頬を打ちました。触れています」と言った。
「嘘ついてる。髪をつかんで引きずり回したわ」とガーベラが大声が言うと
「嘘つきはお前だ。わたしは見ていた。聖女様はそばにじっと立っておられた」と護衛が言ったので、
「はい、一人でなにを騒いでいるんだ?と思ってみておりました」と答えた。
「今後、この女を目に付くところに置くな」と陛下は護衛に言うとわたしに手を差し出した。
わたしはその手を取ると一緒に執務室に入った。
部屋に入るとドアを閉めてわたしたちは抱き合った。
「どうして、お迎えに来なかったの?忙しかったの」とわたしがつぶやくと
「すまない・・・どうしても外せなかったのだ。条約の締結があって」とトニーが答えた。
「へ?」
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