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第2話 陛下の説明 宰相目線
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「わたしたちは隣国と長く戦争をしております。隣国は卑怯な手を使い我が国を圧倒しております。このままでは我が国は滅んでしまいます。そこであなたを聖女様をお招きしました。どうぞ我々を助けて下さい」
聖女様は陛下の話が終わっても黙って座っておられます。そこでわたくしが
「聖女様、あなたは聖女の力があります。それを使い兵を癒し、励まして下さいませ。さすれば我が国は勝利を得られます」
「聖女の力?わたしにはなにもないわ」と聖女様がお返事をした。心地よい声だ。
「聖女様、魔力をお持ちです。魔法士が指導致します」と心を込めて言うと
「あなたがたは自分たちの魔力を使おうとは思わないのですか?」とおっしゃった。
「魔力がなくとも、王室の人とか貴族が戦線を訪れることはないのですか?軍を鼓舞したり、怪我人を励ましたりしてますか?」と続けて聖女様がおっしゃったときは驚いた。
「それは・・・」
「その程度のことは聖女じゃなくても出来ることです。わたしの世界では一般の人がやっていることですよ」その時、聖女様の目に暗い炎がゆらめいたように見えたのは光の加減だろうとその時は思ったが、よくお話させていただけば良かったのだ・・・今となってはの話になってしまうが・・・
「聖女様、あなたの国は素晴らしいのですね。慈悲の光に満ちたお国からいらした聖女様。どうぞ我が国を救って下さい」と陛下が身を乗り出して聖女様に言っておられる。
聖女様はふっと笑うと
「あちらの国に帰る方法はありますか?」と陛下に向かって言った。返事はご存知のはずだが、はっきりと聞きたいのであろうとわたしは黙って陛下の返事を待った。
「申し訳ない。それはない。あなたは帰れない」と陛下ははっきりとおっしゃった。
すると聖女様の目から涙がすーーと流れた。声を出さずに涙だけが流れた。
陛下は席を立たれると聖女様の隣に座り手を取った。
「あなたにはすまないことをした。だがわたしがあなたの帰る場所になる。かならずわたしがあなたを守り受け止める。信じて欲しい」と言った。すると聖女様は陛下の胸にしがみついた。嗚咽が聞こえる。陛下は聖女様の背をゆっくりと撫でて行く。
わたしは、そっと立ち上がると部屋を出た。
まもなく、聖女様と陛下の婚約が発表された。安心した。聖女と国王の結婚。これは欠かすことができない要素だ。
聖女召喚はこれで完璧になる。
聖女様は陛下の話が終わっても黙って座っておられます。そこでわたくしが
「聖女様、あなたは聖女の力があります。それを使い兵を癒し、励まして下さいませ。さすれば我が国は勝利を得られます」
「聖女の力?わたしにはなにもないわ」と聖女様がお返事をした。心地よい声だ。
「聖女様、魔力をお持ちです。魔法士が指導致します」と心を込めて言うと
「あなたがたは自分たちの魔力を使おうとは思わないのですか?」とおっしゃった。
「魔力がなくとも、王室の人とか貴族が戦線を訪れることはないのですか?軍を鼓舞したり、怪我人を励ましたりしてますか?」と続けて聖女様がおっしゃったときは驚いた。
「それは・・・」
「その程度のことは聖女じゃなくても出来ることです。わたしの世界では一般の人がやっていることですよ」その時、聖女様の目に暗い炎がゆらめいたように見えたのは光の加減だろうとその時は思ったが、よくお話させていただけば良かったのだ・・・今となってはの話になってしまうが・・・
「聖女様、あなたの国は素晴らしいのですね。慈悲の光に満ちたお国からいらした聖女様。どうぞ我が国を救って下さい」と陛下が身を乗り出して聖女様に言っておられる。
聖女様はふっと笑うと
「あちらの国に帰る方法はありますか?」と陛下に向かって言った。返事はご存知のはずだが、はっきりと聞きたいのであろうとわたしは黙って陛下の返事を待った。
「申し訳ない。それはない。あなたは帰れない」と陛下ははっきりとおっしゃった。
すると聖女様の目から涙がすーーと流れた。声を出さずに涙だけが流れた。
陛下は席を立たれると聖女様の隣に座り手を取った。
「あなたにはすまないことをした。だがわたしがあなたの帰る場所になる。かならずわたしがあなたを守り受け止める。信じて欲しい」と言った。すると聖女様は陛下の胸にしがみついた。嗚咽が聞こえる。陛下は聖女様の背をゆっくりと撫でて行く。
わたしは、そっと立ち上がると部屋を出た。
まもなく、聖女様と陛下の婚約が発表された。安心した。聖女と国王の結婚。これは欠かすことができない要素だ。
聖女召喚はこれで完璧になる。
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