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馬鹿と馬鹿以下 ティーナ目線

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姿を消すポーションって、いけないことし放題よね、しないけど。姿が消えるって一口に言うけど消えるのは飲んだ自分だよね。自分以外の他人の姿が消えるとか、見えてないと錯覚するとか悲しいおちじゃないよね。

夢のある薬だけど、いきなり飲むわけにはいかないし、にわとりかなんかで試してみるだけかな。

それだけでも面白いし。薬師長とか泣いて喜びそう・・・・と

わたしは窓から外を見ながら、悩んでいた。馬車便はまだ止まっているようだ。火を吹く魔獣というのはまったく迷惑なものだ。


とノックされた。

「差し入れだ」の声にいそいそ開けて、驚いて口も開いてしまった。


ささっと、部屋に侵入された。

「ティーナ、すまなかった。話は聞いた。迎えに来た。もう大丈夫だ」と公爵が手を広げた。

アホが誰がそこに飛び込むかって。

「いくら謝っても足りないよね。ひどい目にあったよね。殴るとか蹴るとか気持ちが治まるまで好きにするといいよ」とこずるい笑いを浮かべながら、極道金髪がやさしい声で言いながら、

「差し入れってこれ、たくさん食べて」と包みを開けだした。

『これって!!指を咥えて見ていた・・・』

「お茶いれますね。お湯を沸かして来ます」と部屋をでようとすると

「用意させた」の声と同時に茶器を乗せたお盆を持った男がはいってきた。

『くそ』

男はお茶を私たちに給仕すると出て行った。差し入れに罪はないから、さっそくビスケットを食べてお茶を飲む。

そしておかわりを自分で注ぐと

「そうだ。これを」とバッグからポーションを出してそれぞれのカップに加えた。一人に一本ずつ景気よく使ってやった。

こいつら許さん。極道金髪の顔は永遠に消えるがいい・・・・


「ちょっと疲れた時、これを飲むことにしてます」と一口飲んだ。

「いやしい金づるが作ったポーションなんて飲めませんね。これでもこの町の人たちの役に立ったんですよ」とぼそぼそ呟いた。

すると極道金髪は、にまにま笑いながら飲み干した。

「最高の薬師が作ったものだよね」

「ティーナ、君の作ったものを飲んでもいいんだね。許してくれるんだね」

「許しません。だけど飲んで欲しいです」

「ティーナ、これは・・・・目が・・いや・・・違う」

「これは・・・君は最高だね・・・」と極道金髪の声がした。

「ティーナ。逃がさないよ」と言う声を避けてドアをカチャっと開けて、カチャっと閉めた。

「大変だ」「ティーナ!!」「待ってくれ」と言いながら二人とも部屋を出て行った。

へ?馬鹿だ。


馬鹿だよね。だけどこの馬鹿どもに騙されたわたしって馬鹿以下!!

荷物を服のしたに入れて持つとわたしは誰もいなくなった廊下をとおりぬけて外に出た。

人とぶつからないように気をつけて壁際を移動した。


馬鹿二人が無駄に騒ぐので、人がそちらへ移動していて、助かる。わたしは開いたドアから冒険者ギルドへ滑り込んだ。

「明日から馬車便が動くんだって」

その声にほっとする。明日までここに隠れていよう。



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