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たんぽぽ会 3
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王太子ヘンリーはリバリア王国から手紙を受け取った。
たんぽぽ会にポールが欠席、代理で国王が出席すると記してあった。
意味する所をヘンリーはいろいろ考えた。あのドラゴンはリバリア王国かアズマ法皇国が関わっていると睨んでいたが、状況的にはリバリア王国?
情報はこの手紙だけ、考えても無駄だがヘンリーはあれこれ考えた。まだ、ドラゴンにどこかの国が関わっているという証拠もなにもないのに・・・
そこにリバリア王国のギルドで働いているパーシーから、連絡が来た。
想像したより、酷かった。
一匹目のドラゴンが現れた同時期、王家の別荘で事故が起きた。若い男女十人程が亡くなったそうだ。王家の別荘に入り込んで事故で死亡と発表されている。
パーシーが調べた所、全員がポールと同じ日に生まれたらしい。
次のドラゴンが現れた頃も王家の別荘で事故がありポールも亡くなった。この時も同じ日に生まれた男女二十人が亡くなったらしいが、その事実は公表されていない。公式にはポールは療養している事になっている。
ポール・・・・俺を犬呼ばわりしたやつ・・・とヘンリーはポールを悼んだ。
決心がついた。最初からこうするつもりだったのにとヘンリーは自嘲した。
今回のたんぽぽ会の帰りに、リンゴンの実を奪わせてやろう。
三ヵ国ともだ・・・・・ポールへの餞だ。
たんぽぽ会はいつも通りなごやかだった。ここでヘンリーは
「わたしはいつもお招きばかり、皆様の国へうかがってみたいです。エルプーチン様。お邪魔していいですか?」
「えぇえっぇわたくしの一存ではなんとも」とエルプーチンが言葉を濁すと
「お二方はどう思いますか?」とヘンリーが笑うと
「・・・・いいですね。国境を接しているのに、行ったことがないのは残念です」とツーチャンが答えると
リバリア国王は
「長い旅路になりますが、それも楽しいかと」と力なく答えた。
っとベルがなった。
四人は向かい合い頭を下げた。
しばらくして、薔薇が綺麗だと聞いたヘンリーは妻二人を誘って見に行った。
二人ともあの園遊会で見初めた。一人は誰よりも高く飛び上がっていた令嬢。一人は影響を受けなかった令嬢で気丈にも他の令嬢をなだめてまわっていたうちの一人だ。
ともに賢く、表立って波風を立てない。だが決して二人は手を結ぶこともないだろう。
子供はたくさん欲しい。能力ある世継ぎを得る事がこの国の存続に関わってくる。
妻のうちひとりと今晩の約束をした。
寝物語にいつもの愚痴をこぼしていた。
「ジルがさぁ」
「ヘンリー当たり前ですわ。公爵位なんてジルフォード様にもティーナ様にも価値はありませんわ」
「だけど・・・・だいたい結婚できたのは俺が王命を出したからなのに・・・」
「そんなのなくても、あの二人は結婚しましたわ。ジルフォードはあのすました顔のまま全部をけちらしてね」
「確かにはそうだね」
「そうですわ。王命なんて・・・・くそくらえですわ」
そう言った妻の瞳は空にバビューンと飛んで行ったあの日と同じだった。
ヘンリーは妻に口付けた。妻が舌を絡めてきた。ヘンリーは妻を抱く手に力を込めた。
◇◇◇
この話はここで完結です。最後までお付き合い頂きありがとうございます。感想でご指摘いただいた事を踏まえてこの作品は書き直してみたいと思います。組立を変えたり分かりにくいセリフ、人物の整理と説明とかでしょうか。
またその時は読んで見て下さい。
ありがとうございました。
たんぽぽ会にポールが欠席、代理で国王が出席すると記してあった。
意味する所をヘンリーはいろいろ考えた。あのドラゴンはリバリア王国かアズマ法皇国が関わっていると睨んでいたが、状況的にはリバリア王国?
