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公爵家 ジルフォード目線

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きちんと先触れを出して家に戻った。服装を整えた母と姉が待っていた。

「ただいま、戻りました」

「おかえりなさい、ジル」

「おかえり、ジル」

「姉上、母上わたくしも家督をついで公爵です。愛称で呼ぶのはおやめください」

「・・・・なに堅苦しい事を言ってるの?家族でしょ」

「そうですね・・・・・ではわたくしの方からの呼び名を変えます。よろしいですね。前公爵夫人。フォグ侯爵夫人」

「久しぶりでございます。居間に」

「そうだな」と言うとエスコートを待つそぶりの二人を置いて俺は居間に向かった。



先にソファに座り遅れて入って来る二人を見ていた。

二人共少し戸惑っていて何故だろうと言った顔をしている。

「この家は王命に背いた咎で潰れます」

ガチャ。ポットにお湯を入れていたメイドが立てた物音だ。

母も姉もびっくりして俺を見ている。

「ジル・・・ジルフォード。何を言っているの?潰すって王命ってあの馬鹿げた王命?」

「王命の内容に意見を言いますか?前公爵夫人」

「待って、そんなつもりは・・・・・だって・・・平民の田舎娘・・・・」

「そうよ、ジルフォード。あんなのがどうしたの?おかしいわよ。ちゃんとしてレッド公爵」

「わたしの態度はどうでもいいのです。王命に背いた事を責めているのです」

「王命って?」

「一応、公爵夫人であった人、公爵令嬢であった人ですね・・・・・王命ですよ」

「あっ忘れるところだったセバスチャン。これは妻へのお土産だ。妻の部屋に置いておいてくれ」と執事のセバスチャンに綺麗に包まれた箱を渡した。

セバスチャンは箱を受け取るとギクシャクと出て行った。


「明日、マーレナ伯爵夫人が来る。詳しい事は明日言い渡す」

「ジルファード、お願い」「ジルフォード、弟のくせに」


これ以上二人と一緒にいるのも腹が立つので、部屋を出た。

「セバスチャン、妻の部屋はどこだ?」と言いながら廊下を歩いていたら、侍女長と執事がひざまづいていた。

「旦那様、お許し下さい」「旦那様逆らえなかったのです」

「どうしたんだ?妻の部屋の掃除がおろそかとか?」

「・・・・・・お許し下さい」「旦那様」

「どうした、立て。妻の部屋はどこだ?」


しばらく二人を見下ろしてから

「たった今から、この家では誰も食事をしてはならない。俺はお前らのように鬼ではない。水を飲むことは許そう」

自分の部屋に入った。



翌日、妹のスーザン・マレーナが夫君のマレーナ伯爵と一緒にやって来た。

「お兄様、おかえりなさい。お疲れ様でした」

「公爵閣下、長き任務お疲れ様でございました」

二人が挨拶をして来た。この二人は学生時代からの付き合いで結婚してなか睦まじいのがよくわかる。


一晩でやつれたセバスチャンが客間に案内する。

「どうしたの?セバスチャン。なんだか疲れてる?お兄様当ての釣書が多くて大変だったりして」と

マレーナ伯爵夫人がはしゃぐ声が聞こえる。いつまでそうしていられるか?


それからフォグ侯爵がやって来た。

「公爵急な呼び出しに驚いた。なにかあったのか?」と言うと客間に歩いて行った。


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