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ジルフォードの言い訳 ジルフォード目線

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「その青雷花草はいつ、色を変えるかわからないので、一瞬も無駄にせず駆けつける必要があるので、ティーナを家族に預けて出かけました。

母も使用人も俺の妻を大事にすると思いこんでました。で、俺はその時公爵で結婚は王命で行われました」

「なるほど、ジルあなたはティーナを害する者などいないと思ったってこと?」とサリーさんが言うと

「でも、もの凄い嫁いびりが・・・」とポーラさんが言うと

「大抵の男は自分の母親が嫁いびりをするって思わないって聞いた」とティーナが言うと

「「そうよ。ほんとに男は馬鹿だから」」とご婦人二人が声を揃えて言った。

「いい、あなたのお母様のやった事は嫁いびりの範疇を超えてるわ。へたすればティーナは死んじゃったかも知れないのよ」

「ほんと、髪をつかんで引きずり回したいわよね」

「ほんとに。焼けたフライパンを押し付けてもいいぐらい。それくらい酷い行為よ」

「お母様にはたっぷり反省してもらったほうがいいわね」

「はい、それはもう・・・・」あの町のおばさんもこの二人も言う事があまり変わらない。

「それとご姉妹はどうなったの?」

「嫁ぎ先が連れ帰りました」

「だんなさん次第ね・・・・わたしの聞いた話でいちばんすかっとしたのは、離婚して下女に落として自分は若い美人と再婚したことかな」とサリーさんが言うと

「それ、聞いた。手元に置いとくほうが責任持てるとか・・・でもこれって再婚した女性がいびりたいから家に置いといたって言ったとか言わなかったとか」とポーラさんが続けた。

「あの・・・俺・・わたしはちゃんと・・・」

「ちゃんと?」

「ちゃんと厳しくするように言いました」と俺はやっと口を挟んだ。続けて

「俺は近くの町でなにか買っては家に送りました。手紙もたくさん送りました」と必死で続けた。

「確かにジルは悪くないわね」

そう言われて俺はティーナのほうを見た。

「あの時のお土産はないけど、今回のお土産が・・・・・ティーナ・・・受け取って欲しい」と言うと俺はバッグから包みを出した。


「あら素敵ね。それは自分で選んだの?」

「いえ、まわりのご婦人の助けを借りて・・・・」

「なるほどね」

「はい、妻に送るというとみなが親切にいろいろ教えてくれました」

「もしかしてたくさんあるの?」

「はい、どれもティーナに似合いそうで・・・・・そして一度に渡したらいけないって」お店の人がと俺が言うと二人はうなづいた。


「なるほど・・・・そしてティーナがいないとわかってすぐに追いかけなかったのは、どうして」

「公爵家の処置をある程度つける必要がありました。公爵家というより、家族ですね。けじめの為にわたし自身の手で・・・・」

「今、公爵家はどうなってるの?」

「なくなりました。わたしも家名がありません。・・・・えっとヘンリー、王太子は好きなのをつけろと言ってます」

「王太子とか公爵とか・・・・小説みたい」とポーラさんが言うと

「ほんとに現実離れしてる人たちだけど、嫁いびりはするのね」とサリーさんが続けた。


夜会で女性たちを相手にするより、大変だ。思えば夜会ではあのご婦人たちは手加減していたのだな・・・

それが手加減なしで、ティーナに嫁いびりをしたんだ。辛い思いをさせたんだ。





「ティーナ、毎日ここに来ていいだろうか?」

ティーナは二人をちらっと見て、俺の方をみてうなづいた。


「さぁお立ちなさい。足大丈夫」の声に俺は少し尻を浮かした。そのまま動けなかった。

じっと耐える俺をみて、三人はちょっと笑った。


「ティーナ、結婚の記念になにか揃いの物を贈りたいのだが・・・・」

「あら、いいわね。腕輪とか指輪?ピアスもいいわね」

「三人でよく考えるから、ジルは今日お帰りなさい」

「え?」

俺は、よろよろと立ち上がると、三人に挨拶して店を出た。



◇◇◇

新作の「黙ってすっこんどいたら良かったのに」現代日本風の世界の話です。ぜひ読んでみて下さい。

新作の「なにも奪わせない 番外編」をあげています。読んでみて下さい。
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