情報はこの手紙だけ、考えても無駄だがヘンリーはあれこれ考えた。まだ、ドラゴンにどこかの国が関わっているという証拠もなにもないのに・・・
そこにリバリア王国のギルドで働いているパーシーから、連絡が来た。
想像したより、酷かった。
一匹目のドラゴンが現れた同時期、王家の別荘で事故が起きた。若い男女十人程が亡くなったそうだ。王家の別荘に入り込んで事故で死亡と発表されている。
パーシーが調べた所、全員がポールと同じ日に生まれたらしい。
次のドラゴンが現れた頃も王家の別荘で事故がありポールも亡くなった。この時も同じ日に生まれた男女二十人が亡くなったらしいが、その事実は公表されていない。公式にはポールは療養している事になっている。
ポール・・・・俺を犬呼ばわりしたやつ・・・とヘンリーはポールを悼んだ。
決心がついた。最初からこうするつもりだったのにとヘンリーは自嘲した。
今回のたんぽぽ会の帰りに、リンゴンの実を奪わせてやろう。
三ヵ国ともだ・・・・・ポールへの餞だ。
たんぽぽ会はいつも通りなごやかだった。ここでヘンリーは
「わたしはいつもお招きばかり、皆様の国へうかがってみたいです。エルプーチン様。お邪魔していいですか?」
「えぇえっぇわたくしの一存ではなんとも」とエルプーチンが言葉を濁すと
「お二方はどう思いますか?」とヘンリーが笑うと
「・・・・いいですね。国境を接しているのに、行ったことがないのは残念です」とツーチャンが答えると
リバリア国王は
「長い旅路になりますが、それも楽しいかと」と力なく答えた。
っとベルがなった。
四人は向かい合い頭を下げた。
しばらくして、薔薇が綺麗だと聞いたヘンリーは妻二人を誘って見に行った。
二人ともあの園遊会で見初めた。一人は誰よりも高く飛び上がっていた令嬢。一人は影響を受けなかった令嬢で気丈にも他の令嬢をなだめてまわっていたうちの一人だ。
ともに賢く、表立って波風を立てない。だが決して二人は手を結ぶこともないだろう。
子供はたくさん欲しい。能力ある世継ぎを得る事がこの国の存続に関わってくる。
妻のうちひとりと今晩の約束をした。
寝物語にいつもの愚痴をこぼしていた。
「ジルがさぁ」
「ヘンリー当たり前ですわ。公爵位なんてジルフォード様にもティーナ様にも価値はありませんわ」
「だけど・・・・だいたい結婚できたのは俺が王命を出したからなのに・・・」
「そんなのなくても、あの二人は結婚しましたわ。ジルフォードはあのすました顔のまま全部をけちらしてね」
「確かにはそうだね」
「そうですわ。王命なんて・・・・くそくらえですわ」
そう言った妻の瞳は空にバビューンと飛んで行ったあの日と同じだった。
ヘンリーは妻に口付けた。妻が舌を絡めてきた。ヘンリーは妻を抱く手に力を込めた。
◇◇◇
この話はここで完結です。最後までお付き合い頂きありがとうございます。感想でご指摘いただいた事を踏まえてこの作品は書き直してみたいと思います。組立を変えたり分かりにくいセリフ、人物の整理と説明とかでしょうか。
またその時は読んで見て下さい。
ありがとうございました。
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確かにちょっと分かりづらい部分もあったので、
遡って登場人物がどこにどう絡むのかとか、確認しながら読みました。
伏線となっているものと、挿話になっているものが混在しているせいかと思います。
それでも、面白かった。
その後をもうちょっと読みたいです。
主にヘンリーがどんな国にしていくのか。
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続けて、新作に行って参ります。
楽しい時間をありがとうございました。
ありがとうございます。わたしも好きに書いたので楽しみましたが、実力以上に話を広げました。的を絞るって必要ですね。
それから、同じ感想と思いこちらの投稿だけを残してしまいました。 m(_ _)m
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