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園遊会

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研究者がいろいろ調べた結果、火を吹く魔獣はドラゴンだと認められた。伝承の存在が実在していたと証明されたのだ。

伝説の魔獣が三匹も現れ、討伐された。それを記念する園遊会が催される事になった。

ジルは騎士団長として討伐の指揮官として招待され、ティーナは薬師長を隠れ蓑として出席。ギルド長とページとライトはティーナの護衛として出席する。

背が伸びたティーナはローブを新調したが、それにはタロウがはいるポケットがついている。


園遊会という事で子供の出席も多く、展示された一番大きな剥製の前では説明役として呼ばれた冒険者が、こども達の人気を集めていた。

令嬢の人気を集めているのはウールン伯爵の子息だ。名前はハリー。

ウールン伯爵、当時男爵は青年の儀の際、ある事故に見舞われた。その時の親子の冷静な立ち居振る舞いが王太子の目に止まり、レッド公爵が持っていた領地を与えられたのだ。

同時に伯爵となった。田舎の小さな領主が一躍豊かな領地の持ち主となったのだ。

また、元レッド公爵のジルフォード・・・今は平民がこの場にいる事は水面下でいろいろな憶測を呼んでいた。

ウールン伯爵令息ハリーが令嬢に囲まれて引きつっている頃、ジルフォードは貴族に囲まれていた。

「ジルフォード君、うちの娘は、君のことをずっと思っておってな・・・・結婚したと聞いてふさぎ込んでしまって父としてみておれんでな・・・・今日は連れて来ておる。少し話しては貰えないか?」

とジルの返事を待たずにそばに立っていた令嬢が

「ジルフォード様、夜会でお見かけしてもすぐに帰ってしまわれて・・・・」と話し始めると

「そうですわ。でも今日はお手柄の指揮官として一段と立派になられて」と割り込んだ令嬢を押しのけて

「ここはうるさい方が多いですわあちらに参りましょう」

最初に話しかけたお父様は離れたところに押しやられてしまい、遠くで娘の姿を見ていた。



これと同じような光景はハリーの周りでも繰り広げられていた。


薄ら笑いを浮かべて二つの集団を眺めていた王太子のヘンリーは、ライトとページを目を合わせるとうなづいた。


「今日の日差しはご令嬢の皆様には、特別なポーションを用意いたしました。さきほど作ったばかりです」の案内とともに綺麗に装飾された容器がワゴンに乗せられて運ばれて来た。

「ご令嬢のみにお配りします・・・・待っていて下さればお持ちします」

少し細身のグラスに注がれたポーションを次々と給仕が配っていく。

令嬢はハリーを上目遣いで見ながらグラスの匂いを嗅いでいる。

「楽しみですわ。王宮のポーションですね」


ジルは

「可愛らしいグラスですわね。ジル様このポーションの色・・・・とっても綺麗ですわね」と言いながら、隣の令嬢の足を踏んづける様になにも言えなかった。なにも出来なかった。


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